
イタリアの国内自転車&バイクアクセサリー協会が2024年1~2月のオートバイ販売状況を発表した。2月は前年同月比で+19.8%と活況だ。一方で電動バイクはどうなのか見ていってみよう。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
1-2月の累積は+9.97%、そのうち電動バイクは-38.19%
イタリアの国内自転車&バイクアクセサリー協会が、2024年2月におけるオートバイ、スクーター、モペッドの月次登録動向をリリースした。同協会の会長であるマリアーノ・ロマン氏は「内燃機関搭載車の購入奨励金が先月枯渇したことなどを乗り越え、市場は成長を遂げることができた」と述べている。
2024年2月に市場に供給されたバイクは、すでに好調だったという2023年2月に対し+19.89%の2万8401台を達成。このうちスクーターは特に業績を伸ばしており、前年同月比で+23.05%の1万3924台が登録された。モーターサイクルは+17.5%の1万3241台を登録、そしてモペッドは+11.96%の1236台が市場に流通したという。
レポートによれば1月は前年同月比マイナスだったものの、2月の好調により累積では9.97%増の4万9494台。スクーターは+11.72%で市場を牽引し、登録台数は2万4623台。モーターサイクルは+9.02%の2万2624台、モペッドは+1.44%の2247台となった。
しかしながら電動バイク領域は依然としてマイナスだといい、2023年2月と比較すると-16.86%。これも奨励金によって回復した数字であり、1月の前年同月比は-58.87%だったという。2月のゼロエミッション車は700台に達したが、スクーターは-20.15%の420台にとどまり、1-2月の累積では1057台で前年から-38.19%だった。
まだまだ内燃機関搭載車のほうが強い
欧州では四輪も含めEVの販売台数の伸びが鈍化傾向と言われているが、少なくともこのレポートからは、イタリアでは奨励金(もしくは補助金)の有無が販売台数に直結している様子が見て取れ、新しモノ好きが好んで買う場合を除けば、価格的なメリットが見いだせたら買うという姿勢が鮮明だ。
日本におけるEV(クルマのほう)は2023年の販売台数が全体の2.22%で、前年を上回っているとはいえEVシフトが進んでいるとはいいがたく、現状では内燃機関搭載車にメリットを見いだすユーザーのほうがはるかに多いことがわかる。トヨタは“使用環境によって最適解は異なる”としてマルチパスウェイ戦略を取っているが、山岳地帯が多い日本の環境でEVが最適解になるケースはまだまだ少ないのだろう。
誤解してほしくないが、EVがダメだと言っているわけではない。EV(クルマのほう)も乗り物好きが乗れば新鮮な楽しさが味わえるし、車両から電力が取り出せるなど場面によっては役立つことも多い。電動バイクにしても、動力源が静かなことで車体の挙動や振動が感じ取りやすいなど、エンジン車とは違う『操って楽しい』がある。もちろん静けさゆえに景色を見ることに意識を向けられるといったメリットも。
とはいえ、モノの価格を決めるのはあくまでもユーザーだ。欲しいと思っている価値に対して高いと思えば買わないし、安いと思えば買う。現状では内燃機関搭載車のほうに価値を感じる、もしくは安いと感じるユーザーが多いというだけのことだ。
日本においても、補助金なしでも買おうという方は結構レアだろう。今後、国も普及までは補助金でプッシュするが、普及したあとは通常運転に戻り、税金を取れるように制度を改定していくのは間違いない。そのときユーザーに『メリットがある』と思わせる電動バイクや電動のクルマがどれだけ市場に投入されているか──。今後も注視していきたい。
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