
今から42年前、WGP500ccクラスでイタリア出身のフランコ・ウンチーニがチャンピオンを獲得し、ソニーが世界初のCDプレーヤーを発売したのが1982年だ。その年に製造された新車のバイクがデッドストックとして眠っていたら……。米国で「箱入り新車」のまま発見された空冷単気筒マシンが眠りから目覚める様子が公開された。
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:Bikes and Beards
ネズミに齧られ……てはいなかった(ホッ)
「いい匂い……」
「安全第一で組み立てるぞ」
1982年に製造され、それから40年にもわたって箱入りのままになっていた新車のFT500を買ってきたのは、おなじみ米国の人気YouTubeチャンネル『Bikes and Beards』だ。
海を渡る輸入車/輸出車を見たことのある方はご存じかもしれないが、車両メーカーは国外へ新車のバイクを出荷する際には箱詰めにするものだ。鉄枠に段ボールの場合もあれば、木箱を釘で組み立てている場合も。そして、ホイールやハンドル、カウル類を外し、なるべくコンパクトに梱包するのが一般的だ。
最終的には販売店が開梱して車両を組み立て、走れる状態に整備してユーザーに引き渡すが、彼らが見つけてきたFT500は当時のままの箱に入っていて、開封した形跡なし。……とはいえ、ネズミか何かが齧ったと思われる穴が空いていたりして、一筋縄ではいかなそう。
そんな心配をしながら外側の段ボールを剥がすと、現れたのは鉄枠だった。
とりあえず匂いを嗅いでしまうのもおなじみの光景だろうか。
新品でも40年経てば油脂類が変質したりするもんよ
箱には穴が空いていたりしたものの、心配したパーツのチュー害(ネズミによる齧り)はなかった模様。でもタンクの中はガソリンがガム質化したような茶色い物体が少量ながらこびりついていたり。
特に驚くのは、ブレーキフルードが白い粉末に変化していたこと。アルミ製のリザーバータンクが粉を吹いていたので多少心配してはいたものの、リザーバータンク内では40年間における化学変化の果てを発見したのであった。
さて、それをどうするのかな……なんて思っていたら、豪快に掃除機で吸い取っていく。さすがはアメリカンである。
そんなこんなで梱包が解かれたFT500、走れる状態にすべく丁寧に組み立てていくことに。
この動画で発掘されたFT500は海外モデルなので『アスコット』のペットネーム入り。1982年6月1日に発売され、日本でも国内専用モデル FT400が登場した。エンジンはXL系をベースとした空冷単気筒で、SOHC4バルブを採用していた。1985年まで製造されたが、一切のモデルチェンジを実施することなくモデル終了となっている。
動画の車両は1982年製とのことなので、初期に生産されたもののようだ。
動画には「まだまだたくさんの新車が眠っているはず! 次はZX-12Rを希望するね」「1993年にバイクのセールスマンだった頃、同じような経験をしたよ」などの4800件を超えるコメントが寄せられている。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
くんかくんか……木の箱はジャパンの匂いがするぜぇ~! アッハハー! エンジンの上に蛇が巣を作ってたみたいだぞ! いや、ネズミっぽいぞ……? 41年も箱入り(動画公開時)になっていた新車のヤマハSR50[…]
6999ドルで入手したバイク「VOGER」、ハーレーよりでっかい箱で到着! タンクの中が明るいぞ! 彼女を乗せたらどこに足を置けばいいんだ? ヘッドカバーがプラスチック?! アメリカの人気YouTub[…]
ベースになったのはジョルノの北米版 これを送ってきたのは、同じくユーチューバーの『Sparky Moto TV』さん。なんでも、ホンダの49ccスクーター「メトロポリタン」をベースに自作したんだとか…[…]
'80年代のホンダが展開した、多様なエンジン形式 ホンダと言えば、世界的に大ヒットしたCB750FOUR('69年 空冷並列4気筒)や並列6気筒のCBX(1000)で世界に衝撃を与えたことから、並列多[…]
