
ホンダは、中国現地法人として新会社「ホンダ モーターサイクル上海」を2023年末に設立すると発表した。2024年4月1日に事業運営を開始する予定だという。これにより、CB400スーパーフォア/スーパーボルドールに代わる新型4気筒400ccの存在がより現実味を帯びてきた!
●文:ヤングマシン編集部 ●CG:SRD
これまでは本田技研工業(中国)投資有限公司の一部門、今後はホンダモーターサイクル上海として独立
ホンダの中国現地法人である本田技研工業(中国)投資有限公司は、中国において趣味性の高い大型二輪モデル(中国においては500cc以上)の販売事業を行う新会社「Honda Motorcycle(Shanghai)Co., Ltd.(ホンダ モーターサイクル上海)」を2023年12月末に設立すると発表した。ホンダモーターサイクル上海は中国・上海市に本社を置き、2024年1月に事業運営を開始する予定だ。
中国では近年、趣味性の高い二輪車の人気が高まるとともに、二輪車の電動化も加速。これまで大型二輪モデルの販売事業は本田技研工業(中国)投資有限公司の一部門だったが、今後はホンダモーターサイクル上海として独立させることで、事業戦略・商品戦略決定のスピードを高め、市場変化の速い中国に対応していくことを目指すという。
ってことはニューモデルも当然……!
上記のような発表があったことで、当然ながら中国における趣味性に寄ったニューモデル投入が加速することが想定できるわけだが、ヤングマシンでは以前よりホンダが400〜500ccクラスのミドル4気筒を開発中と報じてきた。情報によればエンジンは完全な新設計で中国生産とされ、中国では500cc前後、日本においては400ccとして導入される模様だ。
コストを抑えたCB400SFのアップデート版も検討されたと思われる中、それを打ち破ってのオールニューなら、ホンダとしては1986年のCBR400R(NC23)以来の完全新設計4気筒ヨンヒャクとなる。
日本のユーザーにとって嬉しいのは、この新ヨンヒャクが丸目ヘッドライトのトラディショナルなスタイルを採用しそうだという点。このご時世、1プラットフォームからの派生展開はもはや必然だから、それ以外のスタイルも存在するのだろうが、名車の誉れ高きCB400SFの後継機種は、ホンダとしても絶対に必要だと考えているのだろう。
新生CB400スーパーフォアをイメージした予想CG。グローバル展開するならオーセンティックなスタイルよりもネオスポーツカフェ路線か。
カワサキ・ニンジャZX-4Rが80ps(ラムエア作動時)という、4気筒ヨンヒャクの常識を完全に破壊するスペックで登場したことで“もはやCB400SFのリニューアルでは太刀打ちできない”という判断も働いたのかもしれないが、いずれにせよ、電動化を推進中のホンダにおいて、オールニューの4気筒ヨンヒャクは困難な企画なことは間違いなく、開発陣は今まさに並々ならぬ努力を重ねているはずだ。
参考:2022年型CB400スーパーフォア。1992年に初代が登場し、30年後の10月に生産終了で幕を閉じた。
参考:2022年型CB400スーパーフォア。1992年に初代が登場し、30年後の10月に生産終了で幕を閉じた。
新設計エンジンをダイヤモンドフレームに搭載?
エンジンが新設計となれば、車体もCB400SFのダブルクレードルフレームではなく、最新トレンドに沿ったダイヤモンドフレームになるだろう。アンダーループがないため軽量で、エンジンを車体剛性に活用できるダイヤモンドフレームは近年、基本を共通としつつ、細部の作り分けでかなりの幅で味付けをコントロールできるほど研究が進んでいる。
ホンダ自身、CB750ホーネットとXL750トランザルプという、車体への要求がかなり異なる2車のダイヤモンドフレームを微細な調整で見事に作り分けて見せたばかり。同様なことはスズキのGSX-8SとVストローム800DEにも言え、両車ともに開発者自身が「設計や解析の進化で、ジャンルの違う機種のフレームが共通化できるようになってきた」と語っているのも同様だ。
CB400SFは4気筒エンジンの爽快さもさることながら、非常にバランスのいい車体能力も大きな魅力で、しなやかで潤沢な接地感はプロの車体設計者すら“史上最良の1台”と絶賛するほど。熟成され尽くしたダブルクレードルの走りを、解析の進んだ新世代ダイヤモンドフレームが凌駕することを大いに期待したい。
スーパーボルドールスタイルの予想CGがこちら。ホンダはアジアでCBブランドの再構築に力を入れており、ボルドールのデビューも可能性はかなり高い。
参考:2022年型CB400スーパーボルドール。2005年に追加されたバリエーションモデルで、後年はこちらのほうが売れ筋だった。
参考:2022年型CB400スーパーボルドール。2005年に追加されたバリエーションモデルで、後年はこちらのほうが売れ筋だった。
小〜中排気量でホンダ無双が始まる?
ホンダは2022年、空冷単気筒のGB350を約1万2000台販売し、さらにレブル250を約1万台、PCX(125)を約1万7000台、CT125ハンターカブを約1万1000台販売しており、400cc以下の国内販売台数で圧倒的な強さを見せている。
今年はカワサキからZX-4Rが登場したとはいえ、ユーザーを選ぶスーパースポーツな上、価格も112万2000円〜と400としてはなかなかに高価。ここにユーザーを選ばないニューCB400SF(またはその後継機)が登場すれば、400cc以下のホンダ天下はさらに盤石なものになるはずだ(ZX-4Rのネイキッド版「Z400RS」が登場すればまた話は変わってくるが)。
登場時期については2024〜2025年と予想する。車両の詳細については今後、分かり次第お伝えするが、はたしてどのようなコンセプトやデザイン、走りで我々を楽しませてくれるのだろうか? ホンダの新しい4気筒ヨンヒャクに期待したい!!
スーパースポーツのCBR400RRも登場すると予想してCGを制作。ZX-4Rが登場した以上、ガチンコライバルの投入は必至だろう。
参考:1990年型CBR400RR。カムギアトレーンのスポーツ4気筒エンジンを搭載し、当時の自主規制値いっぱいの59psを発揮した。
参考:1990年型CBR400RR。カムギアトレーンのスポーツ4気筒エンジンを搭載し、当時の自主規制値いっぱいの59psを発揮した。
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