
ホンダはタイで、昨秋ミラノショーで発表された新型モデル「CB650」「CBR650R」の価格を発表した。Eクラッチの有無で価格は異なるが、日本円換算では約8万3000円差。これをそのまま日本での発売価格の参考にしていいのか検証する。
●文:ヤングマシン編集部
国内現行モデルの価格は100万1000円~111万1000円
待望のEクラッチ搭載マシンがデビュー間近か?! 昨秋のEICMA 2023で世界初公開された新型CB650R/CBR650Rは、新技術「ホンダEクラッチ(Honda E-Clutch)」を搭載したバリエーションモデルが大きな話題に。これら2車がタイで正式発表され、価格が明らかになったのだ。
Eクラッチとは、基本的にマニュアルトランスミッションを搭載しながら、クラッチ操作を電子制御が肩代わり、さらにクイックシフターと協調制御することで、よりスムーズなギヤチェンジを可能にするというもの。
発進~停止までクラッチ操作不要の走りを実現するが、一方でライダーは任意のタイミングで手動操作介入でき、システムをOFFにすれば完全なマニュアルトランスミッションとして機能する。発表前に噂されていたようなオートマチックトランスミッションの一種ではなく、マニュアルトランスミッション技術を拡張&洗練させるニューテクノロジーだ。
Eクラッチ搭載車の第1弾として選ばれたのは、並列4気筒エンジンを搭載する650シリーズのCB650R/CBR650R。日本でもすでに技術発表会が開催されたことから、正式導入の発表もカウントダウン状態と言える。3月15日以降に開催される大阪・東京・名古屋モーターサイクルショーへの参考出品も決定しており、近いタイミングでの正式発表が期待できそうだ。
Honda CB650R(写真は欧州使用)
Honda CBR650R(写真は欧州使用)
そんなCB650R/CBR650Rの価格が発表されたのは、近年バイク文化が盛り上がりを見せているタイ。
さっそく現地価格を整理すると以下のようになる。
CB650R(タイ仕様)
Eクラッチあり 33万2100バーツ(約138万3000円)
Eクラッチなし 31万2100バーツ(約130万円)
CBR650R(タイ仕様)
Eクラッチあり 34万7300バーツ(約144万7000円)
Eクラッチなし 32万7300バーツ(約136万3000円)
現行モデルが存在する標準仕様での比較では、現地価格は日本よりも約1.3倍ほど高めの設定だが、Eクラッチの有無による価格差は換算すると約8万3000円。これを1.3で割ると日本仕様でのEクラッチ有無の価格差は6万4000円程度と想定できる。
タイ仕様ほどの価格差にはならないはず……!
ただし、ヤングマシンがEICMAなどでの関係者への取材で得た情報では、MT車とDCT車の価格の半分程度になるという話も。それを参考にするなら、たとえばNC750XはDCTの有無で6万6000円差、CRF1100Lアフリカツインとレブル1100では11万円差になっている。
機種によって違いがあるので厳密には言えないが、約半分というなら3万3000円~5万5000円の価格差だ。
日本市場は新技術への理解度が高く、普及への弾みをつけたいというホンダの意図も勘案するならば、可能な限り価格差は押さえたいはず。となれば、5万円程度の価格差を期待してもいいのではないか、というのがヤングマシンとしての結論だ。
2024年モデルへの切り替えでベース価格アップも考えられるが、近年のホンダの傾向からすれば最小限に抑えてくるだろう。というわけで、ズバリ以下の価格を期待したい!
CB650R(日本仕様)
Eクラッチあり 110万円前後
Eクラッチなし 104万円前後
CBR650R(日本仕様)
Eクラッチあり 118万円前後
Eクラッチなし 112万円前後
Eクラッチ仕様が追加されたミドル直4兄弟
2024年型のCB650R/CBR650Rは、従来型をベースにフェイスリフトを含む外観の変更、そして前述のとおりEクラッチを採用した。これは有段式マニュアルトランスミッションの電子クラッチとしてバイクでは世界初の新機構。従来のレバー操作を伴うマニュアルクラッチ操作から、クラッチレスに早変わりするとともにシステムのON/OFFによって普通のMT車と全く同じ操作感にもなる。
2024年モデルの変更点は外観のほか、メーターを従来のモノクロLCDからフルカラーTFTに刷新。シート下にはUSB電源ソケットを設置している(欧州仕様)。尻上がりのフォルムが強調され、シート形状変更、灯火類の新設計など見所は多い。下記は(簡単ではあるが)現地の跨りレポートだ。※身長170cm/体重71kg
CBはネイキッドとしては低めのバーハンを採用し、上体がやや前傾。ストリートファイター的なライポジだ。
セパハンのCBRはさらに低いが、前傾は浅く、ツーリングも問題ない。ともにステップ位置はやや後ろ寄り。足着きは両足の腹がしっかり着く。
2車共通でテールカウル&ライトが新形状に。ややロングテールになって、かつ尻上がりに伸び上がるスタイルになった。シート形状はライダ-/パッセンジャー側ともに見直され、欧州仕様ではシート下にUSB電源ソケットも新設された(日本仕様は未発表)。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
『大きいスーパーカブ』ではない ──では、なぜこのようなシステムを開発したのでしょうか? DCTとの違いについても伺いたいです。 「まず、DCTはオートマチックトランスミッションの一種ですが、Eクラッ[…]
