
カワサキモータースジャパンは、W800をベースにスペシャル装備を施した「メグロK3」の2024年モデルを発表した。メッキを施したかのような銀鏡塗装や職人手塗りのエンブレムなどは一切変更なく、空冷2気筒エンジンも前年モデルを踏襲している。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:カワサキ
伝説のメグロ大復活から3年、その姿を変えずに2024年モデルへ
2020年11月に一葉の写真が公開され、メグロ復活が高らかに宣言された。「伝統ト信頼ノ メグロ」の大看板はこの復活劇のためだけに制作され、カワサキの狙い通りにメグロK3が大きな話題になったことを記憶している読者もいることだろう。
当初は年間計画台数200台と言われ、あっという間に完売。翌2021年末には2022年モデルとして、その姿は一切変えないままに発売された。2022年モデルでは令和2年度排出ガス規制に適合して型式指定・認定番号を変更し、これに伴いWMTCモード燃費は21.1km/L→20.9km/Lと、わずかに数値が変化した。そして2023年モデルは姿を変えなかった。
2024年モデルの価格は4万4000円アップの139万7000円となり、発売日は2023年9月22日。1か月点検に加え、3年間の定期点検とオイル交換(オイルフィルター含む)を無償で受けられる「カワサキケアモデル」であり、ABS、グリップヒーター、センタースタンド、ETC2.0車載器、ヘルメットロックを標準装備している。
メグロK3初公開時に制作された大看板。1924年創業の目黒製作所と1878年創業の川崎航空機工業の歴史があるからこそのメグロK3誕生なのだということを強く印象づけた。
カワサキ大排気量モデルの原点は、1924年創業で高性能・高品質を掲げたメグロ
メグロK3という車名は、1924年に創業した目黒製作所が1960年代に川崎航空機株式会社に吸収されたのちに生産された、カワサキ「500メグロK2」の後継モデルであることを意味している。500メグロK2は「メグロ」のブランド名を冠して発売された最後のビッグバイクであり、のちにカワサキ・W1の元となってカワサキの4ストローク大型スポーツバイクの礎となっていったもの。その500メグロK2以来、55年ぶりのニューモデルとなるメグロK3は、直接的な子孫ともいえるW800からの原点回帰モデルとして登場する。
とはいえ、スタイリングはあくまでも往年の『メグロ』を前面に押し出しながらも、先進の技術を投入している。その象徴ともいえるのが、高度な技術が必要な銀鏡塗装とハイリーデュラブルペイントを組み合わせた燃料タンクの表面処理だ。
そして、ベベルギヤによるカムシャフト駆動という複雑な機構をあえて採用した360度クランクの空冷バーチカルツインエンジンは、ベースとなったW650(1999年登場)から幾度かのリファインと排気量増大を経て、現代のユーロ4排出ガス規制に適合している。
エンジン&車体スペックは、ストリートでもカフェでもなく無印のW800をベースとしたもので、ホイールサイズは前19/後18インチを装着。車重はW800よりも1kg増の227kgとなっている。また、シート高はW800と同じ790mmだが全幅はW800ストリートと同じ925mm。ハンドルバーは大きく手前に引かれた幅広タイプで、いわゆる往年の“殿様乗り”仕様だ。
車体色は深みのあるエボニーを基調に、フロントフェンダー、リヤフェンダー、フロントフォークアウターチューブ、リヤサスペンションカバー、ハンドルバー、タンデムグリップ、ヘッドランプボディ、ヘッドライトステー、テールランプブラケットは、艶ありブラック塗装。また、ステンレス製メーターリングは黒色酸化皮膜処理で金属の質感を強調し、フューエルタンクには銀鏡塗装を採用し、部位ごとに色調が変化するように使用素材に合わせた表面処理方法を選択している。
マフラー、スロットルボディカバー、エアクリーナー入口のリング、チェーンカバー、フューエルタンクキャップ、前後ターンシグナルランプボディ、テールランプボディ。さらにブレーキペダル、ミラー、ヘッドライトリム、オイルフィルターカバーはクロムメッキを採用。黒塗装とクロムメッキの好対照で、メグロならではの落ち着いたカラーリングに仕上がっている。またホイールリムは、軽快さを印象づけるシルバーアルマイト。さらに、スピードメーターパネルとサイドカバーに刻まれた“メグロ”のロゴや、空冷バーチカルツインエンジンを特徴づけるベベルギヤカバーには、ワンポイントの赤を配すことでMEGURO K3の個性を際立たせている。
