
’21年にフルモデルチェンジしたホンダCRF250Lが、早くも’23年型で最新の排ガス規制に適合するため仕様を一部変更した。とはいえ最高出力/最大トルクに変更はなく、ナックルガードが標準装備になった。シート高が低い方のSTDモデルに試乗してみたぞ。※この記事はヤングマシン2023年9月号に掲載されています。
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:長谷川徹 ●外部リンク:ホンダモーターサイクルジャパン
ホンダCRF250L 概要
【HONDA CRF250L】■全長2210 全高1165 シート高830(各mm) 車重141kg ■水冷4スト単気筒 DOHC4バルブ 249cc 24ps/9000rpm 2.3kg-m/6500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量7.8L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=80/100-21 R=120/80-18 ●色:灰 ●価格:62万1500円
【ライディングポジション】’21年型でハンドルの絞り角やステップ位置の見直しを実施。オフ走行に自然なライディングポジションで、足着き性も良好だ。[身長175cm/体重68kg]
[◯] 規制適合後も走り不変。オンロードも楽しいぞ
今年5月にホンダからスクランブラースタイルのCL250が発売された。偶然にも今回試乗したCRF250Lと価格が同じで、水冷単気筒エンジンも同系列。おまけにオンロードと未舗装路の両方を走れるというコンセプトまで共通なのだ。
ホイールトラベル量を比べてみると、CLはフロント150mm/リヤ145mmで、CRFは235mm/220mmと、50%以上も長く設定されている。前後のホイール径もCRFの方が大径であり、しかも悪路走破性の高そうなタイヤまで標準装着している。CLのベース車はレブル250なので、軸足はあくまでオンロード。これに対してCRFは、林道を満足に走破できるだけの性能を有する。それに、最高出力24psは同じでも、CRFはCLより車重が31kgも軽いと聞けば、自ずと両車の守備範囲の違いが見えてくるだろう。
今回試乗したのは、前後サスペンションを伸長して悪路走破性を高めた〈S〉ではなく、それよりもシート高が50mm低いSTDモデルだ。デュアルパーパスでありながら、加減速で発生する車体のピッチングが大きすぎないのと、ボディが軽量かつスリムなので、街中や峠道ではロードスポーツ以上にキビキビと走れる。その一方で、林道では潤沢なサスストロークが衝撃を吸収してくれる上、いつでも足が着けるシート高の低さと、ハンドル切れ角の大きさが、未舗装路にチャレンジする際の心理的なハードルを大いに下げてくれるのだ。
新排ガス規制適合後のエンジンについては、最高出力/最大トルクとも前年モデルから変わらず、WMTCモードでの燃費がわずかに低下した程度だ。単気筒ながら2000rpm付近から粘り強く、スロットルを開ければ7000rpmあたりでパワーがさらに盛り上がり、レッドゾーンの始まる1万500rpmまで気持ち良く伸び上がる。アシスト&スリッパークラッチを採用しているのでレバーの操作力が軽く、シフトフィールも良好。そして、適度なスロットルレスポンスの良さもキビキビと走れる要因であり、エンジンと車体のバランスは非常にいい。
[△] 長距離移動メインなら派生車のラリーを推す
エンジン、車体とも高速道路での100km/h巡航を余裕でこなせるが、走行風をモロに受けるのでライダーがつらい。ロングツーリングなら、大型スクリーンや大容量燃料タンク、座り心地のいいシートを採用するCRF250ラリーを推す。
[こんな人におすすめ] CLで目覚めたらCRFを選べるのがホンダの強みだ
CL250を買った人の何割かが林道に挑戦し、その楽しさに目覚めたらCRFに乗り換える。そんな提案ができるのも、ラインナップ豊富なホンダならでは。タイプ設定の〈s〉にも試乗したが、たまに林道を走る程度ならSTDを推す。
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