
“コレは凄い!”と諸手を上げて称賛するマシンから「ナゼこうなった…?」と首をかしげたくなるモノまで、ニッポンにも個性的なバイクがテンコ盛り! 今回は国産車が世界に躍進した’70年代以降に登場した、数々の名(迷)エンジンやバイクをご紹介!今回はエンジン編だ!
●文:伊藤康司 ●写真:YM ARCHIVES
とにかく凄い! 絶対的なハイメカで勝負をかける
かつては「大排気量、大パワー、他を圧倒するメカニズム」こそファンの憧れ。そこでCB750FOURやZ1で先鞭をつけた日本メーカーは“その次”を模索し、6気筒エンジンや楕円ピストン、ロータリーエンジンまで世に出した。
’92 HONDA NR:驚異的なパワーを生む楕円ピストン
圧倒的に2ストロークが有利だった’70年代の世界GPに復帰したホンダが、楕円ピストンの4ストロークで勝負に出たNRプロジェクト。そのエンジンが耐久レーサーを経て市販モデルに搭載。520万円の車両価格も驚異だった。
【HONDA NR】■水冷4ストV型4気筒DOHC8バルブ 747cc 77ps/11500rpm 5.4kg-m/9000rpm
’85〜YAMAHA VMAX:絶対負けない怒涛の加速
ベンチャーロイヤルのV4エンジンをベースに、6500rpmからキャブレターを連結するバルブが開いて1気筒当たりツインキャブになる“Vブースト”を装備(国内仕様は非装備)。当時最強の145psを発揮し、0-400mを10秒台で駆け抜ける。
【YAMAHA VMAX】■水冷4ストV型4気筒DOHC4バルブ 1198cc 145ps 12.4kg-m
逆輸入車のみVブーストを搭載していた。
‘74〜 SUZUKI RE-5:国産唯一のロータリーバイク
ロータリーエンジンは国内のバイク4メーカーが開発に着手したが、実際に販売したのはスズキのみ。コンパクトで高出力だが、ロータリーが抱える多くの問題を克服した技術力は流石のひとこと。ちなみに車両のデザインは四輪で有名なジウジアーロが担当した。
【SUZUKI RE-5】■水油冷1ローター・ロータリー 497cc 63ps/6500rpm 7.6kg-m/3500rpm
‘78〜 HONDA CBX:次世代SSを狙った6気筒
CB750FOURの後を継ぐスーパースポーツとして開発した6気筒エンジンの姿は圧巻。しかし空冷24バルブはさすがに熱的に厳しく、翌年発売のCB750F/900Fにその座を譲った。
‘79〜KAWASAKI Z1300:水冷1300の巨艦
カワサキ初の6気筒というだけでなく、初の水冷、初のシャフトドライブ駆動と初づくし。当時はZ1の次を担うフラッグシップとして、スクエア4気筒やロータリーも開発していた。
【KAWASAKI Z1300】■水冷4スト水平対向6気筒SOHC2バルブ 1286cc 120ps 11.8kg-m
‘74〜 HONDA 歴代GOLD WING:スポーツ性も狙った!
初代は999ccの水平対向4気筒を搭載。スポーツ性を追及し、ミッションとシリンダーの2階建て構造でエンジン前後長を短縮し、逆転オルタネーターでトルクリアクションを軽減する。
【HONDA GOLD WING】■水冷4スト並列4気筒DOHC2バルブ 999cc 80ps 8.3kg-m
チャレンジ…!! 残ったモノ、消えたモノ
次世代・新世代を目指したエンジンは数多いが、成功したのは一握り(GPZ900Rの水冷4気筒とか)。しかし1台(一代)で消えたエンジンにも、作り手の想いが込められる!
‘83〜 HONDA MVX250F:悲運の2ストV型3気筒
ホンダでクラス初の2ストローク。ワークスマシンNS500を彷彿させるV型3気筒だが、なぜかシリンダーが逆配置(前2/後1。NSは前1/後2)。意欲作だが1年で姿を消した。
【HONDA MVX250F】■水冷2ストV型3気筒ピストンリードバルブ 249cc 40ps 3.2kg-m2
ワークスマシンを彷彿とさせる2ストV型3気筒!
‘84〜 KAWASAKI GPZ900R:多気筒の祖となる構成
カワサキ初の水冷4気筒はZZRやZRXにも搭載され、現行SSに通じるサイドカムチェーン。高い吸排気効率やコンパクト化、冷却性に長けるが、当時は奇抜な見た目に賛否両論!