周囲の明度によってニュアンスを変える銀鏡塗装が施された燃料タンクに、職人が5色の手塗りを施したというエンブレムを組み合わせる。基本的にクロームとブラックで構成されるマシンだが、部位によって見え方が異なる色彩表現となっている。
KAWASAKI MEGURO K3[2024 model]
KAWASAKI MEGURO K3[2024 model]ミラーコートブラック×エボニー
| 車名 | MEGURO K3 |
| 型式 | 8BL-EJ800E |
| 全長×全幅×全高 | 2190×925×1130mm |
| 軸距 | 1465mm |
| 最低地上高 | 125mm |
| シート高 | 790mm |
| キャスター/トレール | 27.0°/108mm |
| 装備重量 | 227kg |
| エンジン型式 | 空冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ |
| 総排気量 | 773cc |
| 内径×行程 | 77.0×83.0mm |
| 圧縮比 | 8.4:1 |
| 最高出力 | 52ps/6500rpm |
| 最大トルク | 6.3kg-m/4800rpm |
| 始動方式 | セルフスターター |
| 変速機 | 常時噛合式5段リターン |
| 燃料タンク容量 | 15L |
| WMTCモード燃費 | 20.9km/L(クラス3-2、1名乗車時) |
| タイヤサイズ前 | 100/90-19 |
| タイヤサイズ後 | 130/80-18 |
| 乗車定員 | 2名 |
| 価格 | 139万7000円 |
| 発売日 | 2023年9月22日 |
KAWASAKI MEGURO K3[2024 model]
KAWASAKI MEGURO K3[2024 model]
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
1965年モデル、56年前のカワサキ・500メグロK2に感動! エンジンを始動する、それだけで感動できるようなバイクに出会う機会はめったにない。思いのほか柔らかいパルスに威風堂々のサウンド、それでいて[…]
市販バイクの登場以来、スポークホイールは健在 バイクのホイールといえば、いまどきのロードスポーツ車は総じてアルミのキャストホイールを履き、ワイヤースポークホイールはオフロードバイクとクラシカルなスタイ[…]
ロイヤルエンフィールドは空冷パラレルツインを熟成させ続ける 深緑の隙間からINT650に光が降り注ぐ。メッキパーツはキラキラと輝き、アルミ地肌のクランクケースカバーやエンジンのフィンは優しい輝きを放つ[…]
トライアンフ「スピード400」の写真をまとめて見る(全70点)トライアンフ「スクランブラー400X」の写真をまとめて見る(全81点) 英国時間の2023年6月27日に発表、中型モダンクラシック×2車の[…]
最新の関連記事(新型ヘリテイジ/ネオクラシック)
フレディ・スペンサーが絶賛! 軽さと「フォーギビング」な安定性を評価 伝説のライダー、フレディ・スペンサーがHSR九州でCB1000Fをガチ走行し、そのインプレッションを語っている。スペンサーは、CB[…]
スポーティなライディングを気軽に楽しむ最初の1台に! 英国にルーツを持ち、現在はインドの二輪メーカーとして活動するロイヤルエンフィールド。このうちハンター350は、ブリットやメテオやクラシックといった[…]
低中回転域とリヤブレーキがスムーズな走りにつながる 新生BSAのゴールドスターは、ビッグシングルエンジンを搭載した新型ネオクラシックモデル。レースではこれまで単気筒エンジンばかり操縦してきたので、そも[…]
ひっそりと終了したスズキの名Vツイン スズキのミドルクラスを長きにわたり支えてきた傑作ネイキッド、『SV650』およびカフェレーサースタイルの『SV650X』が、ついにその生産の歴史に終止符を打った。[…]
Z900RS CAFE歴代カラー系統譜 Z900RS CAFEは、Z900RSがデビューした翌2018年3月に登場し、独自のビキニカウル、ローハンドル、専用シートによってカフェレーサースタイルを確立し[…]
最新の関連記事(カワサキ [KAWASAKI])
新型「ニンジャZX-10R」は国内導入は2026年夏か まずは欧州と北米で発表されたスーパースポーツの旗艦、新型「ニンジャZX-10R/RR」の話題だ。 最大の特徴は、フロントカウルに設けられた大型の[…]
