
保険金不正請求……だけではない模様のビッグモーター問題だが、我々ライダーにとって気になるのは任意保険加入料に影響があるのかどうか。こんなことで保険料が値上がりしたらたまったものではないが、実際それってどうなのか、大手損保会社の広報担当者に聞いてみた。
●文:Nom(埜邑博道)
不正請求額が判明したとして、すべて回収できるのか
連日、さまざまなメディアで報道されている中古車販売大手・ビッグモーターの保険金不正請求問題。
ゴルフボールで傷をつけたり、破損していないミラーを工場内で折ったりと、信じられない行為の数々が繰り広げられていたそうで、7月25日にやっと記者会見を開いて、その場で兼重社長と息子の副社長が翌日付で辞任することを発表して沈静化を図ろうとしていますが、そう簡単に幕引きはできないでしょう。
今後は、保険金を不正請求された損害保険会社(以下損保会社)が不正請求額をビッグモーターから回収にかかるのでしょうけれど、どこまで回収ができるか。もしきちんと回収ができず損保会社に大きな損害が生じたりしたら、バイクとクルマの任意保険全体に悪影響、つまり大幅な値上げなどが起こったりしないのでしょうか。
また、今回の不正が原因で、修理見積の査定の厳格化が起こり、整備工場などに入庫してから修理が完成するまでの期間が延びてしまい、バイクに乗れない期間が長引いてしまうような事態は起きないのでしょうか。
今回のビッグモーターの事件が、我々バイクユーザーに与える影響を大手損保の広報担当者に聞いてみました。
担当者によると、現状は事件が明るみに出て、どのくらいの保険金不正請求があったのかの調査を始めたばかりの段階で、不正請求額がどのくらいになるかもまだ分からないそうです。
また、金額が判明したとしても、それをすべて回収できるのかどうかという問題も生じるのではないかとのこと。ただ、回収した金額は将来にわたって保険料に反映するつもりとのことで、この事件が原因で保険料が上がることはないのではという回答でした。
ただ、今年の5月に損害保険ジャパンと東京海上日動火災保険の2社が来年から自動車保険の値上げ(4年ぶり)をすることを発表しているので、ビッグモーターの事件が来年の値上げにどういう影響を及ぼすのかどうか心配です。
ただでさえ、ここのところの物価高や、バンパーや車体へのセンサー類の装着によって修理代は高騰しているそうですから、来年4月の値上げ幅が気になります。
もうひとつの心配事である、修理見積の査定の厳格化とそれに伴う入庫期間の延長に関しては、ビッグモーターについては今後は写真の確認と立ち合いでの損壊箇所の確認の両方を必ず行うことにしているが、他の整備業者については従来通りの査定方法を継続する考えと言います。
不正請求問題はあくまでもビッグモーターだけの事案であって、整備業界全体にこういう行為が蔓延しているとは思っていないので、査定に関するフローは変えるつもりはないようです。
という感じで、入庫期間が長引くようなことも起こらない見込みのようです。
ともあれ、ビッグモーターの保険金不正請求問題は、今後、様々なことが明るみになっていくでしょうから、我々が加入する保険料に悪影響が出ないことだけを祈りましょう。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事([連載] 多事走論 from Nom)
片山財務大臣が走行距離課税は検討していないと明言! この発言の持つ意味はとても大きい 11月12日の参議院・予算委員会で、国民民主党の榛葉幹事長の「走行距離課税はやりませんよね」という質問に対し、片山[…]
補助金を段階的に上げて暫定税率廃止へと繋ぐというが、年末までに無理なく実施できる? このコラムでも何度も取り上げてきたガソリンの暫定税率が、ついに廃止される見通しとなりました。 自民、日本維新の会、立[…]
トランプ関税はバイクの世界にも影響があるのか、国内各メーカーに聞いてみました 世界中に吹き荒れている「トランプ関税」の深刻な影響。 特に、自動車に課されることになった15%の相互関税は日本の自動車メー[…]
暫定税率を廃止するなら代わりにって…… 与野党が合意して、11月からの廃止を目指すことになったガソリン税の暫定税率。 このコラムでも数回取り上げてきましたが、本来のガソリン税28.7円/Lに25.1円[…]
対策意識の希薄化に警鐘を鳴らしたい 24年前、当時、編集長をしていたBiG MACHINE誌で「盗難対策」の大特集をしました。 この特集号をきっかけに盗難対策が大きな課題に そして、この大盗難特集号は[…]
人気記事ランキング(全体)
インカムが使えない状況は突然やって来る!ハンドサインは現代でも有効 走行中は基本的に1人きりになるバイク。たとえ複数人でのマスツーリングだとしても、運転中は他のライダーと会話ができないため、何か伝えた[…]
寒暖差が大きくても着替えずに対応できる! ワークマンのヒーターウエア『WindCore(ウインドコア)』シリーズは、電熱ヒーターを内蔵する防寒アイテム。別売りのバッテリー(4900円)は必要だが、もの[…]
お待たせしました経過報告です 前回のラバゲイン記事、おかげさまで大反響をいただきました。ありがとうございます! そして同時に、「続編が知りたい!」「その後どうなったの?」「どれぐらい持つの?」「いつま[…]
昔ながらの構成で爆発的な人気を獲得 ゼファーはレーサーレプリカ時代に終止符を打ち、以後のネイキッドの基盤を構築したモデルで、近年のネオクラシックブームの原点と言えなくもない存在。改めて振り返ると、’8[…]
BLESS CREATIONのカーボン外装をまとう カーボン外装メーカー・ブレスクリエイションの高い質感と造形の美しさのX350専用外装に惚れ、編集部号にも装着することにした。フロントフェンダー/ラジ[…]
最新の投稿記事(全体)
Nプロジェクトを彷彿とさせる魅力的なデザイン スクエアX125最大の魅力は、その名の通り「スクエア(四角)」を体現した、垂直の箱型ボディだ。空気抵抗を減らすカウルを持つことが主流の現代のスクーターデザ[…]
知識ゼロから飛び込んだ継承への挑戦 このデニム、ただの復刻ではない。SFG前オーナーの強い想いに突き動かされ、全てを見直して完成させた「ライダー向け」の工夫が詰まっているのだ。 G RIDEが起業して[…]
250cc水冷90°V型2気筒でDOHC8バルブが、たった2年でいとも容易くパワーアップ! ホンダが1982年5月、V型エンジン・レボリューションのVF750Fに次ぐ第2弾としてVT250Fをリリース[…]
バニャイアにとって「新しいモノはいいモノ」じゃなかった MotoGPマシンがあまりにも速くなりすぎたこともあって、再来年にはレギュレーションが大きく改定されることになった。 エンジンは850ccに、空[…]
戦闘力を高めるヘッドギア「ダインギア ヘッドアーマー」 クロスカブ110の個性をさらに際立たせ、カスタムの方向性を決定づけるほどの高いデザイン性を持つパーツが登場した。それがダイバディプロダクションが[…]



































