
1978年から同じ姿のまま進化と熟成を重ねたヤマハSR。そんな一台には、時代に合わせ、“変わらないために変わり続けた”43年の歴史がある。比類なきロングセラーの歩みと色彩を振り返る。この記事では、1978初代〜1980年代末までのモデル変遷を辿る。
●文:伊藤康司 ●写真:YM Archives
- 1 〈1978年3月〉SR400[2H6]/500[2J3]:ロードスポーツの原点
- 2 〈1979年11月〉SR400SP[3X6]/500SP[3X4]:スポーツ度向上
- 3 〈1982年9月〉SR400SP[3X7]:スポークホイール仕様限定復活!
- 4 〈1983年3月〉SR400[34F]/500[34A]:STDもスポークホイール化
- 5 〈1983年7月〉SR400SP[34E]/500SP[33Y]:キャストSP復活
- 6 〈1984年10月〉SR400LTD[34F]:SR7周年記念モデル
- 7 〈1985年4月〉SR400[1JR]/500[1JN]:ドラムでレトロ感アップ!
- 8 〈1988年8月〉SR400[3HT1]/500[3GW1]:負圧式キャブ採用
- 9 YAMAHA SR400最新相場情報
〈1978年3月〉SR400[2H6]/500[2J3]:ロードスポーツの原点
1976年に発売したオフロードモデルのXT500のエンジンとフレームをベースに、トラディショナルなロードスポーツとして登場した初代SR。500のエンジンは、ベースとなったXT500と同じボア×ストロークだった。
一方、当時の国内の免許制度に合わせた400は、500からストロークを短縮して排気量をダウン。排気量の異なる兄弟モデルはボア径の変更で対処するのが一般的な時代に、高コストなクランク変更を選択するこだわりようだった。
400はフラットでテールカウルを装備したシート(グラブバーなし)と低いコンチタイプのハンドルでロード色を強めたのに対し、500は厚みがありテールカウルを持たないシートと、ワイドで高さのあるハンドルバーを装備した。
【1978 YAMAHA SR400[2H6]/500[2J3]】■全長2105 全幅765[845] 全高1135[1155] 軸距1410 シート高810(各mm) 車重158kg(乾) ■空冷4スト単気筒SOHC 2バルブ 399cc[499cc] 87×67.2mm[87×84mm] 27ps/7000rpm[32ps/6500rpm] 3kg-m/6500rpm[3.7kg-m/5400rpm] 変速機5段 燃料タンク容量12L ■タイヤサイズF=3.50-19/R=4.00-18 ●発売当時価格:31万円[35万円] ※[ ]内は500 ※写真の車体色はブラックゴールド(共通色)
1978 SR400のカラーバリエーション・マコマルーン。グラフィックのカラーはブラックゴールドと同一で、500とは異なる赤と茶色との中間のえんじ色が特徴。
1978 SR500のカラーバリエーション・スターレッド。
〈1979年11月〉SR400SP[3X6]/500SP[3X4]:スポーツ度向上
登場翌年には、早くもマイナーチェンジ。当時流行し始めたキャストホイールを装備してスポーツ度を高め、車名に「SP」を追加。400/500ともにテールカウル付きのシート&グラブバー装備し、パワーレバー(ドッグレッグ)も採用した。
【1979 YAMAHA SR400SP[3X6]】●発売当時価格:34万円 ※写真の車体色はブリリアントレッド
【1979 YAMAHA SR400SP[3X6]/SR500SP[3X4]】●発売当時価格:37万円 ※写真の車体色はブラックゴールド(共通色)
〈1982年9月〉SR400SP[3X7]:スポークホイール仕様限定復活!
