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マン島TTが開催される2週間で、マン島にはおよそ13,000台以上のバイクがやってくる。淡路島ほどの大きさの島にそれだけの膨大な数のバイクが集まれば、それだけで島中がバイクミュージアムのようになる。ここではそのごくごく一部から、なかなかお目にかかれないレアなバイクを紹介しよう。
●文/写真:ヤングマシン編集部(山下剛)
ホンダを筆頭とした日本車、各年代のトライアンフ、ノートン、BSAも!
マン島にやってくるバイクのナンバープレートをざっくりと見渡すと、圧倒的に多いのはやはりイギリスだ。もちろんマン島ナンバーのバイクも目立つが、イギリスに比較的近いせいかフランス、ドイツもけっこう多い。ほかにもオランダ、ベルギー、イタリア、スペイン、サンマリノなどなどヨーロッパ各国のナンバーは頻繁に見かける。数年前には中国、オーストラリア、アメリカのナンバープレートも見つけたことがある。
1万台以上のバイクすべてに遭遇できるわけではないが、ちょっと目を凝らしているとやはり多いのは日本車だ。とくにイギリス人はホンダを筆頭に日本車が好きなようで、スーパースポーツをはじめとして幅広い年代にわたる、かなり多様な車種を見つけることができる。
そして、当然ではあるがヨーロッパメーカーの比率が日本で見かけるよりも高く、お膝元だけあってトライアンフは圧倒的に多い。50~60年代の黄金期からメリデン時代末期、そしてヒンクレー時代の黎明期から現代まで幅広い年代にまたがるトライアンフを見つけることができる。また、BSA、ノートン、ベロセットといった英国旧車も頻繁に見られる。
最高峰のロードレースを観戦しにくる人たちだからスーパースポーツはやはり多いが、マン島までの長距離を走ってくるからか、アドベンチャーツアラーもかなりの台数がやってくる。BMW R-GSが大勢力ではあるが、ドゥカティ・ムルティストラーダ、KTM・スーパーアドベンチャーの数は日本よりも圧倒的に多い。
レースばかりに注目してしまうが、マン島にやってくるバイクを調査、取材するだけでもけっこうなボリュームになるし、おもしろい記事ができると思うが、ここでは厳選しためずらしい20台を紹介しよう。
以下、マン島で見つけたレアなバイクをずらっと紹介!
ドイツの記念碑的マシン
1939年にシニアTTを制した『BMW Type255 500 KOMPRESSOR』。ドイツ人ライダーのゲオルグ・メイヤーが走らせて、マン島TTで初めて外国人ライダーとしての勝利を獲得した、記念碑的レーサーだ。今年はそのBMWの初勝利から85年を祝うパレードラップが予定され、このレーサーをピーター・ヒックマン選手が走らせることになっていたのだが、雨天に見舞われたため残念ながら中止となり、走る姿を見ることはできなかった。
↑のマシンを撮影するため?
おそらくその500 KOMPRESSORを撮影するためにスタンバイしているカメラバイク(BMW M1000R)。写真で確認できるだけでも5台のカメラを装備しているが、見えない部分にも数台のカメラがあるはずだ。
1200ccのV4マシン!
2016年、ノートンはアプリリア製V4エンジンを搭載したマシンでマン島TTに参戦していた。そのノウハウをフィードバックしたスーパースポーツがこちらの『V4SS』。エンジンは自社開発した1200ccV4を搭載している。200台限定で生産され、その価格は44,000ポンド(当時の為替レートでは約600万円)。おそらくイギリス国内でもかなりレアなバイクのはずだ。
サイドカークロス?
BSA B33をスクランブラー風にしつつ、サイドカーを装着したかなりユニークな一台。クロム処理をはじめとして、製作にかなりの手間と時間を注ぎ込んだことは想像に難くない。ゼッケンプレートの刻印からすると1956年式のようだ。なお、B33に搭載されるのは4ストローク499cc空冷単気筒OHVエンジンは23ps/5500rpmで、最高速度は130km/hを誇った。
フルパワー2ストローク!
どちらもかなりコンディションがいい2ストロークコンビ。カワサキ・マッハ750SS(左)とスズキ・RGV-Γ250(右)。カラーリングから判断するにガンマは1992年式で、とうぜん輸出仕様のはずなので最高出力は65ps!
日本じゃ見なくなったけど……
ドゥカティのカスタムマシン、ベースモデルは750SSで、750F1レーシング風に仕上げている。日本ではこの年代のカスタムドゥカティはなかなかお目にかかれなくなってきた。てっきりイタリアからやってきたエンスーかと思いきや、ドイツのナンバープレートがついていた。
CCMってご存じ?
