
最近取り締まり強化されたことでよく聞くようになったのは「モペット」という言葉。もともとはモペッドだったはずだが濁点のないほうが多く流通している。また、『バイクという言葉は自転車を指す』という声も聞かれるようになった。ちょっと整理してみたい。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
オートバイって何語? バイクは二輪車全般を指す?
日本で自動二輪を指す言葉として使われるのは、「オートバイ」「バイク」「モーターサイクル」といったものがあり、少し堅い言い方なら「二輪車」もあるだろうか。一般に馴染みがあるのはバイク、あるいはオートバイだ。
バイクといえば、近年は日本でも自転車乗りがスポーツ自転車のことを“バイク”と呼称するようになり、たとえばヤフーニュースのような自転車とオートバイの記事が一緒くたに掲載されるような場では多少ややこしく感じる向きもあるだろう。
本来で言えばバイク=BIKEは二輪車全般を指すもので、日本では数十年にわたって自動二輪を指す言葉として親しまれてきたものの、自転車を指すと言われればまあそちらも正しいですよねと言うほかない。
海外の英語圏で言えばアメリカでは自転車のほうをバイクという傾向が強いようで、イギリスではどちらもアリ。イギリスの歴史あるオートバイ雑誌は「BIKE」を名乗っている。
英語圏では当然モーターサイクル(motorcycle)またはモーターバイク(motorbike)のほうが一般的ではあるが、会話中の文脈によって使い分ける傾向もあるようだ。たとえば英語のバイク動画やインタビューでは、カテゴリーとして言う場合はモーターサイクルあるいはモーターバイク、口語で特定の現物を指すときには“my bike”などという言い回しも見られる。
ちなみにヤングマシンでは統一表記として「バイク」を用いるが、これは創刊2年後の1974年頃からのようで、1972年の創刊当時は『オートバイ総合誌 ヤングマシン』を名乗っていた。
このほか、英語圏以外ではMoto(モト)と呼ぶ地域もあり、英語圏でも何か別の単語を組み合わせる際にもモトが用いられることが多い。例としてはモトクロス、モトブログ、モトGPといったところだろうか。
『オートバイ』については和製英語というか、“自動で走る自転車”を意味するオートバイシクル(AutoBycycle)を日本で適当に省略して定着したもの。大正時代からある最も歴史の長い雑誌がその名に冠しているだけあって、特にベテランはオートバイの呼称を好む傾向がある。
漢字で書くなら?
バイクを漢字で表現するなら自動二輪車になる。単に二輪車でも通じるが、自転車も含んでしまうため使う場によっては混乱を招く可能性も。お役所的な方面でいうなら、道路交通法による車両区分では自動二輪車、50cc以下のものは原付=原動機付自転車になり、同じく道路交通法での免許区分もこれに即したものに。詳しくは以下のとおりだ。
道路交通法における車両の区分
50cc以下 | 51~400cc | 401cc~ |
原動機付自転車 (原付) | 普通自動二輪車 (普通二輪) | 大型自動二輪車 (大型二輪) |
道路交通法における免許の区分
50cc以下 | 51~125cc | 126~400cc | 401cc~ |
原動機付自転車免許 (原付免許) | 普通自動二輪車免許 (小型限定) | 普通自動二輪車免許 (普通二輪免許) | 大型自動二輪車免許 (大型二輪免許) |
混乱しやすいことに、道路交通法とは別に車両の登録等にかかわる「道路運送車両法」というものもある。こちらは125ccまでを原付(一種/二種)と呼び、250ccまでは軽二輪、そして251cc以上を小型二輪と呼ぶ。たとえば750ccのバイクがあったとして、道路交通法では大型二輪と呼び、道路運送車両法では小型二輪と呼ぶわけだ。詳しくは以下のようになっている。
道路運送車両法の区分
50cc以下 | 51~125cc | 126~250cc | 251cc~ |
第一種原動機付自転車 (原付一種) | 第二種原動機付自転車 (原付二種) | 二輪の軽自動車 (軽二輪) | 二輪の小型自動車 (小型二輪) |
このほかベテラン勢は「単車」という言葉も使うが、これはサイドカー(側車)付きの二輪車が今よりも一般的だった時代に、バイク単体で走る車両という意味で単車と呼ばれたもの。一時は死語に近かったものの、最近は幅広い世代のネオクラシックブームなどにより再び市民権を得ている。
取り締まりで話題のモペットは?