カワサキの侵攻で勢力図に異変!? アドベンチャーカテゴリーの世界的な人気は依然として高めに維持されているが、その一方で、主力となるリッタークラスのマシンに対して、「大きすぎる、重すぎる…」と感じている[…]
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
新型Z900RS発表を記念した火の玉グラフィック! 「かわす性能」をさらに高めるためのフォルムを生み出す、世界初のシールドシステム〈VAS-VCシステム〉を搭載したアライヘルメット「RAPIDE-NE[…]
通勤からツーリング、サーキット走行まで使えるカウル付き軽二輪スポーツ 日本の道に最適といえるサイズ感や、通勤/通学からツーリングまで使える万能さが軽二輪(126~250cc)の長所。スクーターやレジャ[…]
人気記事ランキング(全体)
KTMの進化ポイントを推測する 第17戦日本GPでマルク・マルケスがチャンピオンを獲得した。ウイニングランとセレブレーションは感動的で、場内放送で解説をしていたワタシも言葉が出なかった。何度もタイトル[…]
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
前バンクはクランクリードバルブ、後バンクにピストンリードバルブの異なるエンジンを連結! ヤマハは1984年、2ストロークのレプリカの頂点、RZシリーズのフラッグシップとしてRZV500Rをリリースした[…]
ボルドールカラーのCB1000Fがアクティブから登場 アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムが発表された。CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、いわゆる“スペ[…]
超高回転型4ストローク・マルチのパイオニアはケニー・ロバーツもお気に入り 今回ご紹介するバイクは1985年春に登場した超高回転型エンジンを持つヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)です。 フェー[…]
最新の投稿記事(全体)
アイルトン・セナ 1992年 ショウエイX-4 1992年のベルギーGPでアイルトン・セナがレースで着用した本物。お値段は驚愕の1億4360万円で落札されています。ヘルメット自体はショウエイX-4レー[…]
バイクは、心と身体をひとつにするスポーツ。心の健康法そのものです。 アメリカは情報革命の最先端を行く国です。そのアメリカの製薬業界が今、開発にもっとも力を入れてるのは心の病=うつ病の薬と聞きます。 医[…]
新型「ニンジャZX-10R」は国内導入は2026年夏か まずは欧州と北米で発表されたスーパースポーツの旗艦、新型「ニンジャZX-10R/RR」の話題だ。 最大の特徴は、フロントカウルに設けられた大型の[…]
カワサキの侵攻で勢力図に異変!? アドベンチャーカテゴリーの世界的な人気は依然として高めに維持されているが、その一方で、主力となるリッタークラスのマシンに対して、「大きすぎる、重すぎる…」と感じている[…]
[プレミアム度No.1] エボリューション集大成モデル。スプリンガースタイルがたまらない!! ストック度の高さはピカイチ!! 取材時に年式が最も古かったのが1998年式ヘリテイジスプリンガー。この車両[…]
- 1
- 2






![KAWASAKI MEGURO K3[2024 model]|カワサキ「メグロK3」の2024年モデル発売決定! 普遍のデザインと機構はそのままに](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2021/10/21EJ800H_GY1ALF00D_C-768x512.jpg?v=1634270047)
![KAWASAKI MEGURO K3[2024 model]|カワサキ「メグロK3」の2024年モデル発売決定! 普遍のデザインと機構はそのままに](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2021/10/21EJ800H_GY1AFAC00D_C-768x512.jpg?v=1634270051)




































