
カワサキはインドネシアで、先日発表したばかりの「W175」シリーズとは異なる新型の「W175」を発表した。空冷2バルブ177ccの単気筒エンジンは同系統だが新たにFI化され、車体寸法や重量も異なっている。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
スペックはほぼインド仕様そのものか
インドネシアで2025年モデルのW175が発表されたのは既報のとおりだが、これに続く新型のW175が同国で発表された。空冷2バルブ177ccの単気筒エンジンは新たにFIを獲得し、フロントブレーキにはシングルチャンネルのABSを標準装備。さらにメーターは液晶表示パネルが追加されている。
これ、スペックと写真を見る限りでは2023年末にインドで発表されたインド仕様のW175、ほぼそのもののようだ。FI化にともなう2次エアシステムも同様に追加されており、インドに近い仕様だとすればユーロ5に近いとされるインドの排出ガス規制・BS6に適合しているはず。
インドネシアでは2022年にユーロ4が導入されたが、いずれユーロ5に切り替わっていくのは時間の問題だ。となれば、先行してユーロ5相当の規制に適合した新型モデルを投入し、順次切り替えていくのが得策だろう。
現行インドネシア仕様のW175からスペックシート上で変更を受けているのは以下のとおり。上記のFI化、2次エアシステム採用、シングルABS、そしてメーター変更に加え、マフラーの大型化やスイングアームの延長、ハンドル位置の変更などが見て取れる。全体にはやや大柄になった印象だ。
現行W175(BJ175A) | 新型W175(BJ175D | |
エンジン | 空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ | ← |
総排気量 | 177cc | ← |
ボア×ストローク | 65.5×52.4mm | ← |
圧縮比 | 9.1:1 | ← |
燃料供給装置 | キャブレター/ミクニVM24 | フューエルインジェクション |
点火装置 | DC-CDI | Digital |
エンジン始動方式 | セル | ← |
変速機 | 5段リターン | ← |
最高出力 | 13ps/7500rpm | ← |
最大トルク | 1.3kg-m/6000rpm | ← |
フレーム | スチール製ダブルクレードル | ← |
キャスター/トレール | 26.0°/76mm | 26.0°/78mm |
タイヤサイズ | 前80/100-17 後100/90-17 | ← |
ホイールベース | 1275mm | 1320mm |
最低地上高 | 165mm | ← |
シート高 | 780mm | 790mm |
装備重量 | 126kg | 135kg |
燃料タンク容量 | 14L | 12L |
全長×全幅×全高 | 1930×765×1030mm | 2005×805×1050mm |
サスペンション前 | φ30mm正立フォーク/トラベル110mm | ← |
サスペンション後 | スイングアーム/ツインショック | ← |
ブレーキ前 | φ220ディスク+2ポットキャリパー | φ270mmディスク +2ポットキャリパー(ABS) |
ブレーキ後 | ドラム | ← |
用意されるカラーはブラックの1色のみで、価格は3590万ルピア(日本円換算約34万6000円)。現地での発売予定は2024年8月とされた。
従来の仕様はインドネシア生産だったが、インド仕様と同スペックになったことで生産がインドに集約されるのかは不明。しかし、その可能性は低くないだろう。一方で、ユーロ5相当のモデルとなったことでインド発のグローバル展開に、そして日本にも……なんて考えるのは勇み足が過ぎるだろうか?
KAWASAKI New W175[2025 Indonesia model]
KAWASAKI New W175[2025 Indonesia model]
KAWASAKI New W175[2025 Indonesia model]
大まかな変更点はこちら。FI+2次エアシステム、ABS、メーターに液晶追加などで一気に最新ネオレトロモデルな感じになった?
以下は2025年モデルとして発表されたばかりのW175シリーズ(キャブレター仕様)。今後の棲み分けはどのようにしていくのだろうか?
