
鈴鹿8耐の予選日にあたる2024年7月20日(土)、前夜祭イベントのひとつとして、創立70周年を迎えたヨシムラの歴史的なデモランが行われた。エキゾーストノートを披露したのは、ヨシムラの輝かしい歴史を彩ってきた3台だった。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:佐藤寿宏、編集部 ●外部リンク:ヨシムラジャパン
ホンダ研究所チームを打ち負かしたCB77の相棒マシン
2024 FIM世界耐久選手権第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第45回大会は、ヨシムラジャパンにとって歴史的な大会になった。……といっても本稿執筆時点では決勝の結果は出ていない。本記事の主題は予選日にあたる7月20日の出来事だ。
以前の記事でもお伝えしたが、2022年の7月にアメリカのアラバマ州にある『バーバー・ヴィンテージ・モータースポーツ・ミュージアム』が、1964年に行われた鈴鹿18時間耐久レースに出場したヨシムラのマシンを入手し、それが16時間までトップを走っていた250ccのCB72だった。※レースで勝ったのはセカンドチームのCB77(305cc)。
そのCB72がレストアされ、ヨシムラの創立70周年にあたる今年の鈴鹿8耐でデモランを披露することになったのだ。
今から60年前にPOP吉村がチューンしたマシンが現存し、それを日本に運んで走らせようという。リスペクトにあふれるイベントである。
そして、記念すべき日に走ったのはそれだけではない。1980年の鈴鹿8耐第3回大会で優勝したGS1000R、そして2007年の第30回大会で優勝したGSX-R1000の、あわせて3車が走ることになった。
CB72[1964]
GS1000R[1980]
GSX-R1000[2007]
ライダーもヨシムラの伝説を築いてきた人たちだ。まずCB72を駆るのはPOP吉村の子息にしてヨシムラジャパン前社長にして現会長の吉村不二雄さん。この日のためにクシタニで日の丸をモチーフにしたレーシングスーツを制作した。
GS1000Rを駆るのは、1978年の第1回大会の頃はヨシムラのお客さんとして参加していたという伝説のメカニック、浅川邦夫さん。そしてGSX-R1000を走らせるのは、ヨシムラのマシンで数々のレースを戦ってきた辻本聡さんだ。
このデモランを支えるヘルパーには、ヨシムラファンとしても知られる長瀬智也さんも参加。彼らと観衆が一体になって、今ではほとんど聞くことのないメガホンマフラーの2気筒サウンド、鉄製集合マフラーの奏でる重厚なハスキーサウンド、そして現代の4気筒サウンドとほぼ同等のレーシングサウンドに酔いしれた。
左から加藤陽平ヨシムラ新社長、浅川邦夫さん、吉村不二雄さん、辻本聡さん、長瀬智也さん。
「サングラス取った方がいいんじゃないの!?」といいながらお茶目をかます辻本さん。神々の戯れである。
カメラの位置取りの関係で金網越しになってしまったが吉村不二雄さんの走り。編集部撮影。
こちらはカメラマンによる走り写真。
デモラン後に出迎えるのは長瀬智也さん。
がっちりキャッチ。
笑顔満面。
18耐を走った超レジェンドもトークショーに参加
デモランの跡にはグランドスタンド前でトークショーも繰り広げられた。ヨシムラ70周年にふさわしいリスペクトにあふれたトークが繰り広げられただけでなく、なんと1964年の18時間耐久でCB72を駆ったライダー本人である倉留福生さん(御年85歳)も参加。今もバイクを乗り回すという若々しさで、当時の「親父(POP吉村)が物凄い剣幕で『抜けーっ!!!』ていうもんだからさぁ」などと、当時の雰囲気を伝える貴重な証言も飛び出した。
最後は吉村不二雄さんの「みんなで8耐を盛り上げましょう1」で締めとなり、ヨシムラファン、レースファンから大きな拍手が贈られた。
文中の超レジェンド、倉留福生さん。85歳とは思えぬ若々しさはライダーゆえ?
最後は握手で。この面子では辻本聡さんが一番若者ということに。
その他の写真ギャラリー
準備中。
ちょっと悪そうに見える?
この場にいて写真を撮らないという選択肢はない長瀬智也さん。
USヨシムラ代表の吉村雄策さん(左)も加わる。
日の丸モチーフのレーシングスーツはクシタニ製。
浅川邦夫さんとGS1000R。
GSX-R1000と辻本聡さん。
いろんな組み合わせで記念写真を撮りまくる。
いよいよ走り出す!
いよいよ走り出す! その2
GS1000Rの走行。
GSX-R1000の走行。
言葉はいらない。
浅川邦夫さん。
加藤陽平社長もトークショーの最後に呼び込まれて挨拶。決勝での健闘を誓う。
浅川さんと辻本さん。
撤収する長瀬智也さん。
動画【POPの魂が注がれた、このサウンドを聞け!!】POP吉村チューンのCB72、吉村不二雄氏のライディングで鈴鹿を走行!!
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