CCMはイギリスのメーカーで、1970年代にBSAがレース部門を閉鎖したときに、残っていたフレームなどの部品を買い上げ、量産メーカーとしてスタートした。これは2017年に発売した『スピットファイヤ シックス』で、CCMの職人が手曲げして製作するフレームにハスクバーナ製4ストローク600cc水冷単気筒エンジンを搭載したフラットトラッカー。シートより後ろは何もない、思い切ったデザインがカッコいい!
WGP時代、最後の4ストローク優勝車(のレプリカ)
1974年の世界GPで、フィル・リードが走らせてチャンピオンを獲得したMVアグスタの500ccレーサーのレプリカで、MVアグスタにとってこれが世界GPでの最後の優勝となった。これ以降、世界GPは2ストロークレーサー時代となり、MotoGPに変わるまでのおよそ30年、ヤマハ、ホンダ、スズキが世界GPを圧倒するようになる。そんな時代を象徴するマシンなのだ。
今年も来たぜ!
日本製小排気量車マニアも少なからずいて、スーパーカブはTT期間中、毎日数台を見かけるほどだが、それでもヤマハ・チャピィ(1973~1980年)はなかなかお目にかかれない。といってもこのオーナーは毎年マン島TT観戦にやってくるので(あるいはマン島住民かも?)、毎年のように彼とチャピィに遭遇している。
綺麗な空冷2ストローク
マン島で2ストロークのエンジン音が聞こえると、たいていヤマハRDだ(そうでない場合はKTMのエンデューロマシン)。年式を問わずRDはかなりの人気モデルで、TT期間中に何台ものRDを見かけるが、同じRDにはほとんど遭遇しないほどの数が走っている。とはいえ、多くはRD350(水冷)で、RD400(空冷)はめったにお目にかかれない。
こんなスーパーデューク、見たことない!
マン島TTはサイドカーレースもあるからか、あるいはそもそもヨーロッパではサイドカーの台数が多いからか、日本では見られないほどの数と種類を見かける。これはKTM・1290スーパーデュークGTをカスタムしたサイドカーだ。
メガモトがベースって……
こちらはBMW HP2メガモトを改良したサイドカー。このほかにもR1250GSアドベンチャー、ノートン・コマンド、FJR1300などのサイドカーを見かけたが、きっとまだまだユニークなサイドカーが走っていたに違いない。
トリドゥカティ……だと……?
パッと見ただけではドゥカティの旧車だが、よくよく見るとエンジンはトライアンフ。フレームなどの車体はドゥカティ・ダイアナ系で、エンジンはT100R(1970~1973年)。ドゥカティとトライアンフを融合させたカスタムのことを『トリドゥカティ』と呼ぶそうだ。
現地じゃ珍しくないけど本当は貴重
トライアンフ・T120Rボンネビル(おそらく1970年以降の後期型)。かなりコンディションがいい個体だが、こうした旧車があちこちを走っているので、貴重な車両だということを忘れてだんだんと注目しなくなってしまう。
漕げるFS1
知人の自宅に飾ってあったヤマハ・FS1-E。日本ではFS1として1969年に発売された原付一種だが、イギリスやヨーロッパ諸国で法規対応するためにはモペッドである必要があったため、ペダルが追加されたFS1-Eとなっているそうだ。
日本ではRZ350としてお馴染み
マン島で見かけるヤマハの旧車は圧倒的にRD350が多い。ノーマルをキープしているものからカスタムしたものまで、実にたくさんのRD350が走っている。
英国にも油冷好きは多いのか
意外なほどよく遭遇するモデルのひとつが、スズキ・バンディット1200。油冷ファンはイギリスにも多いのかもしれない。この写真はTT終了翌日のフェリー埠頭で撮ったもので、積載している大荷物から察するに2週間キャンプ生活をしていたに違いない。
66年モノとは思えない綺麗さ
これまた博物館級に抜群にコンディションがいい、BSA・ゴールドスター。ここまできれいだと、つい旧車であることを忘れてしまうが、エンジンナンバーによればこのゴールドスターは1958年式で、製造から68年も経過している!
新車からずっと
ホンダ初のターボ搭載バイク、CX500ターボ(1981年)。輸出専用モデルだったので、日本ではめったに見かけない。オーナー氏に聞いたところ、当時新車で購入してずっと乗り続けているそうだ。
意外な人気モデル?
パドックにあったリトルホンダ(1966年)。記事を書くにあたってネット検索したところ、フィエスブックに海外のオーナーズクラブを発見。登録者数は3306人もいるので、かなりの人気モデルなのかもしれない。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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