NHK紅白歌合戦を観て、けん玉リレーギネス記録挑戦は必要なんだろうかと思いつつ、裏番組で武田鉄矢が歌った“香水”が印象に残った'20年末、そして'21年始。それがもう遠く感じる。いつも時が経つのは早い[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
カワサキZ1、伝説のディテール デザインは後にGPZ900Rなども手がけた多田憲正氏によるもの。完璧なバランスのスタイリングだけでなく、ディテール面でも後世の車両に大きな影響を与えた。反り上がったテー[…]
歴史遺産・油冷GSX-Rを完調状態で後世に バイクブーム全盛期だった1980年代から、はや40年以上。とっくに純正パーツの供給も途絶え、そのまま埋もれ去っていく当時の車両は数知れず。その一方で「愛車と[…]
「ワインディングの覇者を目指すならCB-1」のキャッチコピーだったら評価は変わった!? カウルを装着したレーサーレプリカが出現する以前、1970年代までのスーパースポーツはカウルのないフォルムが一般的[…]
あの頃の中型 青春名車録「4気筒再び」(昭和54年) それまで全盛を誇った2気筒のブームを収束させたのが、カワサキのZ400FX。CB400フォア以来途絶えていた待望の4気筒は、DOHCヘッドを採用し[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
「ワインディングの覇者を目指すならCB-1」のキャッチコピーだったら評価は変わった!? カウルを装着したレーサーレプリカが出現する以前、1970年代までのスーパースポーツはカウルのないフォルムが一般的[…]
スマホ連携TFTやスマートキー装備のDX ホンダがミラノショーで発表した2025年モデルのPCX125(日本名:PCX)。2023年には欧州のスクーターセグメントでベストセラーになった同車だが、日本で[…]
新生CBのスポーツ性を示すイメージリーダー まだ市販車が登場していないにもかかわらず、2025年の大阪/東京モーターサイクルショーのホンダブースにはCB1000Fコンセプトのフルカスタム車が展示されて[…]
みんながCBを待っている! CB1000Fに続く400ccはあるのかないのか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「[…]
人気記事ランキング(全体)
ミルウォーキーエイト117に3タイプのエンジン登場! ハーレーダビッドソンの現行クルーザーモデルには、シリンダーヘッド/スロットルボディ/インテークマニホールドを刷新した3タイプのミルウォーキーエイト[…]
ブランド名は「南北戦争」に由来 1991年、成功を収めた弁護士、マシュー・チェンバースが興したバイクメーカー、コンフェデレート。 和訳すると「南軍」を意味する社名は、創業地がルイジアナ州バトンルージュ[…]
軽量で取り扱いやすく、初心者にもピッタリ 「UNIT スイングアームリフトスタンド」は、片手でも扱いやすい約767gという軽さが魅力です。使用後は折りたたんでコンパクトに収納できるため、ガレージのスペ[…]
みんながCBを待っている! CB1000Fに続く400ccはあるのかないのか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「[…]
「ワインディングの覇者を目指すならCB-1」のキャッチコピーだったら評価は変わった!? カウルを装着したレーサーレプリカが出現する以前、1970年代までのスーパースポーツはカウルのないフォルムが一般的[…]
最新の投稿記事(全体)
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
コンセプトが異なる3種のフルフェイスにニューグラフィック登場 KabutoのフラッグシップであるF-17は、耐貫通性と衝撃吸収性を備える高強度複合素材帽体『A.C.T.-2』に、徹底した空力特性を加え[…]
風が抜けるのにCEレベル2! タイチ「ネックスエアー」が夏の安全を変える ライダーの命を守る重要な装備、胸部プロテクター。しかし夏場は熱がこもりやすく、つい安全性よりも涼しさや薄さを優先した装備に切り[…]
発売当初のデザインをそのままに、素材などは現在のものを使用 1975年に大阪で創業したモンベル。最初の商品は、なんとスーパーマーケットのショッピングバックだった。翌年にスリーピングバッグを開発し、モン[…]