1979年のSPが、キャストホイールによる重量増(スポーク車より約4kg増加)があったこともあり、思いのほか不評。そこで400のみ、3000台限定でスポークホイール仕様を販売した。後輪のリムは初期モデルより1サイズアップ。カラーはSPのブラックゴールドを継承したが、アップハンドルやカウルレスシートなど1978年の初代SR500と同じ構成とした。
【1982 YAMAHA SR400SP [3X7]】●発売当時価格:35万5000円 ※写真の車体色はブラックゴールド
〈1983年3月〉SR400[34F]/500[34A]:STDもスポークホイール化
標準モデルもスポークにマイナーチェンジ。新設計のピストンリングやバルブ、オイルライン等も見直して耐久性を高め、セミエア式フロントフォークやシールチェーンも採用。カウル付きシートやコンチタイプのハンドルを装備し、このモデルからハロゲンヘッドライトやラバーマウントウインカーが装備された。
【1983 YAMAHA SR400[34F]/500[34A]】●発売当時価格:36万5000円/39万6000円 ※写真の車体色はスーパーレッド(共通色)
1983年400/500のカラーバリエーション・インジゴブルー(共通色)。
〈1983年7月〉SR400SP[34E]/500SP[33Y]:キャストSP復活
スポークモデルから4カ月遅れで、キャストホイールのSPが復活。本格的なバイクブームが到来し、より多くのユーザーへ対応するためのバリエーション拡大だった。ホイール以外の仕様は、スポークモデルと同一。スポークモデルは翌年も継続されたが、キャストのSPは1983年度のみで生産終了した。
【1983 YAMAHA SR400SP[34E]/500SP[33Y]】●発売当時価格:38万円/41万1000円 ※写真の車体色はインジゴブルー(共通色)
1983年400SP/500SPのカラーバリエーション・スーパーレッド(共通色)。
〈1984年10月〉SR400LTD[34F]:SR7周年記念モデル
SRの発売7周年記念モデルとして、400のみ1000台限定で発売。現在では、SR限定モデルの定番ともいえるグラデーションのぼかし塗装“サンバースト”を初めて採用。同じルーツのヤマハ株式会社のギターに通じるペイントは大人気を博した。また1960年代半ばに姿を消した“音叉マーク”を復活させたのも、このモデルだ。
【1984 YAMAHA SR400LTD[34F]】●発売当時価格:39万8000円 ※写真の車体色はスーパーレッド×ヤマハブラック
〈1985年4月〉SR400[1JR]/500[1JN]:ドラムでレトロ感アップ!
フロントにツーリーディング式のドラムブレーキを採用し、フォークブーツも装備してレトロなイメージを増強。その一方で、前輪は19→18インチとなり、バックステップやより低めたコンチハンドルでスポーツ性も向上した。エンジンはカムの表面処理やロッカーアームの焼結チップにより、耐久性を向上。メタルガスケットやカムチェーンアジャスターのカバーをアルミ化することで、オイル滲みを抑制した。燃料タンクは、12→14Lに容量アップしたこともトピックだった。
【1985 YAMAHA SR400[1JR]/500[1JN]】■全長2085 全幅735 全高1080 軸距離1410 シート高790(各mm) 車重153kg(乾) ■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ 399cc[499cc] 27ps/7000rpm[32ps/6500rpm] 3kg-m/6500rpm[3.7kg-m/5500rpm] 燃料タンク容量14L ■タイヤサイズF=3.50-18/ R=4.00-18 ※[ ]内は500 ●発売当時価格:39万9000円/43万円 ※写真の車体色はインジゴブルー(共通色)
1985 SR400のカラーバリエーション・メープルレッド。正確な生産比率は不明だが、当時はインジゴブルーより希少だった。
〈1988年8月〉SR400[3HT1]/500[3GW1]:負圧式キャブ採用
負圧式BSTキャブレターに変更して始動性や加速性を向上。カムシャフトも変更して、扱いやすさを高めた。エアボックスの容量アップを図り、チェーンは428サイズに変更された。
【1988 YAMAHA SR400[3HT1]/500[3GW1]】●発売当時価格:39万9000円/43万円 ※写真の車体色はブルーイッシュダークシルバー(共通色)
YAMAHA SR400最新相場情報
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA] | 名車/旧車/絶版車)
〈1983年3月〉SR400[34F]/500[34A]:STDもスポークホイール化 標準モデルもスポークにマイナーチェンジ。新設計のピストンリングやバルブ、オイルライン等も見直して耐久性を高め、セミ[…]
