
今年の夏は例年よりも暑く、ライダーにとっては非常に厳しい季節。実際、すでに体温に近い最高気温を観測する日が続いています。普段の生活であれば、暑くなったら涼しい衣服を着用して暑さに対処しますが、バイクに乗る時はそう簡単にはいきません。
●文:ヤングマシン編集部(ピーコックブルー)
サンダルでの運転はダメ…では、半袖半ズボンのようなラフな格好は?
たとえば、頭の蒸れが気になったからとヘルメットを脱いでしまった場合、乗車用ヘルメット着用義務違反が適用され、違反点数1点が科されます。
また、サンダル履きでバイクを運転した場合、公安委員会遵守事項違反となり、2輪車だと6000円の反則金が、原付は5000円の反則金が科される場合があります。
このように、バイクに乗る際の服装/装備品は法律によって厳しく定められています。
では、半袖/短パンでバイクに乗ることは違反に当たらないのでしょうか。
結論から言ってしまえば、違反自体にはなりません。道路交通法をはじめとする法律には、半袖/短パンでバイクに乗ることを規制する文章はなく、警察に見かけられても咎められることはないでしょう。
しかし、半袖/短パンでバイクに乗ると、いくつかのデメリットが生じます。
まず代表的なデメリットとしては、やはり事故を起こしてしまった際のケガのリスクです。万が一転倒してしまった場合に、剥き出しの身体で地面と接触したら、間違いなく大きな擦り傷を負うことになります。
そのため、バイクに乗る際は季節にかかわらず長袖/長ズボンが推奨されており、また手のひら/くるぶしの損傷を防ぐため、グローブ/ハイカットの靴の着用も推奨されています。教習所で習った記憶のある人も多いでしょう。
やはり、ヘルメットを被るのと同じように、万が一の事故に備えて長袖/長ズボンを着用すべきでしょう。
事故だけが怖いわけじゃない! 半袖/短パンの隠されたデメリットとは?
では、事故さえ起こさなければ半袖/短パンで乗っても問題ないのかといえば、さにあらず。別のデメリットも存在します。
半袖/短パンでバイクに乗っていると、腕や脚の広範囲が日焼けによってダメージを受けます。日焼けと聞くと健康的な黒い肌を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、乗車中は暑い時期の日差しを長時間同じ姿勢で受け続けることになり、肌が黒くなるだけでは済まないことも多々あります。
日焼けしすぎてしまうと、皮膚は赤くなってヒリヒリと痛み、より重症の場合は水ぶくれができてしまいます。また、大量の紫外線を浴びることは皮膚がんのもっとも大きな原因であるとされており、長期的に見ても過度な日焼けは身体に悪影響をもたらすと言わざるをえません。
さらに、短パンでバイクに乗ると、エキゾーストパイプ/エンジンの熱などが肌に直接影響し、低温やけどになってしまうこともあります。これらのデメリットを考慮すると、やはり半袖/短パンでバイクに乗るのは避けるべきだと言えるでしょう。
半袖/短パンでなくとも、風を通しやすいメッシュ素材のウェアを着用すれば、安全に配慮しつつ暑さを凌ぐことができます。日差しが直接肌に照りつけることもないので、場合によっては半袖/短パンを着用するよりも涼しく感じられるケースもあるでしょう。
また、ファンで服の中に風を送るファン付きウェアや、服の中に張り巡らされたチューブの中を水が循環する水冷服なども販売されています。バイク用品店や作業服店に行って確認してみるとよいでしょう。
このように、半袖/短パンでの運転は、さまざまなデメリットを考慮するとおすすめはできません。安全な服装を心がけつつ、適宜の休憩/水分補給などで熱中症にも気をつけながら、夏のライディングを楽しみましょう。
※本記事は2023年8月2日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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