
現代の警察官は物腰も柔らかく、気配りもしっかりしている……なんていうと異論はありそうだが、昭和から平成前期にかけて世の中はもっと全体的に荒い雰囲気だったことを記憶しているおじさんたちも多いはず。学校の中で竹刀を持った先生がうろついているのも普通だったし、交通違反で検挙されたらけっこうなことを言われることもあった。そんな時代を少しだけプレイバックしてみたい。
●文:ヤングマシン編集部(昭和生まれの編集者)
「キミ、暴走族なの?」
これはもう昭和の定番。40代以上の方は一度くらい聞いたことあるという方も多いのでは? ちょっとアグレッシブな走り方をしていると「暴走族なの?」と挑発的に言い放ってくる警察官はけっこう普通にいた。
好意的に見れば、「ちゃんとしたライダーなら自覚をもって走れ」という意味に受け取ることもできるが、他に言い方はねぇのかよ……と思わずにはいられなかったとか。あ、知り合いから聞いた話です。
これも昔の知り合いから聞いた話だが、旧車に乗っていた方がノーマルマフラーでも爆音だったために、自宅へ戻るとき近所に気を遣ってキルスイッチOFFにして惰性で走ったところ、自転車のお巡りさんに呼び止められて「やましいことがあるからエンジンを切ったんだろ、お前暴走族だな」と言われたそうな。そうではないと説明して理解してもらうまでにだいぶ苦労したという。
「東京は白バイもやってるって言うんだろ? ここは違うんだよ」
ツーリング中にスリ抜けで捕まったとき、白バイのお巡りさんが言ったというセリフがこれ。おとなしく捕まっているにもかかわらず、どうやら言い訳してくるのを想定し、全て先回りして潰していこうという意図だったらしい。
いや、まだ何も言ってねぇよ……と思わずにはいられなかったとか。まあ裏を返せば、それだけ言い訳するライダーが多かったということなのだろう。
そういえば平成前期頃までは白バイもまあまあ荒っぽい運転してる人がいたなぁ……。
「いつもやってるんでしょ」
うっかり違反してしまったとき、常習的にやっていると決めつけてくる警察官も多かった。心当たりがあっても初めてと言いたくなってしまう気持ちはわかるし、じっさいそんな言い訳をする運転者が多かった(今も多い?)のも確かだが、ガチで初めてでも基本的に信じてくれないので無駄に嫌な気持ちにさせられたものだった。
おそらく現代の警察官も言い訳してくる運転者に辟易としているだろうが、そんなことはおくびにも出さず紳士的な振舞いを見せる姿に「時代は変わったな~」なんて思うライダーも多いという。あ、全部知り合いから聞いた話ですからね。
「いい音してたね!」
かつて首都高で捕まったというギョーカイの先輩が言われたというセリフ。もちろんイヤミであるが、「そんなに飛ばしてどこ行くの」や「いやぁ、追いつくの大変だったよ」など、フレンドリーと受け取れないこともない会話がおこなわれることもあったという。
また、バイク好きの白バイ隊員だと「いいの乗ってるね!」と褒めてくれることもあったとか。
「お前、違反する気だろ!」
大先輩にあたる世代から聞いた話だが、ヘルメットが義務化されたのは1972年以降で、当初は罰則なし。そしてそれより前の1965年から高速道路での着用努力義務がはじまっていたのだが、この過渡期において、ヘルメットを被っていると「スピードを出すつもりだな!」と白バイに呼び止められたという笑い話のような出来事があったそうな。ただしこれは地域や年代によってかなり異なるようで、ヘルメット着用義務化の前はすべてこうだったというわけではないようだ。
現代はプロテクターに気を遣うライダーが多く、特に若い世代のほうが安全意識が高い。というか世代ごとに安全意識は少しずつ高まってきているのだが、いつの時代も変化に適応できない人間は一定数いたということ。若い人が何かをやっていたら、それには何らかの理由があるはず。そんな想像力を持った年寄りになりたいもんです。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(交通/社会問題)
重点的な交通取締り場所は決まっている 安全運転を心がけていても、パトカーや白バイの姿を目にすると、必要以上にドキッとしたり、速度メーターを確認したりするといった経験がある、ドライバーやライダーは少なく[…]
1. 山梨県の三ない運動と坂本先生の革新的な安全教育 山梨県は公共交通が不便だったこともあり全県的な三ない運動は実施されず、多くの高校でバイク通学が行われ、各校ごとに“乗せて教える”教育が施[…]
