
’19年に生産国のインドで発売、翌’20年から日本にも導入されたスズキ ジクサー250/SF250が、’23年モデルで令和2年排出ガス規制に適合した。魅力のひとつであった燃費はWMTCモード値で約8%減少するも、最高出力と最大トルクは堅持。ネイキッドの方に試乗したぞ!
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:山内潤也 ●外部リンク:スズキ
スズキ ジクサー250 概要
【SUZUKI GIXXER250】■全長2010 全高1035 シート高800(各mm) 車重154kg ■油冷4スト単気筒SOHC4バルブ 249cc 26ps/9300rpm 2.2kg-m/7300rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量12L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=110/70-R17 R=150/60-R17 ●色:青 黒 ●価格:48万1800円
【ライディングポジション】シートは前方がスリムで低く、足着き性はご覧のとおり良好。純ネイキッドとストリートファイターの中間的なライディングポジションとなる。[身長175cm/体重68kg]
[◯] 張りのあるレスポンス。運動性寄りの操安性だ
ジクサー150の上位モデルとして、’20年に発売されたのがジクサー250だ。燃焼室の周囲に冷却用のオイル経路を設けた249cc油冷SOHC4バルブ単気筒は、’23年モデルで新排ガス規制に適合しつつ、最高出力26ps、最大トルク22Nmはキープ。最高出力の発生回転数が9000rpmから9300rpmに変化したほか、公称燃費が微減した。
直接のライバルは、同じ単気筒のホンダ CB250Rだろう。またネイキッドという括りなら、2気筒のヤマハ MT‐25やカワサキ Z250あたりと迷う人がいても不思議ではない。ジクサー250は最高出力こそこの4台の中で最も低いが、実用域である3000~7000rpmにしっかりとした力があり、しかもレッドゾーンの始まる1万rpmまで高揚感を伴いながらスムーズに吹け上がるので、乗っていて飽きないのだ。最大トルクは4車でほぼ横並びだが、それを最も低い回転数で発揮するのはジクサーであり、張りのあるレスポンスもあってパワー不足を感じさせない。厳しい規制適応後も回しきれる楽しさは不変だ。
ハンドリングについては、相変わらず軽快感が際立っている。タイヤサイズはCB250Rと共通で、リヤは2気筒の2台よりも1サイズ太いのだが、軽い入力で倒し込みや切り返しが行える上、ラジアルタイヤを採用していることもあってそこに軽薄感はない。リヤサスペンションの設定がやや硬めだが、しなやかなダイヤモンドフレームがそれをカバーする。
今回、高速道路を走りながら気付いたのは、左右に張り出したシュラウドがダウンフォースに寄与しているのではないかということ。というのも、小排気量ネイキッドにありがちなフロントの接地感の薄れが少なかったからだ。タイヤの性能もあるだろうが、これは隠れた美点だ。
ブレーキは、前後ともバイブレ製のキャリパーを採用する。フロントは片押し式2ピストンだが、発生する制動力は高く、ABSが作動する直前まで自信を持ってコントロールできる。これでレバーに開き角のアジャスターがあればなお良しだ。
[△] 燃費の良さが光るのになぜか燃費計が非装備
’23年型でWMTCモード値が落ちたとはいえ、2気筒勢の25km/L台を大きく上回る34.5km/Lを公称するのがジクサー250だ。実燃費はそれを超えるとの報告も多数あるのだが、走行中にそれを知るための燃費計が付いていないのは残念。
[こんな人におすすめ] ライトウェイトらしい走りを低価格で提供
’23年型は値上がりしたとはいえ、同じ単気筒のCB250Rより8万2500円、2気筒のZ250より15万6200円も安い。軽量コンパクトという油冷シングルの有利を前面に押し出した、高コスパのライトウェイトスポーツだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ジクサー250)
250ccフルスケールで断トツの安さ! 低燃費やスズキ独自の油冷単気筒も魅力 スズキは、独自の油冷単気筒エンジンを搭載した軽二輪ネイキッドスポーツ「ジクサー250」にニューカラーを設定し、2025年モ[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
250ccクラスは16歳から取得可能な“普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は全部で7種類ある。原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
250ccクラスは16歳から取得可能な“普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は全部で7種類ある。原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制[…]
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト)
孤高のパニガーレV4Sと友好的なパニガーレV2S パニガーレV4Sでサーキットを3本ほど走ると、強烈な疲労感が僕の身体を襲う。汗は止まらず、足腰に力が入らなくなる。試乗直後は格闘技を終えたような感じだ[…]
シェルパの名を復活させたブランニューモデル カワサキが、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やSMは2~5年ぶり)に復活させたのは、2024年[…]
【岡崎静夏 おかざき・しずか】ルックスはキュートなバイク女子。走りは全日本ロードレース選手権J-GP3クラスでシリーズランキング4位を獲得する実力!! E-クラッチがもたらす超スムーズな変速に感動 今[…]
ラインナップ豊富な新生KLX230シリーズ カワサキは、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やSMは2~5年ぶり)に復活させた。 KLX230[…]
BMWが打ち出すベテラン用オートマチック 違和感はなく、慣れという意識も必要なかった。走り出して10分もすると、僕はASA(オートメイテッドシフトアシスト)のコツを掴み、その機能をより効率良く活用する[…]
人気記事ランキング(全体)
シェルパの名を復活させたブランニューモデル カワサキが、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やSMは2~5年ぶり)に復活させたのは、2024年[…]
新5色ラインナップとなった2022年モデル 2022年モデルが発売されたのは、2022年6月23日のこと。2021年のフルモデルチェンジの際には、新設計の水冷エンジンが4バルブの「eSP+(イーエスピ[…]
まず車間が変わることを理解しておこう! ツーリングでキャリアのある、上手なライダーの後ろをついてゆくのが上達への近道。ビギナーはひとりだと、カーブでどのくらい減速をすれば良いかなど判断ができない。そう[…]
ナンバー登録して公道を走れる2スト! 日本では20年以上前に絶滅してしまった公道用2ストローク車。それが令和の今でも新車で買える…と聞けば、ゾワゾワするマニアの方も多いのではないか。その名は「ランゲン[…]
15番手からスタートして8位でフィニッシュした小椋藍 モナコでロリス(カピロッシ)と食事をしていたら、小椋藍くんの話題になりました。「彼は本当にすごいライダーだね!」と、ロリスは大絶賛。「ダイジロウ・[…]
最新の投稿記事(全体)
モンキーFSシリーズの最新作として誕生! ホンダ「CB1000F コンセプト」で往年のフレディ・スペンサーが駆ったレーシングマシンのカラーリングが話題になったばかりだが、憧れの“スペンサーカラー”をま[…]
孤高のパニガーレV4Sと友好的なパニガーレV2S パニガーレV4Sでサーキットを3本ほど走ると、強烈な疲労感が僕の身体を襲う。汗は止まらず、足腰に力が入らなくなる。試乗直後は格闘技を終えたような感じだ[…]
1999年、東京モーターショーに突如CB Fourが出現! CB Four、ホンダファンは憶えているはず。1999年の東京モーターショーに、何の前ぶれもなく展示されたショーモデル。その名も「CB Fo[…]
※同記事は、別冊オールドタイマー21号(2016年7月号)掲載の記事に加筆し、再構成したものです。 あえてベールに包まれたファルコ 以下は、元スズキ社員としてファルコラスティコ(以下ファルコと表記)の[…]
メンテナンスが必要になった時に必要な部品が手に入る 全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスでEXACTホイールやダイレクトドライブレーシングディスクのユーザーが増加し、MotoGP Moto2クラ[…]