既存のMT車にも順次導入か ホンダがEICMA2023で初公開した「Honda E-Clutch(Eクラッチ)」は、マニュアルトランスミッション(MT)車にクラッチの電子制御を追加する技術で、基本的に[…]
Eクラッチの650マシンやGB350Cを出展か 3月15日より開催の大阪モーターサイクルショー、3月22日より開催の東京モーターサイクルショー、4月5日より開催の名古屋モーターサイクルショーに向けて、[…]
CO2削減とEV化。日系メーカーには難問が立ちはだかっている ヤングマシン本誌で連載している「SDGs 持続可能なバイクライフへ──トップたちの提言」で、今年も各界のトップのみなさんのお話を聞かせてい[…]
24YMHONDACBR650RSOCIAL 2024年初夏頃に発売か ホンダは12月20日に都内で新技術「Eクラッチ」の説明会を行った。その場の質疑応答で明らかになったのは、同技術を搭載した新型モデ[…]
最新の関連記事(メカニズム/テクノロジー)
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
ケーヒン/ショーワ/ニッシン/日立を統合した“日立Astemo(アステモ)”が4月より“Astemo”へ 自動車業界で「100年に一度」と言われる変革期を迎えるなか、キャブレターや電子制御スロットル、[…]
【冒頭解説】ECUをサスペンションに一体化、フロントフォークに自動車高調整を初採用 2021年1月に日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業が経営統合して誕生した日立Astemo(ア[…]
ヤマハ発動機と三菱重工業は、200kgの貨物を搭載可能な中型マルチコプター型無人機(以下、中型無人機)の開発に向けた共同研究を行っていることを発表した。 パワーユニットには、ヤマハが2023年にコンセ[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
多くのカラーパターンを採用するCB350C、特別な2色のスペシャルエディション ホンダはインドでCB350C(日本名:GB350C)を発表した。これは前年に登場したCB350を名称変更したもので、従来[…]
2025年モデルでエンジンのパフォーマンスアップ、電サスや6軸IMUも採用 ホンダは欧州で2026年型「NT1100」を発表した。2022年に初登場したNT1100は、CRF1100Lアフリカツインの[…]
アメリカで僕もCB1000Fが欲しいなと思っている ──CB1000Fの印象から教えてもらえますか? 前日はHSR九州のサーキットをかなり本気で走行しましたが、その感想も含めてお願いします。 フレディ[…]
10/1発売:カワサキ「Ninja ZX-25R SE/RR」 250ccクラスで孤高の存在感を放つ4気筒モデル、「Ninja ZX-25R」の2026年モデルが早くも登場する。今回のモデルチェンジで[…]
地面を感じる直進安定性で日常の移動を安心快適に 決勝レース1で自己最高となる2位を獲得した第3戦を終え、全日本ロードレース選手権は8月下旬まで約2ヵ月間の夏休み。その間もいろいろと忙しいのですが、やっ[…]
人気記事ランキング(全体)
低く長いデザインが個性マシマシ! レトロモダンなボバークルーザー 中国から新たな刺客がやってきた! ベンダは2016年設立の新興メーカーで、独自設計のエンジンを搭載したクルーザーを中心に、ネイキッドな[…]
ネイキッドブームの立役者もライバル続出で遂に対抗刷新! 1989年、カワサキがリリースしたZEPHYR(ゼファー)は、レーサーレプリカ熱が冷めたタイミングもあって、瞬く間に400ccクラスの販売トップ[…]
フレディ・スペンサー、CB1000Fを語る ──CB1000Fのインプレッションを聞かせてください。 とにかくすごく良くて、気持ちよかったよ。僕は何年もの間、新しいバイクのテストをしてきた。HRCのテ[…]
ゼファーとは真逆のコンセプトで独り勝ちを掴む! 1989年のカワサキZEPHYR(ゼファー)をきっかけに、カウルのないフォルムをネイキッドと呼ぶカテゴリーが瞬く間に人気となった。 続いて1991年に、[…]
前年モデルでTFTディスプレイを獲得した無印 北米スズキは、2005年型GSX-R1000(通称K5)由来の痛快な並列4気筒エンジンを搭載するスポーツネイキッド「GSX-S1000」およびスポーツツア[…]
最新の投稿記事(全体)
トップス&インナー 機能性抜群な冬用パーカー JK-630:1万3000円台~ 伸縮性の高い透湿防水生地を使用したウインターパーカー。保温性に優れた中綿入りなので、暖かさをキープし快適なライディングを[…]
1903年以降、ナンバーはずっと使い続けることができる英国 ナンバープレートがオークションなどの売り物になること、じつはイギリスではさほど珍しいものではありません。 イギリスでは一度登録したナンバーを[…]
ライダーの「不安」を解消する全方位監視性能 「Driveman DD-1000」の開発責任者は、「秋のライダーが直面する『後方の不安』と『夜間の不安』、この両方を解消したいという想いで開発した」と語っ[…]
秋向けライディングギア 機能性抜群なライディングパーカー JK-604:1万2000円台~ ヨーロッパで人気の気軽にはおれるケブラー裏地入り、スリーシーズン向けスエットパーカ。肩と肘にはCEレベル2ソ[…]
テレスコピック×フラットツインは1300cc化でより軽やかに! まず正直に言うと、残念ながらR1300RS&Rの試乗はフルウエットのみで、試乗時間も2台合わせて45分という限られた時間だった。各車のお[…]
- 1
- 2