
BMWは、完全設計のアドベンチャーモデル「R1300GS」日本導入を決定し、予約受注を開始した。史上最強のボクサーツインエンジンと新機能サスペンション、エンジンブレーキコントロールなどの電子制御やアクティブクルーズコントロール、リチウムイオンバッテリーなどを標準搭載し、アダプティブビークルハイトコントロール(自動車高調整)などをグレード別装備としている。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:BMW Motorrad
1254cc→1300ccになった、歴代でもっともパワフルな水平対向2気筒エンジンを搭載
BMW GSの最高峰が完全新作となって発表された。すでにティーザーが展開されており、待望のお披露目となったのは「R1300GS」。なんといっても歴代最強パワーの145ps/7750rpmを誇る完全新設計ボクサーツイン=水平対向2気筒エンジンを搭載するのが最大のトピック。ノックセンサーを装備し、スムーズな出力特性や燃費にも優れるという。そして、車体も負けてはいない。
サスペンションは完全に設計し直され、フロントはEVOテレレバー、リヤはEVOパラレバー。フレームはスチール製シェルタイプのメインフレームにアルミタイキャストのリヤフレーム(シートレール)が組み合わされる。容量19Lの燃料タンクを満タンにしたときの車重は前作比で-12kgの237kgとなり、フルインテグラルABSプロやダイナミックトラクションコントロール(DTC)、エンジンドラッグトルクコントロール(MSR・いわゆるエンジンブレーキコントロール)、ダイナミックブレーキアシスト(DBC)、ヒルスタートコントロール(HSC)などで武装する。
新設計エンジンはボトムマウントのギヤボックスとシフトカム(タイミング&リフト量がバリアブル)を採用。メインフレームはスチール製の中空セクションを持ち、フロントサスペンションのテレレバーを支持する部分には丸パイプを用いているようだ。
さらに、アクティブクルーズコントロール(ACC)やダイナミッククルーズコントロール(DCC)、前側衝突警告(FCW)、レーンチェンジ警告(SWW)といった快適性&安全性を向上する電子制御も標準装備。電子制御サスのエレクトリックダイナミックサスペンションアジャストメント(DSA)やアダプティブ車高制御(走行状況に合わせて作動する自動車高調整)がグレード別装備として設定される。
ライディングモードは5つ。『Rain/Road/Eco/Enduro/Enduro Pro』だ。
デザインも従来の戦車のようなイカツさから未来的に洗練され、新マトリックスのLEDヘッドライト、ナックルガードにビルトインされたウインカー、オプション設定のアダプティブターニングライト、6.5インチTFTフルカラースクリーンなどがシンプルかつ鋭い印象を与える。
シートヒーターやグリップヒーター、スマートキー、USBソケット、12V電源ソケット、スマートフォン接続機能など、アドベンチャーツアラーとして完成度を高める装備も満載だ。軽量で熱耐性に優れるリチウムイオンバッテリーを搭載し、バッテリーガードも奢られている。
新型R1300GSのテクニカルハイライト
- ボトムマウントのギア・ボックスとBMW ShiftCam テクノロジーを備えた完全に新しいボクサー・エンジン設計
- 左右カム・チェーンの設置位置調整により前後にアシンメトリ化された左右シリンダー
- これまでに生産された中で最もパワフルなBMW ボクサー・エンジン
- エンジン回転数全域での強力なレスポンス、適切な燃料消費、排出ガス・レベル、走行の滑らかさと洗練度
- 出力とトルク:7,750 rpm で107 kW(145 PS)、6,500 rpm で149 Nm
- 最適化されたノック・センサー・システム
- シート・メタル・シェル・エレメントで構成されたメイン・フレームとダイキャスト・アルミニウム・リア・フレームを備えた完全に再設計されたフレーム
- 新しいEVO テレ・レバーと新しいEVO パラ・レバーにより、さらに高い操縦精度と安定性が実現
- 欧州仕様では前モデルと比較して12 kg の軽量化
- 電子制御式ダイナミック・サスペンション(DSA)
- 新しいマトリックスのLED ヘッドランプ
- リチウム・イオン・バッテリー
- ハンド・プロテクターに統合されたターン・インジケーター(GS スポーツを除く)。
- スマートフォン充電コンパートメントに統合されたUSBソケットと追加の12 V オンボード電源ソケット
