
愛車を選ぶ際、これまでと違うタイプのバイクに乗りたいと考えるライダーもいるだろう。そのとき、選んだ先に何が待っているのかを知っておくと、より自分に合ったバイクを手に入れることができるかもしれない。オンロードモデルやアドベンチャーから『クルーザー』に乗り換えたらどうなるの?
●文:ヤングマシン編集部
足着きがいい!
クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きという例も少なくない。低い目線で滑空するように走っていくさまは『グライド感』と表現されることもあって、ハンドルまわりのシンプルな造形などから視界が開けている感覚もある。
一方で、ハーレーダビッドソンなど本場のアメリカ車は、車種によってステップの位置がかなり前方にあって、小柄な方はリヤブレーキ操作やギヤチェンジがしにくいと感じることも。ただし、そんな場合はステップの移設キットがオプション設定されていることも多いので心配は無用だ。
低くドッシリ構えたクルーザーは、小排気量帯では乗りやすさが際立ち、街乗りやツーリングにもおすすめ。大排気量帯になると重厚なモデルが増え、街乗りにはちょっと持て余すようになるが、その代わりにロングツーリングでは無類の快適性を味わえるだろう。
ちなみに大排気量クルーザーはUターンが大変なイメージもあるが、足着きのよさを生かせば車重や大柄な車体からイメージするよりは怖くない。慣れれば低重心を生かしてスルッと安定した小回りもできるようになる……かも?
エンジンをじっくり味わいながら走るのが気持ちいい!
長い直線道路をクルージングするというのがクルーザーの本領で、エンジンは低速トルクを重視したものが一般的。中にはドラッガーやスポーツクルーザーなどもあるが、いずれもクルージング性能を犠牲にしたつくりにはなっていない。
バイクはエンジンを懐に抱えて走るような乗り物で、車高が低くリヤタイヤの上に着座しているようなクルーザーはよりエンジンの鼓動や後輪の蹴り出し感を強く味わえる。だから、一定の速度で淡々と走るっても気持ちいいのだ。
ハーレーダビッドソン CVO ストリートグライド
直進安定性が凄い!
クルージング性能を考えて作り込まれているので、直進安定性はさまざまなカテゴリーの中でも随一。とはいえ、最新モデルはハンドリングも十分に考慮されていて、もちろんスポーツバイクには敵わないが、重厚な車体からは想像しにくいほどの運動性を発揮するものも。
一方で、直立したライディングポジションゆえに尻に体重が集中する傾向もあって、シートのクッション性がかなりよくないと尻や腰に負担がかかることも。愛車選びの際には、ツーリング装備の有無だけでなくシートのクッションにも注目すると、ご自身の使い道に合うかどうかが判断しやすいかもしれない。
ホンダ レブル1100T
バンク角が少なめ
車高が低いだけに、ハンドリングは自然なフィーリングに作られていても、バンクしていくと比較的カンタンにステップが接地してしまう。バンク角は、足着きのよさや直線道路での快適性とトレードオフの関係にあるので仕方がない。
なお、小~中排気量帯のものは車体がスリムなため、スポーツバイクほどではないが意外とバンク角に余裕がある車種もある。
コーナリングも意外といける
上記と関連するが、限られたバンク角や低速寄りのエンジンなどを理解し、節度を持った走りに徹すれば、ワインディングロードも意外なほど楽しめる。昔の車種ではハンドリングが不自然なものもあったようだが、2000年代以降のバイクであれば気にする必要はない。ただし、車重のあるモデルではブレーキで思ったより制動距離が伸びたりするので、無理は禁物だ。
カワサキ エリミネーターSE
まとめ
クルーザーは、かつて“アメリカン”という呼び名が一般的で、ハーレーダビッドソンとそれに類似したものという印象を持たれていたことも。最近はさまざまなメーカーが多様なコンセプトのマシンをラインナップしていることから、よりバイクの性格を表す“クルーザー”というカテゴライズが一般化している。
クルーザーというだけにクルージングが得意で、特にハーレーダビッドソンはアメリカ大陸の長い直線道路を飽きずに走り続けられる特性が与えられている。アメリカのバイクはかつての開拓馬の流れを汲むと言われ、直立したライディングポジションは、手綱を握る乗り手を思わせる。
ドコドコとした鼓動は開拓馬の力強い歩調を思わせ、また大排気量のV型2気筒が好まれるのは荒野の真ん中で1気筒が死んでも走り続けることができることに由来するという(諸説あり)。作り込みの多くの部分で、競走馬や自転車との類似性を指摘される欧州系バイクとは対照的なのだ。
そんな由来から、長時間を飽きずに乗り続けられるのがクルーザーと言える。オンロードモデルやアドベンチャーモデルから、少し違うのに乗ってみたいと思ったら、ちょっと試してみる価値はあるはずだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(新型クルーザー)