電動アシスト自転車と同じような形態で販売されるが動力的に原付に区分されるもの、同じく自転車スタイルだが明らかに漕がないで進む動力を備えているものも原付として厳格化し、この4月より違法自転車が厳しく取り締まられるようになった。
1969年に発売されたリトルホンダは、スーパーカブを細身にしたようなスタイルでペダル付きだった。これが正しいモペッド(Moped)といえる。
このきっかけになったのは、電動アシスト自転車と混同されやすい形状のペダル付き原付バイク「モペット」について、それは原付であることを道交法に明記すると3月5日に閣議決定されたこと。警察庁はこれを法律に明記して周知するとしている。
これが報じられた際に用いられたのは、濁点のない「モペット」だった。
モペットとは何かと言うと、ペダルと原動機が付いた二輪車という意味でMotor + Pedalからできた造語なのだが、本来は英語圏でモペッド(濁点あり)の名で親しまれたもの。ところがこの言葉が日本に入ってきた頃にはペダル付き原付が少なかったこともあって、それに似たスタイルの小排気量車をモペッドと呼称するようになり、言葉も濁点のないものに変化した。
これは諸説あるが、濁点があると言いにくいとか、ペットのような可愛さを連想できるからといった理由でモペットに変化し、これが定着したと言われている。ヤングマシン編集部のある東京都台東区にかつてあった山口オートペットなども、この流れを受けた名称のようだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
A:どちらも不具合。後ろはアフター、バックは戻ると覚えるべし 未燃焼ガスがシリンダー外で燃えるという意味では、どちらも同じ”不調”を表している。アフターファイアーはマフラー側に流れた未燃焼ガスが引火す[…]
交換するだけで愛車がスポーツバイクにもツーリングバイクにもなる タイヤは、すごい。バイクのパーツで唯一路面に接しており、その接地面積は、たったクレジットカード1枚分と言われる。たったこれだけでバイクを[…]
半クラッチは熱膨張で繋がる位置が変わる! ほんとんどのバイクは、エンジンのシリンダーよりちょっと後ろに丸い膨らみがある。これがクラッチ。 丸い膨らみの中には、エンジンのパワーを発生するクランクシャフト[…]
トレッドのグルーブ(溝)は、ウエットでタイヤと接地面の間の水幕を防ぐだけでなく、ドライでも路面追従性で柔軟性を高める大きな役割が! タイヤのトレッドにあるグルーブと呼ばれる溝は、雨が降ったウエット路面[…]
ハンドルで前輪を押えると曲がる機能を妨げてしまう! よくいわれるのが、肩や腕にチカラが入っていると曲がりにくくなるということ。 とはいえ、チカラが抜けていたほうが理想的かも知れないけれど、いうほど違い[…]
最新の関連記事(交通/社会問題)
EVは脱炭素社会実現と移動課題の改善に寄与するか 「バイクラブフォーラムin南国みやざき」で実施されたパネルディスカッション、「電動二輪車利活用による社会課題(脆弱な二次交通)解決」において、次のトー[…]
100万都市・千葉市のバイク駐車場問題 上総台地の平坦地に位置する千葉市は、人口98万人強の大きな自治体で、現在も増加中であることから「最後の100万都市」とも呼ばれている。 高度経済成長期には大規模[…]
「令和4年改正道路交通法(マイナンバーカードと運転免許証の一体化・オンライン更新時講習)ポスター」から抜粋 免許情報が記載された「マイナ免許証」は便利に使える? 運転免許証とマイナンバーカードが一体化[…]
一回の違反で免許取消になる違反 交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる[…]
大切なバイクのメンテナンス バイクや乗用車に限らず、どんな乗り物でもメンテナンスは必要不可欠です。定期的にメンテナンスを行うことで、長く乗り続けることができるだけでなく、事故を防ぐことにもつながります[…]
人気記事ランキング(全体)
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
インフレの今、価格破壊王のワークマンがまたやってくれた! 春から初夏にかけ、ツーリングのシーズンがやってきた。爽やかな空気を全身に浴びてのライディングは最高だ。しかし…この期間はジメジメ・シトシトの梅[…]
その姿、まるでGB400TT MkIIの正統後継者! 欧州ホンダは、2025年も例年通りカスタムコンテスを開催。これは正規ディーラーがホンダ車をベースにカスタムを手がけ、オンライン投票で最優秀マシンを[…]
圧倒的に軽いCB1000Fコンセプト。足着き性も良好だ CB1000FコンセプトをCB1300スーパーフォアと比較すると、前者の方がコンパクトで引き起こしも圧倒的にラク。ただ跨ってみると意外と大柄な印[…]
フェイスリフトと前後サスペンションの再設定 ホンダが「XL750トランザルプ」の国内2025年モデルを発売する。CB750ホーネットに似た2眼ヘッドライトを新たに採用し、センターダクトを設けたウインド[…]
最新の投稿記事(全体)
Street VWs Jamboreeの概要 フォルクスワーゲンの祭典、Street VWs Jamboree 2025が6月1日に開催されます。 概要についてはこちらの記事に詳しくまとめてありますの[…]
アメリカの野生動物や軍隊に由来する車名 「最強」「最速」そして「独自のルックス」をイメージするカワサキブランドのルーツといえば2ストロークマシンの怪物500SSマッハⅢと4ストローク4気筒キングZ1を[…]
燃料タンク部分に収納スペースと給油口はテールカウルの思いきった新しいデザイン! 1990年4月、スズキはいかにもエアロダイナミクスの良さそうなフルカバードボディの250cc4気筒をリリース。 最大の特[…]
ツーリングの目的地としても楽しめる「日本の峠」たち ツーリングの醍醐味にはいろいろあるが、バイクならではの「五感で感じる風景」や「季節の移ろい」を楽しむことも大きな魅力。 山/海/川/田園風景など、走[…]
◆今回のPRO解説者:以前にはネオクラ車の解説記事もお願いしたバイクデザインのプロフェッショナル。1980年代前半に某社に入社したベテランで、オンロード系をメインに排気量の大小を問わずさまざまな機種を[…]
- 1
- 2