新型BMW R 1300 GS の主な標準装備品
- 電子制御式ダイナミック・サスペンション
- ギアシフト・アシスタント・プロ
- ライディング・モード・プロ
- ダイナミック・クルーズ・コントロール
- スポーツ・ブレーキキャリパー
- シートヒーターとグリップヒーター
- メインスタンド
- コンフォート・ライダーシート
- クロス・スポーク・ホイール
- リチウム・イオン・バッテリー
- キーレス・ライド
- RDC(タイヤ空気圧センサー)
R 1300 GS・ツーリングの主要装備品
- ナビ・ホルダー
- エギゾースト・パイプ・クロム仕様
- セントラル・ロック・システム
- ハンド・プロテクション・エクステンション
- パニアケース・ホルダー
- ヘッドライト・プロ
- アダプティブ車高制御
- アクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)
- フロント・コリジョン・ワーニング(FCW)
- レーン・チェンジ・ワーニング(SWW)
- 電動スクリーン
R1300GS ツーリングにはアダプティブ車高制御機能を標準装備。操作条件に応じて車高を自動制御し、停止時および低速走行時にはシート高が約30mm下がって820mmに。走行速度が上がれば標準位置の850mmに戻る。
R 1300 GS・GS スポーツの主要装備品
- ハンドル・バー・ライザー
- エンジン・プロテクションバー
- 大型エンジン・ガード
- スポーツ・ハンド・レバー(ショート・タイプ)
- エンデューロ・フットレスト
- 調整式シフト・レバー&フット・ブレーキ・レバー
- リア・フレーム・プロテクション・カバー・ラージ
- シングル・シート用エキゾースト・ブラケット
- 別体式フロント・ウィンカー
- スポーツ・サスペンション
- オフロード・タイヤ
R1300GS・GSスポーツはスポーツサスペンションを装備。ストロークを+20mmとし、走破性を高めている。
BMW R1300GS のカラーバリエーション
ピュアGSと呼ばれる標準仕様はワイヤースポークホイールを装備。
トリプルブラックと名付けられた定番カラーにはキャストホイールや大型スクリーンなどを装備。
GSトロフィーイメージのタイプで、シート高870mmのラリーシートやワイヤースポークホイールを装備。
オプション719タイプ。ゴールドのクロススポークホイールや大型スクリーンなどが特徴的だ。
BMW R1300GS のスペック
車名 | R 1300 GS |
全長×全幅×全高 | 2212×1000mm×──mm |
軸距 | 1518mm |
シート高 | 850mm |
キャスター/トレール | 26.2°/112mm |
装備重量 | 237kg |
エンジン型式 | 水冷4ストローク水平対向2気筒DOHC4バルブ with シフトカム |
総排気量 | 1300cc |
内径×行程 | 106.5×73m |
圧縮比 | 13.3:1 |
最高出力 | 145ps/7750rpm |
最大トルク | 15.2kg-m/6500rpm |
始動方式 | セルフスターター |
変速機 | 常時噛合式6段リターン |
燃料タンク容量 | 19L |
WMTCモード燃費 | 4.8L/100km(20.83km/L) |
ブレーキ前 | φ310mmダブルディスク+4ポットキャリパー |
ブレーキ後 | φ285mmディスク+2ポットキャリパー |
ホイールトラベル | 前190/後200mm |
タイヤサイズ前 | 120/70R19 |
タイヤサイズ後 | 170/60R17 |
価格 | 284万3000円~336万8000円 |
発売時期 | 2023年11月1日より予約受注開始 |
グレード別&車体色別の価格詳細
BMW R 1300 GS | レーシング・ブルー・メタリック=284万3000円 ブラック・ストーム・メタリック=286万6000円 |
BMW R 1300 GS・GSスポーツ | レーシング・ブルー・メタリック=297万1000円 |
BMW R 1300 GS・ツーリング | レーシング・ブルー・メタリック=318万5000円 ブラック・ストーム・メタリック=317万9000円 アウレリウス・グリーン・メタリック=336万8000円 |
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(BMWモトラッド)