アールデコを全身で体現するベースモデル「チーフ ヴィンテージ」 インディアン・モーターサイクルの基幹モデル「チーフ」シリーズのラインナップにおいて、ひときわ古典的な情緒を漂わせるのがベースモデルの「チ[…]
前年モデルからの進化1:アシスト&スリッパークラッチの新搭載 「クラシックなルックスは好きだけど、長距離を走るとクラッチ操作で左手が疲れてしまう」。そんなライダーの悩みに応えるかのように、2026年モ[…]
台湾のカリスマが手がけた、黒と金の妖艶な世界 「誰も乗っていない、圧倒的なオーラを放つ本格カスタムバイクを手に入れたい」。そんな熱い情熱を持つライダーにとって、この限定車はまさに理想の具現化といえる一[…]
GB350シリーズの違いは『見た目だけ』じゃありません! トラディショナルなデザインに味わい深い空冷単気筒エンジンを組み合わせた『GB350』シリーズは、バイクの原点を感じさせるスタイリングと走りで、[…]
普通二輪で乗れる極上スタイル「スピード400&スクランブラー400 X」 「初めての輸入車に挑戦したいけれど、デザインの妥協は絶対にしたくない」。そんなライダーの背中を力強く押してくれるのが、400c[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
なぜ「舗装路のベテラン」がダートで転ぶのか? アドベンチャーバイクのブームもあり、林道やダートに興味を持つライダーは増えています。しかし、「アスファルトの上なら何万キロも走っている」というベテランであ[…]
ブレーキング:鍵はイニシャルブレーキ 旋回への準備を整える区間で重要となるのが、初期制動=イニシャルブレーキである。コーナーの進入でいきなりガツンッとレバーを握り込むと、前方向へのピッチングが必要以上[…]
はじめに:“速さ”でなく“スムーズさ” 皆さんは、私、フレディ・スペンサーのことをどういうライダーだと思っているだろうか? 前走者のインに飛び込んだり、コーナーの立ち上がりでホイールスピンを続けるなど[…]
すでに13年も続いている人気イベント 初心者むけと言いつつ、いきなりサーキットが舞台というと「ハードル高くね」と思われがち。ですが、「バイクで遊ぼう」にはツナギのいらない「街乗りクラス」の設定があるの[…]
1.「裏ペタ」という不思議なカスタム SS系やストリートファイター系のカスタムバイクで、時折見かけることがある「裏ペタ」。要はナンバープレートを、リヤフェンダーの内側に貼り付けるカスタム(!?)のこと[…]
人気記事ランキング(全体)
クルマでもバイクでもない!街中をスイスイ駆ける超コンパクトEV スマートに、スタイリッシュに街を駆け抜ける。 そんな都市型モビリティの未来を現実のものとしたひとつの答えが、今回オートバックスで受注が始[…]
ロングセラーとなった6気筒ツアラー「カワサキ Z1300」 ホンダのCBX1000とほぼ同時期である1978年のケルンショーで発表され、翌1979年に登場したのがカワサキZ1300である。同じ並列6気[…]
「存在がデカすぎた」から死なせた。天才・聖秀吉が物語から消えた真実 輸出仕様のカスタムを完全再現!フロントフェンダー外しに宿る「走り屋の狂気」 ホビージャパンが新たに展開するダイキャスト製1/24完成[…]
欠場も焦る必要なし!年間最多レース時代に求められる戦い方 MotoGP第12戦イギリスGPで、小椋藍選手(SuperFile Trackhouse MotoGP Team)が転倒、リタイヤを喫しました[…]
日立のトラコンとボッシュのABSを標準装備!原二クラスの枠を破壊した「ADX125 Plus」 中国で発表された新型スクーター「ADX125 Plus」(現地名:ADX Plus)のスペックシートを眺[…]
最新の投稿記事(全体)
カワサキ純正スイッチ(品番:27010-0931)を完全ボルトオン! 今回プロトから登場した「PLOT BREMBO ブレーキスイッチアダプター KAWASAKI 27010-0931用」は、カワサキ[…]
1台を徹底して「自己管理」する過酷な現実と、新人が直面する洗車の掟 公道を颯爽と駆け抜ける白バイ。その輝くボディは、専門業者が完璧にメンテナンスしているように見えるかもしれない。しかし、その裏にあるの[…]
25,651kmを走ったものの、リアタイヤはまだ溝が3mm以上残っている! 装着して25,651kmを走ったものの、ワインディングロードなどのスポーツ走行でのフロント荷重などで早く減ったフロントタイヤ[…]
「賞典外」でも関係ない。名車CB400SFがE-Clutchを積んでサーキットへ降臨する衝撃 バイク乗り、特に中型クラスを愛する者にとって、CB400SFという存在は特別なものだ。その美しい直列4気筒[…]
アラゴンGPで圧倒的な強さを見せて完全復活を果たしたマルク・マルケス選手。自身の好調さを証明しつつも、実は怪我で離脱中の小椋藍を密かにライバル視している。完全復活を遂げた王者が、若き挑戦者との直接対決[…]
- 1
- 2









