〈1978年3月〉SR400[2H6]/500[2J3]:ロードスポーツの原点 1976年に発売したオフロードモデルのXT500のエンジンとフレームをベースに、トラディショナルなロードスポーツとして登[…]
250でもビッグバイクと同じレベルのクオリティを! ヤマハは1988年に250ccのアメリカンクルーザー、空冷60°VツインのXV250 Viragoをリリースした。 それは250ccの片側125cc[…]
〈1978年3月〉SR400[2H6]/500[2J3]:ロードスポーツの原点 1976年に発売したオフロードモデルのXT500のエンジンとフレームをベースに、トラディショナルなロードスポーツとして登[…]
RZ250の歴代モデル 1980 RZ250(4L3):白と黒の2色で登場 ’80年8月から日本での発売が始まった初代RZ250のカラーは、ニューヤマハブラックとニューパールホワイトの2色。発売前から[…]
最新の関連記事(SR400)
〈1983年3月〉SR400[34F]/500[34A]:STDもスポークホイール化 標準モデルもスポークにマイナーチェンジ。新設計のピストンリングやバルブ、オイルライン等も見直して耐久性を高め、セミ[…]
〈1978年3月〉SR400[2H6]/500[2J3]:ロードスポーツの原点 1976年に発売したオフロードモデルのXT500のエンジンとフレームをベースに、トラディショナルなロードスポーツとして登[…]
〈1978年3月〉SR400[2H6]/500[2J3]:ロードスポーツの原点 1976年に発売したオフロードモデルのXT500のエンジンとフレームをベースに、トラディショナルなロードスポーツとして登[…]
43年で歴史に幕……と思ったらタイで続いてるよ! 平成32年排出ガス規制の壁、ABS義務化、そして灯火類の追加レギュレーション……。日本ではさまざまな理由から継続生産ができなくなり、2021年モデルを[…]
ヤマハSR400試乗レビュー この記事では、ヤマハのヘリテイジネイキッド、SR400の2021年モデルについて紹介するぞ。43年の歴史に幕を下ろした、最終モデルだった。 ※以下、2021年5月公開時の[…]
人気記事ランキング(全体)
3Mシンサレート採用の4層構造で冬走行の冷えを軽減する 本商品は、防風ポリエステル生地/3Mシンサレート中綿/裏起毛の4層構造で手全体を効率よく保温する設計。一般的なポリエステル綿と比べて中綿が軽く、[…]
バイク整備は、だいたい汚れとの戦いから始まる バイク整備をしていて、より深く分解していくと避けて通れないのがグリスやオイルの汚れです。今回の場合は古いモンキーのフロントフォーク。オイルは入っていない代[…]
4気筒CBR250との棲み分けでさらに長期モデル化の一途へ! ホンダが1982年5月にリリースしたVT250Fは、パワフルな2スト勢に対抗できる唯一の存在として瞬く間に10万台を突破するベストセラーと[…]
16か所発熱で走行中の冷えポイントを広くカバーする 冬の走行時にとくに冷えやすいのが、肩/背中/腹部などの体幹部である。本モデルは16か所にヒーターを内蔵しており、一般的な電熱ベストより発熱面積が広い[…]
16日間で211万着の「メディヒール」が物量攻勢で復活 ワークマンが展開するPBリカバリーウェア「MEDIHEAL(メディヒール)」シリーズが、いま爆発的なヒットを記録している。2026年、秋冬商戦に[…]
最新の投稿記事(全体)
GSX-Rで培ったフラッグシップでもライダーに優しい高次元ハンドリングを追求! 1999年にデビューしたスズキGSX1300R HAYABUSAは、いまも最新世代がカタログにラインアップされるロングラ[…]
今回は2部門 現行モデル/過去〜現在の全国産モデル その年に販売されていたバイクから、皆さんの投票で人気ナンバー1を決める“マシン・オブ・ザ・イヤー”。ヤングマシン創刊の翌1973年から続く、毎年恒例[…]
想像を上回る使い勝手のよさ SHOEIが2026年1月9日にSHOEI Gallery(SHOEI Gallery Online Storeを除く)で先行発売する電子調光ドライレンズ「e:DRYLEN[…]
手軽さを極めた、ポケットに入れて留めるだけの新発想ホルスターバッグ ハーフデイツーリングホルスターはポケットに差し込むだけで装着完了。ベルト調整やストラップ固定といった面倒な作業は不要で、所要時間はわ[…]
1. 【背景】50ccガソリン原付は排ガス規制をクリアできず 50ccガソリン原付はなぜ生産終了となるのか。それは地球環境保護という理念のなか世界的に年々厳しくなる排ガス規制値をクリアできないとわかっ[…]
- 1
- 2



















































