
2023年の東京モーターサイクルショーでは”電動版モトコンポ”とでもいうべき、「M壱」に熱視線が注がれていたFELOブース。同モデルは2024年も引き続き出展されていたが、今回注目したいのはバリエーション豊かなスクーターの方だ。会場で展示されていた4モデルを紹介しよう。
●文/写真:ヤングマシン編集部(石川順一) ●外部リンク:FELO
スポーツ走行を意識したパッケージ
近年の電動スクーターをはじめとしたシティコミューターはインホイールモーターを主に採用している。駆動系の低コスト化とコンパクト化が可能だというのが、その理由だ。
しかし、インホイールモーターにはデメリットもある。モーターを覆うようにタイヤが配置されている関係上、路面からの衝撃や振動を受けやすく制御が難しかったり、浸水や異物が混入する可能性が高まるため、荒れた路面や段差の多い場所での走行にはあまり向いていない。
そのため、フルサイズスポーツやオフロード車は、チェーンやベルトでホイールに駆動力を伝える車載モーター方式を採用していることが多い。つまりモーターの搭載方法を見れば、その電動バイクがどこで走ることを主眼に置いているかがある程度わかるということだ。
ではFELOはどうかといえば、スクーターとしては珍しい車載モーター方式。アグレッシブなデザインもさることながら、フロアボードもなく、左右に張り出したステップに高めのバーハンドルと、パッケージからしてスポーティさを主張している。
軽二輪/原2のスポーツスクーター【FW-07/F5】
フレームをはじめとした基本コンポーネントは同一となる二台で、軽二輪クラスがFW-07、原付二種クラスがF5と名付けられている。二眼+角形のLEDヘッドライトやウイングレット付きのスーパースポーツを思わせる外装等が醸し出す優れたデザイン性はもちろん、ABS付きのディスクブレーキ、ダブルアーム式のスイングアーム等、走りを意識させる装備や構成がどちらにも貫かれている。
2台の主な違いは搭載されるバッテリーとモーターくらい。そのため、FW-07の方がF5より車重が8kg増しているが、これにより大きくパワーアップしている。定格出力はF5の6倍、最大出力でも2倍以上にもなっているのだ。
最高速も80km/hから125km/hにアップ。充電時間こそ6~7時間から9~10時間にアップしているものの、1充電の航続距離は150kmのまま(50km/h巡航)と変わらないことも実用性を高めている。
【FELO FW-07】■全長1830 全幅755 全高1095mm 車重128kg ■定格出力 6000W 最大出力12000W バッテリー容量96V58Ah ■タイヤサイズF=110/80-14 R=140/70-14 ●価格:96万8000円
【FELO F5】■全長1830 全幅755 全高1095mm 車重120kg ■定格出力 1000W 最大出力5000W バッテリー容量72V58Ah ■タイヤサイズF=110/80-14 R=140/70-14 ●価格:69万3000円
デザインアクセントにもなっているステップホルダー。ゴツいスイングアームも相まって、ここだけ見ているとスクーターには見えない
ワンメイクレースもあると楽しげなレース仕様車【FW-06R】
レース向けにチューンされたモデル「FW-06R」も展示されていた。こちらはFW-07よりもモーターの出力が向上しており、車体重量も13kg減っている。販売は未定とのことだが、レースの入門用としておもしろそう。
【FELO FW-06R】■全長1830 全幅755 全高1095mm 車重115kg ■定格出力 5000W 最大出力14400W バッテリー容量96V58Ah ■タイヤサイズF=110/80-14 R=140/70-14 ●価格:未定
オフロード走行もお手の物な無限軌道オプション付き【FW-03】
オートマのオフロード入門車として1990年台に話題を呼んだ、ホンダEZ-9へのインスパイアを感じる原付二種モデルがこちら。前12インチ/後10インチのホイールや1200mmという短いホイールベース、そしてプラスチック製の一体式フルカバードデザインであることまでネタ元と一緒で、どこかおもちゃ的な雰囲気をまとっていてかわいらしい。
走りの性能は、前述したFELOの同クラス車F05とほぼ同等で、搭載されるモーターやバッテリーは一緒。ただしバッテリーは着脱可能になっており、ディスクブレーキが前後連動型のCBSと利便性が高まっている。
特徴的なのは、オプションで用意されている無限軌道。スイングアームを外して取り付けるという豪快な仕様だが、付ければ悪路の走破性は言う事なし。砂場でも急傾斜でも走れそうだ。ネタ元のEZ-9にも雪原向けのEZ SNOWがあったし、再現しようという気概が半端ない!