KAWASAKI W175 SE / BLACK STYLE[2025 Indonesian model]
W175 SEは、キャブトンタイプのマフラーとシンプルなスタイリングが特徴で、燃料タンクは14L、13psの空冷単気筒を搭載した車両重量は126kgだ。最低地上高は、路面舗装率の関係か165mmと高めに設定され、前後17インチのスポークホイールに前ディスク/後ドラムブレーキを組み合わせている。また、ブラックスタイルという黒で引き締めたバージョンも用意。
主要諸元■全長1940 全幅765 全高1045 軸距1275 最低地上高165 シート高785(各mm) 車重126kg■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 177cc 13ps/7500rpm 1.3kg-m/6000rpm 変速機5段 燃料タンク容量14L■ブレーキF=φ220mmディスク+2ポットキャリパー R=φ110mmドラム タイヤサイズF=80/100-17 R=100/90-17 ●参考価格:3510万ルピア/ブラックスタイル=3600万ルピア ●色:緑、スモークゴールド、黒 ※諸元と価格は全てインドネシア仕様
KAWASAKI W175 SE[2024 Indonesian model]CANDY ARSENIT GREEN
KAWASAKI W175 SE[2024 Indonesian model]METALLIC SMOKE GOLD / EBONY
KAWASAKI W175 SE BLACK STYLE[2025 Indonesian model]METALLIC SPARK BLACK
KAWASAKI W175 CAFE[2025 Indonesian model]
カフェレーサースタイルのW175カフェは、W175 SEとほぼ同スペックの車体にメーターバイザーを加え、シート形状を変更したもの。燃料タンクのグラフィックパターンも異なる。
主要諸元■全長1940 全幅765 全高1045 軸距1275 最低地上高165 シート高785(各mm) 車重126kg■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 177cc 13ps/7500rpm 1.3kg-m/6000rpm 変速機5段 燃料タンク容量14L■ブレーキF=φ220mmディスク+2ポットキャリパー R=φ110mmドラム タイヤサイズF=80/100-17 R=100/90-17 ●参考価格:3640万ルピア ●色:灰、白 ※諸元と価格は全てインドネシア仕様
KAWASAKI W175 CAFE[2025 Indonesian model]PEARL STORM GRAY / METALLIC SPARK BLACK
KAWASAKI W175 CAFE[2025 Indonesian model]
KAWASAKI W175TR[2025 Indonesian model]
最低地上高はシリーズ他車に比べて30mm高く、車重やエンジンスペックなども異なるレトロスタイルのトレールモデル。スキッドプレートやセミアップマフラー、アップフェンダー、燃料タンクなども専用部品だ。
主要諸元■全長1950 全幅805 全高1085 軸距1285 最低地上高195 シート高805(各mm) 車重121kg■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 177cc 13ps/7500rpm 1.4kg-m/6000rpm 変速機5段 燃料タンク容量7.5L■ブレーキF=φ220mmディスク+2ポットキャリパー R=φ110mmドラム タイヤサイズF=80/100-17 R=100/90-17 ●参考価格:3430万ルピア ●色:黒 ※諸元と価格は全てインドネシア仕様
KAWASAKI W175TR[2025 Indonesian model]EBONY
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(カワサキ [KAWASAKI])
本当に初速でZX-10Rを上回ると感じる加速っぷり エンジンにプラスしてモーターの力で走るハイブリッド(HV)モード、モーターのみで走るEVモード、それに加えて自動クラッチにATミッションと、現在にお[…]
ゼロハンが一番熱かった夏 多くの若者がバイクを愛し、GPライダーが同世代共通のヒーローとなった1970年代後半。 それでもフルサイズの“バイク”は、経済的理由や悪名高い“三ナイ運動”の影響からなかなか[…]
