トライアンフモーターサイクルズジャパンは、モダンネイキッドのロードスターシリーズの大排気量スポーツモデル『Speed Triple 1200 RS(スピードトリプル1200アールエス)』を発表した。全国のトライアンフ正規販売店にて、2025年4月より販売開始となる。
●文:ヤングマシン編集部(山下剛) ●外部リンク:トライアンフモーターサイクルズ
電子制御デバイスをさらに進化させてパワーアップも果たしたモダンネイキッド
スピードトリプル1200RSは、2021年に初登場となったロードスターシリーズのフラッグシップモデルだ。パワフルな1160cc水冷並列3気筒エンジンを、美しいパイプワークのアルミフレームに搭載。ストリートファイターらしいアグレッシブなフォルムの2眼LEDヘッドライトが作り出す独特のデザインが特徴だ。このたび登場する新型は初のマイナーチェンジを施し、各部のアップデートによりスポーティな走行性能をさらに引き上げた。
2025年式となる新型ストリートトリプル1200RSのアップデート内容は下記のとおりだ。
- 最高出力3psアップとなった改良エンジン
- 前後サスペンションの電子制御化
- より緻密になった電子制御デバイス群
5psアップした水冷並列3気筒エンジンは、トライアンフがMoto2で培ったノウハウを生かし、クランクシャフトのバランス見直しなどによって耐久性と小型軽量化を達成。さらに、最高出力3ps、最大トルク0.3kg-mアップと出力性能を高め、低回転域での扱いやすいトルク特性と、高回転域でのハイパワーを両立させた。もちろん最新の排ガス規制ユーロ5+に適合させている。
排気系では新設計のフリーフローエキゾーストシステムを採用し、軽量コンパクトなサイレンサーによって効率的な排気とマスの集中化に貢献している。また、オプションにはさらに軽量なアクラポビッチ製サイレンサー(チタン+カーボン)が用意されている。
新採用となった電子制御式サスペンションは、オーリンズ製スマートEC3だ。OBTi(オブジェクティブ・ベースド・チューニング・インターフェイス)を搭載しており、さまざまなシチュエーションに対応すべく減衰力特性を自動調整する。また、ライダーが自由に設定できるパラメーターは7項目ある。
- 1. フロントの硬さ
- 2. リアの硬さ
- 3. ブレーキサポート
- 4. 加速サポート
- 5. 初期加速サポート
- 6. コーナリングサポート
- 7. クルージングサポート
また、スマートEC3には、従来の円錐形ニードルではなく、バルブの物理的作用で発生するシリンダー内の圧力変動を補正する“スプールバルブ”テクノロジーを採用した。これによって、さらに迅速な減衰力補正を実現し、正確でダイナミックなハンドリングと快適性を向上させた。
そのため、一般道とサーキットを問わず、直進、コーナー進入時のブレーキング、旋回中の車体バランス、コーナーからの立ち上がり加速など、それぞれの場面に応じて最適な減衰力特性へと瞬時に調整する。
サーキット走行も対応の最新電子制御を備える
電子制御デバイス群には、フロントホイール・リフトコントロール、エンジンブレーキコントロール、ブレーキスライドアシスト(トラックモードのみ)、フルアジャスタブル・クルーズコントロールを新たに採用し、スポーツ走行からツーリングまで安全と快適の幅を広げている。
ライディングモードは、レイン/ロード/スポーツ/トラック/ライダーの5種があり、オプティマイズドコーナリングABS、切替式オプティマイズドトラクションコントロール、アップ/ダウン対応のクイックシフターも備えている。
ライディングポジションも見直された。ハンドルバーは従来よりも幅広く、高めに設定。これによってアップライトでスポーティな乗車姿勢を実現し、1160cc並列3気筒が生み出すハイパワーを、軽快なハンドリングで堪能できる。優れたハンドリング特性には、オーリンズ製ステアリングダンパー、ピレリ製ディアブロスーパーコルサSP V3を装着する軽量化された新型ホイールも大きく貢献している。
ブレーキはブレンボを採用しており、フロントにはスタイルマキャリパーとMCSスパン&レシオアジャスタブルレバーを装着し、コントロール性と制動性に優れるブレーキシステムを構築している。
また、リチウムイオンバッテリーを採用したことで車重は199kgに抑えられた。
ダッシュボードは5インチフルカラー液晶ディスプレイで、ハンドル左側に設けられた5方向ジョイスティック(バックライト付き)で直感的に各種設定にアクセスできるほか、スマートフォンとの連携によるターンバイターンナビゲーションなどを利用できる。また、キーレスシステムを採用しており、イグニッション、ステアリングロック、燃料タンクキャップはリモコンキーで操作できる(ワイヤレス機能の無効化も可能)。
車体色は、ジェットブラック、グラナイト×ディアブロレッド、グラナイト×トライアンフパフォーマンスイエローの3色が揃う。なお、ツートーンカラーは4万5000円高となる。
スピードトリプルのルーツは、大排気量化と多気筒化が大きく進んでいた1968年に発表したトライデント150にある。その後、経営破綻からの復活を果たした1990年、トライアンフは並列3気筒エンジンを搭載するスポーツモデルを展開し、成功を遂げた。こうした歴史を背景にして、スピードトリプルは1994年に登場した。現代、そして未来を見据えるトライアンフの中核を成すスポーツネイキッドというキャラクターは不変のまま、今日まで進化を繰り返してきた。
街乗りからツーリング、そしてサーキットと走るステージを選ばずハイパフォーマンスを発揮できる最新スピードトリプル1200RSは、電子制御デバイスの進化と拡大、エンジンのパワーアップによって、ますます深化して完成度を高めた。究極のブリティッシュネイキッドといえそうだ。
Triumph Speed Triple 1200 RS[2025 model]
主要諸元■全長─ 全幅810 全高1085 軸距1445 シート高830(各mm) 車重199kg■水冷4ストローク並列3気筒SOHC4バルブ 1160cc 183ps/10750rpm 13.05kg-m/8750rpm 変速機6段 燃料タンク容量15.5L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=190/55ZR17 ●価格:222万5000円(ツートーンカラーは227万円) ●色:黒、濃灰×赤、濃灰×黄 ●発売時期:2025年4月
スピードトリプル1200RS のディテール
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