【KAWASAKI GPZ900R】■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 908cc 115ps 8.7kg-m
今では当たり前の構成だが、1980年代前半においては革新的だった。
‘77〜/’78〜 HONDA GL500/400:超個性のミドル
水冷縦置きVツインは挟み角80度。ヒザ周り確保でシリンダーを22度捻ったためバルブ駆動はOHVだが、4バルブでリッター100ps…と独創性の塊。
【HONDA GL500】■V型2気筒 496cc 48ps 4.1kg-m
GL400のエンジンまわり。
‘91〜 YAMAHA DIVERSION series:独特なコンセプトの4気筒
前傾35度のシリンダーにダウンドラフトの“ジェネシス”は高回転向きだが、本機は空冷ロングストローク。速さとユッタリ、どっちを狙ったんだ…?
【YAMAHA DIVERSION series】■並列4気筒 398cc 42ps 3.5kg-m ※400
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
50レプリカのフルサイズからミニバイクレースを経てデフォルメフルサイズへ! VR46カラーのTZR50……実はヨーロッパで1997年から2012年まで生産されていたイタリアのミナレリ製エンジンで、現地[…]
一線から退くことすらファンが許さなかった「革新モデル」 世界最速を目指したZ1発売から10年余り、ついにカワサキは水冷4気筒エンジンを搭載するGPz900Rを1984年に発売。北米モデルはNinja([…]
20年ものロングランは、ライバルに気をとられない孤高を貫く開発があったからこそ! カワサキは1972年、DOHCで900ccと先行する初の量産4気筒のCB750フォアを上回るハイクオリティなZ1を投入[…]
個性を求めて生まれた新しいスタイルとメカニズム ライバル他社に対して欧米市場での競争力強化を迫られていた1970年代後期のホンダは、CB400フォアよりも低コストで低価格にできる2気筒モデルに舵をとり[…]
400cc4気筒ブームの立役者、第3世代の直4を実現したカワサキの戦略 Z1/Z2系からZ650のザッパー系に続くカワサキ直4の第3弾がZ400FX。1980年代初頭に日本で巻き起こった空前のバイクブ[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
両手を自由に使うことができる、新パーソナルモビリティ ホンダが2025年9月24日より、法人向けに販売を開始したのがパーソナルモビリティの「UNI-ONE(ユニワン)」です。 法律的には「移動用小型車[…]
新型CL500の進化が! 気がつけば長距離を走っているスクランブラー「CL500」がマイナーチェンジを果たして新登場します! ご存じかと思いますが、CLシリーズには250ccの「CL250」も存在しま[…]
個性を求めて生まれた新しいスタイルとメカニズム ライバル他社に対して欧米市場での競争力強化を迫られていた1970年代後期のホンダは、CB400フォアよりも低コストで低価格にできる2気筒モデルに舵をとり[…]
ツーリングの楽しさを気軽に、疲れ知らずで ウェット路面に翻弄され、全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラス今季初戦は、決勝9位という不本意な結果に…。その悔しさを癒してもらおうと、新型のRebel […]
「HondaGO BIKE MEETING 2025」が、鈴鹿サーキットで開催決定 ホンダモーターサイクルジャパンによるミーテイングイベント、「HondaGO BIKE MEETING」。幅広いホンダ[…]
人気記事ランキング(全体)
9/10発売:スズキ アドレス125 まずはスズキから、原付二種スクーターの定番「アドレス125」がフルモデルチェンジして登場だ。フレームを新設計して剛性を高めつつ軽量化を実現し、エンジンもカムシャフ[…]
50レプリカのフルサイズからミニバイクレースを経てデフォルメフルサイズへ! VR46カラーのTZR50……実はヨーロッパで1997年から2012年まで生産されていたイタリアのミナレリ製エンジンで、現地[…]
“グローバルカラー”をうたうマットパールホワイト インディアヤマハモーター(IYM)は、水冷単気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツ「R15 V4(V4=第4世代の意 ※日本名YZF-R15)」の新[…]
新基準原付、その正体とは? まずは「新基準原付」がどんな乗り物なのか、正しく理解することからはじめよう。これは2025年4月1日から、第一種原動機付自転車(原付一種)に新たに追加される車両区分だ。 導[…]
新型CL500の進化が! 気がつけば長距離を走っているスクランブラー「CL500」がマイナーチェンジを果たして新登場します! ご存じかと思いますが、CLシリーズには250ccの「CL250」も存在しま[…]
最新の投稿記事(全体)
ドライブのテンションを爆上げ! SNSで話題沸騰のミニシンバル 車での移動時、退屈な信号待ちや渋滞でさえも、一瞬にして車内が刺激的なステージに変貌するギアが存在する。それがHiizle 車用ミニシンバ[…]
カスタムスピリットから生まれた英国ブランド まずMUTT Motorcyclesというブランドについておさらいしておこう。2016年、英国バーミンガムでカスタムビルダーのWill RiggとBenny[…]
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