2021年に底を打ったバイク盗難の件数は近年、再び上昇傾向にある。2021年の7569件に対し、2024年は1万1641件まで増加しており、原付一種/原付二種が89%を占めているという。[…]
原付一種の新区分「新基準原付」とは? ガソリン原付一種は、排ガス浄化装置である触媒性能の問題により国内第4次排出ガス規制(ユーロ5相当)をクリアできないため、2025年10月末日に生産終了となり、以降[…]
白バイ隊員になるには 白バイに乗るためには、あたり前のことですが大型自動二輪免許の取得が必要です。とはいえ、警察官になる時点で取得していないとダメかといえば、そうではありません。後から取得する手間が減[…]
最新の関連記事(ヤングマシン)
ENGINE:世界最速を目指してたどり着いた型式 ヤマハやスズキのような“専業メーカー”ではなかったけれど、’54年から2輪事業への参入を開始したカワサキは、基本的に2ストロークを得意とするメーカーだ[…]
ハンドルまわりだけでも用語はたくさん 「いつかは旧車に乗り、自分専用のカスタムをしたい」と、憧れを抱いている筆者。その夢を叶えるためには、ひとつの大きなハードルがあったりする。そもそも、各部の名称や役[…]
電子制御CVTにより街乗りもスポーティ走りも思いのまま! ヤマハは、インドネシアや日本に続いて新型スクーター「NMAX155」を欧州市場に投入する。これまでNMAX125のみラインナップ(一部地域では[…]
デザイン刷新&Eクラッチ採用の2024年モデルからカラーバリエーションを変更 ホンダは欧州で、2024年モデルのマイナーチェンジでデザイン変更とEクラッチ(Honda E-Clutch)搭載仕様の追加[…]
バイクを楽しむ人は、幾つになろうと、心は若者です。 夢への挑戦は、誰でも、一度は考えるでしょう。レースの世界でも頂点に立つ、華やかなステージでスポットライトを浴びる、新たなビジネスチャンスに賭ける、そ[…]
人気記事ランキング(全体)
デザイン刷新&Eクラッチ採用の2024年モデルからカラーバリエーションを変更 ホンダは欧州で、2024年モデルのマイナーチェンジでデザイン変更とEクラッチ(Honda E-Clutch)搭載仕様の追加[…]
新型CBは直4サウンドを響かせ復活へ! ティーザー画像から判明したTFTメーターとEクラッチ搭載の可能性 ホンダは中国がSNS『微博』にて、新たなネオクラシックネイキッドのティーザー画像を公開したのは[…]
電子制御CVTにより街乗りもスポーティ走りも思いのまま! ヤマハは、インドネシアや日本に続いて新型スクーター「NMAX155」を欧州市場に投入する。これまでNMAX125のみラインナップ(一部地域では[…]
ゼロハンが一番熱かった夏 多くの若者がバイクを愛し、GPライダーが同世代共通のヒーローとなった1970年代後半。 それでもフルサイズの“バイク”は、経済的理由や悪名高い“三ナイ運動”の影響からなかなか[…]
低く長いデザインが個性マシマシ! レトロモダンなボバークルーザー 中国から新たな刺客がやってきた! ベンダは2016年設立の新興メーカーで、独自設計のエンジンを搭載したクルーザーを中心に、ネイキッドな[…]
最新の投稿記事(全体)
重点的な交通取締り場所は決まっている 安全運転を心がけていても、パトカーや白バイの姿を目にすると、必要以上にドキッとしたり、速度メーターを確認したりするといった経験がある、ドライバーやライダーは少なく[…]
ENGINE:世界最速を目指してたどり着いた型式 ヤマハやスズキのような“専業メーカー”ではなかったけれど、’54年から2輪事業への参入を開始したカワサキは、基本的に2ストロークを得意とするメーカーだ[…]
ハンドルまわりだけでも用語はたくさん 「いつかは旧車に乗り、自分専用のカスタムをしたい」と、憧れを抱いている筆者。その夢を叶えるためには、ひとつの大きなハードルがあったりする。そもそも、各部の名称や役[…]
まめなオイル管理が、良コンディションを維持できる秘訣 新型スーパーカブが発表されて以降、新型のシリーズモデルは、週末に限らず、毎日のように街中で見かけるようになった。軽く気ままに走ることができるモデル[…]
電子制御CVTにより街乗りもスポーティ走りも思いのまま! ヤマハは、インドネシアや日本に続いて新型スクーター「NMAX155」を欧州市場に投入する。これまでNMAX125のみラインナップ(一部地域では[…]