既存の常識を打ち破る驚異的な動力性能 昨今ではあまり話題にならないものの、’70年代以降の2輪業界で、もっとも長く”世界最速”の称号を保持していた…と言うより、もっとも世界最速に”こだわっていた”メー[…]
アッパーミドルクラスに君臨する“Sugomi”ゼットの中核モデル カワサキは北米において、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」の202[…]
ニューカラー採用、ビキニカウルの“カフェ”も新色に カワサキは北米で、アーバンクルーザー「バルカンS」および「バルカンSカフェ」の2026年モデルを発表した。流麗なスタイリングはそのままに、標準モデル[…]
最新の関連記事(新型ヘリテイジ/ネオクラシック)
デザイン刷新&Eクラッチ採用の2024年モデルからカラーバリエーションを変更 ホンダは欧州で、2024年モデルのマイナーチェンジでデザイン変更とEクラッチ(Honda E-Clutch)搭載仕様の追加[…]
スーパースポーツ譲りのエンジンと幅広いシーンに対応する車体 CB1000Fは、ホンダの代表的なプロダクトブランド「CB」のフラッグシップモデルと位置づけられている。 スーパースポーツモデルのエンジンを[…]
多くのカラーパターンを採用するCB350C、特別な2色のスペシャルエディション ホンダはインドでCB350C(日本名:GB350C)を発表した。これは前年に登場したCB350を名称変更したもので、従来[…]
青ベース、白ベースそれぞれのツートーンが登場 カムシャフトの駆動にベベルギヤを用いた、美しい外観の空冷バーチカルツインエンジンを搭載(バーチカルは垂直に立ったシリンダーを指す)するW800は、360度[…]
カワサキ大排気量モデルの原点は、2026年モデルも普遍性を継承 目黒製作所の創立100周年だった2024年秋、「メグロK3」が初のデザインアップデートを受けた。2024年11月発売のメグロS1のカラー[…]
人気記事ランキング(全体)
デザイン刷新&Eクラッチ採用の2024年モデルからカラーバリエーションを変更 ホンダは欧州で、2024年モデルのマイナーチェンジでデザイン変更とEクラッチ(Honda E-Clutch)搭載仕様の追加[…]
新型CBは直4サウンドを響かせ復活へ! ティーザー画像から判明したTFTメーターとEクラッチ搭載の可能性 ホンダは中国がSNS『微博』にて、新たなネオクラシックネイキッドのティーザー画像を公開したのは[…]
電子制御CVTにより街乗りもスポーティ走りも思いのまま! ヤマハは、インドネシアや日本に続いて新型スクーター「NMAX155」を欧州市場に投入する。これまでNMAX125のみラインナップ(一部地域では[…]
ゼロハンが一番熱かった夏 多くの若者がバイクを愛し、GPライダーが同世代共通のヒーローとなった1970年代後半。 それでもフルサイズの“バイク”は、経済的理由や悪名高い“三ナイ運動”の影響からなかなか[…]
低く長いデザインが個性マシマシ! レトロモダンなボバークルーザー 中国から新たな刺客がやってきた! ベンダは2016年設立の新興メーカーで、独自設計のエンジンを搭載したクルーザーを中心に、ネイキッドな[…]
最新の投稿記事(全体)
ハンドルまわりだけでも用語はたくさん 「いつかは旧車に乗り、自分専用のカスタムをしたい」と、憧れを抱いている筆者。その夢を叶えるためには、ひとつの大きなハードルがあったりする。そもそも、各部の名称や役[…]
まめなオイル管理が、良コンディションを維持できる秘訣 新型スーパーカブが発表されて以降、新型のシリーズモデルは、週末に限らず、毎日のように街中で見かけるようになった。軽く気ままに走ることができるモデル[…]
電子制御CVTにより街乗りもスポーティ走りも思いのまま! ヤマハは、インドネシアや日本に続いて新型スクーター「NMAX155」を欧州市場に投入する。これまでNMAX125のみラインナップ(一部地域では[…]
本当に初速でZX-10Rを上回ると感じる加速っぷり エンジンにプラスしてモーターの力で走るハイブリッド(HV)モード、モーターのみで走るEVモード、それに加えて自動クラッチにATミッションと、現在にお[…]
初の2ストGPマシンNS500を応援するホンダファンは3気筒のエンジンのMVX250Fに目が釘づけ! 1979年、ホンダは世界GP復帰宣言で500ccの4ストロークV型4気筒(当初はオーバルピストン3[…]