前後がすぐ分かる設計で使いやすい こちらのバイクカバーは、ミラー部分に黒生地を採用し、前後のチェーンホールを色分けしているため、夜間や雨の日でも向きを迷わず装着できます。素材はポリエステルで軽量、サイ[…]
両手を自由に使うことができる、新パーソナルモビリティ ホンダが2025年9月24日より、法人向けに販売を開始したのがパーソナルモビリティの「UNI-ONE(ユニワン)」です。 法律的には「移動用小型車[…]
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
50レプリカのフルサイズからミニバイクレースを経てデフォルメフルサイズへ! VR46カラーのTZR50……実はヨーロッパで1997年から2012年まで生産されていたイタリアのミナレリ製エンジンで、現地[…]
一線から退くことすらファンが許さなかった「革新モデル」 世界最速を目指したZ1発売から10年余り、ついにカワサキは水冷4気筒エンジンを搭載するGPz900Rを1984年に発売。北米モデルはNinja([…]
20年ものロングランは、ライバルに気をとられない孤高を貫く開発があったからこそ! カワサキは1972年、DOHCで900ccと先行する初の量産4気筒のCB750フォアを上回るハイクオリティなZ1を投入[…]
個性を求めて生まれた新しいスタイルとメカニズム ライバル他社に対して欧米市場での競争力強化を迫られていた1970年代後期のホンダは、CB400フォアよりも低コストで低価格にできる2気筒モデルに舵をとり[…]
400cc4気筒ブームの立役者、第3世代の直4を実現したカワサキの戦略 Z1/Z2系からZ650のザッパー系に続くカワサキ直4の第3弾がZ400FX。1980年代初頭に日本で巻き起こった空前のバイクブ[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
両手を自由に使うことができる、新パーソナルモビリティ ホンダが2025年9月24日より、法人向けに販売を開始したのがパーソナルモビリティの「UNI-ONE(ユニワン)」です。 法律的には「移動用小型車[…]
新型CL500の進化が! 気がつけば長距離を走っているスクランブラー「CL500」がマイナーチェンジを果たして新登場します! ご存じかと思いますが、CLシリーズには250ccの「CL250」も存在しま[…]
個性を求めて生まれた新しいスタイルとメカニズム ライバル他社に対して欧米市場での競争力強化を迫られていた1970年代後期のホンダは、CB400フォアよりも低コストで低価格にできる2気筒モデルに舵をとり[…]
ツーリングの楽しさを気軽に、疲れ知らずで ウェット路面に翻弄され、全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラス今季初戦は、決勝9位という不本意な結果に…。その悔しさを癒してもらおうと、新型のRebel […]
「HondaGO BIKE MEETING 2025」が、鈴鹿サーキットで開催決定 ホンダモーターサイクルジャパンによるミーテイングイベント、「HondaGO BIKE MEETING」。幅広いホンダ[…]
人気記事ランキング(全体)
9/10発売:スズキ アドレス125 まずはスズキから、原付二種スクーターの定番「アドレス125」がフルモデルチェンジして登場だ。フレームを新設計して剛性を高めつつ軽量化を実現し、エンジンもカムシャフ[…]
50レプリカのフルサイズからミニバイクレースを経てデフォルメフルサイズへ! VR46カラーのTZR50……実はヨーロッパで1997年から2012年まで生産されていたイタリアのミナレリ製エンジンで、現地[…]
“グローバルカラー”をうたうマットパールホワイト インディアヤマハモーター(IYM)は、水冷単気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツ「R15 V4(V4=第4世代の意 ※日本名YZF-R15)」の新[…]
新基準原付、その正体とは? まずは「新基準原付」がどんな乗り物なのか、正しく理解することからはじめよう。これは2025年4月1日から、第一種原動機付自転車(原付一種)に新たに追加される車両区分だ。 導[…]
新型CL500の進化が! 気がつけば長距離を走っているスクランブラー「CL500」がマイナーチェンジを果たして新登場します! ご存じかと思いますが、CLシリーズには250ccの「CL250」も存在しま[…]
最新の投稿記事(全体)
ドライブのテンションを爆上げ! SNSで話題沸騰のミニシンバル 車での移動時、退屈な信号待ちや渋滞でさえも、一瞬にして車内が刺激的なステージに変貌するギアが存在する。それがHiizle 車用ミニシンバ[…]
カスタムスピリットから生まれた英国ブランド まずMUTT Motorcyclesというブランドについておさらいしておこう。2016年、英国バーミンガムでカスタムビルダーのWill RiggとBenny[…]
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
前後がすぐ分かる設計で使いやすい こちらのバイクカバーは、ミラー部分に黒生地を採用し、前後のチェーンホールを色分けしているため、夜間や雨の日でも向きを迷わず装着できます。素材はポリエステルで軽量、サイ[…]
両手を自由に使うことができる、新パーソナルモビリティ ホンダが2025年9月24日より、法人向けに販売を開始したのがパーソナルモビリティの「UNI-ONE(ユニワン)」です。 法律的には「移動用小型車[…]