もっとも無限軌道は参考出展とのこと。欲しい方は熱烈なラブコールをFELOに送っておこう。
【FELO FW-03】■全長1734 全幅783 全高1026mm 車重97kg ■定格出力 1000W 最大出力5000W バッテリー容量72V58Ah ■タイヤサイズF=100/90-12 R=130/90-10 ●価格:68万2000円
男の子は大好きな無限軌道。EZ SNOWみたいにフロント用のスキーユニットも用意して欲しい!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(新型EV/電動バイク)
レンタルクーポンの利用者、先着500名に購入サポート 今回のキャンペーンは、Hondaのバイク関連サービス「HondaGO」の会員を対象としており、現在会員でない方も、新たに登録することで参加可能。キ[…]
ひと目でEVとわかる先進的なスタイリング こちらが今回発表された「CUV e:」! Hondaはこれまで、EVバイクとしてパーソナル向けに原付一種の「EM1 e:」を市販化していますが、CUV e:は[…]
【本田技研工業 電動事業開発本部 二輪・パワープロダクツ電動事業開発統括部 CUV e: LPL(開発責任者) 後藤香織さん】2006年入社。以来一貫して2輪車開発に従事し、おもに車体設計としてEV-[…]
パワフルで坂道も得意、実用的な原付二種EV 2023年のジャパンモビリティショーでコンセプトモデル「SC e: Concept」として参考出品されていたものが車名を「CUV e:」と改め、2025年6[…]
高まるペット移動ニーズに応える革新的モビリティ ガソリン価格の高騰と50ccクラス原付の製造終了という時代の転換期において、経済的かつ環境に優しい移動手段への需要が急速に高まっている。その一方で、近年[…]
最新の関連記事(新型バイク(外国車/輸入車))
アドベンチャー仕様としてオフロード性能を強化 新型モデル「スクランブラー400XC」は、トライアンフが誇る400ccモダンクラシックシリーズの新顔だ。既存のスクランブラー400Xをベースに、さらなるオ[…]
ニューカラーをまとった2026年最新トラをチェック プレミアム志向の輸入ブランドとしても、国内でも地位を確立した感のあるトライアンフ。その2026年モデルが、ニューカラーをまとって出そろった。 話題の[…]
快適性向上、簡易ナビ/USB-Cを標準装備! ロイヤルエンフィールドジャパンが新型「ハンター350{HUNTER 350)」を正式発表。価格と受注開始時期を明らかにした。 空冷ロングストロークの単気筒[…]
新進気鋭のクルーザー専業ブランドから日本市場に刺客! 成長著しい中国ブランドから、またしても新顔が日本市場にお目見えしそうだ。輸入を手掛けることになるウイングフット(東京都足立区)が「導入ほぼ確定」と[…]
水冷Vツイン・ベルトドライブの385ccクルーザー! 自社製エンジンを製造し、ベネリなどのブランドを傘下に収める中国のバイクメーカー・QJMOTOR。その輸入元であるQJMOTORジャパンが、新種のオ[…]
人気記事ランキング(全体)
森脇護氏が考案した画期的なアルミフィン構造 画期的なアイデアマンとしても有名なモリワキエンジニアリングの創始者・森脇護氏。そんな氏が数多く考案した製品群の中でも代表作のひとつに挙げられるのが、1980[…]
MotoGP黎明期のレプリカマフラーだ このマフラーは4スト990ccが導入されて、世界GPがMotoGPに代わった翌年の2003年に、ホンダRC211VエンジンのモリワキMotoGPレーサー・MD2[…]
勝手に妄想、クーリーレプリカ! スズキの『8』プラットフォームに新顔の「GSX-8T」と「GSX-8TT」が登場した。まずは欧州や北米で発売され、順次日本にも導入の見込みだ。 この新型については以前ヤ[…]
1位:ワークマン「ペルチェベストPRO2」使用レビュー ワークマンの「ペルチェベストPRO2」を猛暑日で徹底検証。最新モデルはペルチェデバイスの数が昨年モデルの3個から合計5個に増加し、バッテリーもコ[…]
美しい孔雀の羽根の色味が変わる特殊ペイントで仕上げた新グラフィック 『エクシード-2』は、カブトがラインナップするオープンフェイスの上級モデルで、赤外線(IR)と紫外線(UV)を大幅にカットしつつ、空[…]
最新の投稿記事(全体)
勝手に妄想、クーリーレプリカ! スズキの『8』プラットフォームに新顔の「GSX-8T」と「GSX-8TT」が登場した。まずは欧州や北米で発売され、順次日本にも導入の見込みだ。 この新型については以前ヤ[…]
スズキGSX-R250:過激さ控えめ“アールニーゴー” 1983年のGS250FWでクラス初の水冷DOHC4気筒を開発したスズキ。 しかし、4バルブエンジンの投入は遅れを取り、1987年のGSX-R2[…]
アドベンチャー仕様としてオフロード性能を強化 新型モデル「スクランブラー400XC」は、トライアンフが誇る400ccモダンクラシックシリーズの新顔だ。既存のスクランブラー400Xをベースに、さらなるオ[…]
お手頃価格のネオクラヘルメットが目白押し! コミネ フルフェイスヘルメット HK-190:-34%~ コミネの「HK-190 ジェットヘルメット」は、軽量なABS帽体と高密度Epsライナーが特徴のヘル[…]
【特集】黙ってZ/Ninjaに乗れ!!(動画付き) 1970~80年代直4カワサキイズム 屹立したシリンダーヘッドから連なる4本のエキゾーストパイプ。 いつの時代もライダーの心を熱くする“カワサキの直[…]
- 1
- 2