Barcelona(バルセロナ)GTXジャケット 耐摩耗性に優れた表面素材と、GORE-TEX(R) Proによる高い防水透湿性を備えたジャケット。シンプルなデザインでふだん着の上に着用でき、雨の日の[…]
意外な従順さを見せるBMWのスーパーマシン サーキットでのパフォーマンスを第一に考えられたマシンではあるものの、意外と一般公道を転がすような速度域でも扱いにくさは感じない。 エンジン特性がしっかり調教[…]
Paceプロジャケット 豊富な安全装備と快適な着心地を高次元でバランスした、ワインディングやロングツーリングに最適なライディングジャケット。腕と肩のトリムには、スチールとプラスチックを組み合わせたコン[…]
朝6時台には伊豆に到着? バイクならではの伊豆巡りを 週末の伊豆半島といえば“渋滞”。そんなイメージだろう。実際、東名高速下り線は朝の6時台には渋滞が始まり、伊豆に入っても沼津市街/東伊豆/下田といっ[…]
チャンピオンマシンからダイレクトにフィードバック トプラック・ラズガットリオグルの手により2024年のスーパーバイク世界選手権でチャンピオンを獲得したマシン、それがBMWモトラッド「M1000RR」だ[…]
最新の関連記事(新型アドベンチャー/クロスオーバー/オフロード)
KLX300はKXイメージのシャープな最新デザインに新グラフィック&色変更 日本では2016年5月15日にファイナルエディションが発売されたデュアルパーパスモデル「KLX250」だが、北米では2021[…]
2024年登場の「KLX230S」「KLX230SM」に続く新バリエーション KLX230プラットフォームに新顔が登場した。北米で発表されたのは、「KLX230 DF ABS(DF)」と「KLX230[…]
ドゥカティ初の単気筒モタードモデル モタードモデルといえば、通常はオフ車の派生モデルとして作られるが、この「ハイパーモタード698モノ」は、ロードスポーツキャラに100%振りきって、車体剛性も高めに設[…]
ツーリングでの安心感と操縦性にさらなる磨き! 3月下旬には、大阪と東京で毎年恒例のモーターサイクルショーが開催され、いよいよ春本番。東京のほうの土日には、私もいくつかのブースでトークショーに出演しまし[…]
正式発表が待たれる400ccオフロード/スーパーモト スズキは、昨秋のEICMA(ミラノショー)にて、新型400ccデュアルパーパスモデル「DR-Z4S」およびスーパーモトモデル「DR-Z4SM」を発[…]
人気記事ランキング(全体)
日本を代表するツーリングロードのティア表だっ! 「次のツーリングは、どこへ行こう?」 そんな嬉しい悩みを抱える全てのライダーに捧げる、究極のツーリングスポット・ティア表が完成した。 ……いや、そもそも[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
機能性を損なうことなく利便性を高めた、期待の新製品 おたふく手袋は、長年、多くのプロフェッショナルから信頼され続けている老舗軍手メーカー。同社が展開する「BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)[…]
最新の投稿記事(全体)
州知事や政府関係者のほか、従業員も参加し祝う 四輪車はもちろん、ビジネスジェット機でも知られ、最近では再使用型ロケットでも話題のホンダ。その始まり、つまり「祖業」は二輪車にある。 スタートは自転車用補[…]
2024年モデル概要:XSRらしさを受け継いだ末弟 海外で先行して展開されていたXSR125の国内導入が明かされたのは、2023年春のモーターサイクルショーでのこと。発売は同年の12月8日だった。 X[…]
似ているようでカブとはまったく違うのだ アウトドアテイストの強いCT125ハンターカブが人気だからといって、ここまでキャラクターを寄せてくることないんじゃない? なんて穿った見方で今回の主役であるPG[…]
懐かしのスタイルに最新技術をフル投入! 2025年3月の東京モーターサイクルショーで詳細が発表されたヨシムラヘリテージパーツプロジェクト。対象機種は油冷GSX-R750とカワサキZ1となっており、GS[…]
実績豊富なディーラーによる絶妙なバランス感覚 全国のハーレーダビッドソンジャパン販売網がカスタムの腕とセンスを競うコンテスト『バトルオブザキングス』にて2年連続で日本一になった実績を持つワタナベモータ[…]
- 1
- 2