
都内でバイク駐車場の整備を進める公益財団法人東京都道路整備保全公社(以降”公社”)に、近年の整備状況等についてお話を伺った。設置数は微増傾向にあるほか、飽和状態にある四輪駐車場の転換も進んでいるが、課題も多いという。
●文:ヤングマシン編集部(田中淳磨) ●外部リンク:公益財団法人東京都道路整備保全公社
都内の時間利用バイク駐輪場は増加傾向に
公社は、東京都の政策連携団体として都の施策を踏まえた駐車対策の取り組みを推進している。青色の看板に黄色い文字で「TOKYO PUBLIC」と書かれたバイク駐車場を目にしたことのある人も多いと思うが、そうした駐車場の設置/運営/管理を担っているのがこの団体だ。
また、都内時間貸駐車場の検索サイト「s-park」も運営している。こちらのサイトには公社運営以外のバイク駐車場も掲載されており、とても検索しやすいので、出発前の駐車場確認にお勧めだ。
さて、s-parkに掲載されている都内バイク(自動二輪車)駐車場数の推移は図1のようになっている。グラフにしてみると微増と感じるかもしれないが、都心へのバイク流入量が減っていることも考えればとても健闘していると捉えるべきだ。公社運営によるバイク駐車場もひと目につきやすい幹線道路沿いに新設されるなど、着実に浸透しているのは事実だ。
(図1)自動二輪車駐車場の推移 ※s-park登録駐車場数
多すぎるクルマ用駐車場のバイク転換を!
次に、民間の駐車場事業者にバイク用駐車スペースを増やしてもらうための活動について紹介する。
都内では四輪駐車場が飽和しつつある。中にはスペースに余裕のある四輪駐車場もあり、そうしたスペースの一部をバイク用に転換/改修してもらうべく、公社は区の協力を得て、自動二輪車用駐車場整備助成を行っており、’04年から’21年までに21の区の192駐車場に対して、新設を含む3674台分の整備支援を行ってきた。
専用の料金精算機やバイク用の施錠設備、転倒防止のためのガードパイプ、敷地内の案内標識等の設置などが助成対象になっている。近年、四輪駐車場の一部にバイクが置けるところが増えているが、こうした助成制度の恩恵も大きいのだ。
ただし、課題もある。バイクは四輪車と比べると採算性が低い。助成金を利用しても、それなりの設備投資が必要で、利益を産むまでには時間がかかる。バイク駐車場の需要が高い駅近や繁華街では当然地代が高いので回収も容易ではない。さらにレイアウトをうまく配置できるほどの広さが確保できないといった課題もあるようだ。
事実、助成制度を利用した駐車場の数を見ると、なかなか難しいということが伝わってくる(図2参照)。しかし、用地確保が難しい23区内では、四輪駐車場の余っているスペースを二輪用に転換していくことが現実的かつ重要だ。
(図2)自動二輪車駐車場の助成場数の推移突出している平成18年(’06年)は改正駐車場法が施行され、違法駐車取締り関係事務の民間委託が始まった年であり、都内では多くのライダーが取締りを受けた。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載] 2輪車利用環境改善部会)
[1] 7年目の高校生講習も秩父地域からスタート 埼玉県内を6地域に分けて全8回で開催される「令和7年度 高校生の自動二輪車等の安全運転講習」が2025年も始まった。 第1回目の講習会は、6月15日に[…]
講習内容を検討する“指導検討委員会” が開催 2025年1月29日、埼玉県知事公館において「令和6年度 高校生の自動二輪車等の交通安全講習に係る指導検討委員会」(以降、指導検討委員会)が開催された。本[…]
地域活性化ツーリングを開催、移動課題改善への提言も 2024年9月29日に開催された地域活性化・ライダー誘致イベント“伊豆ライダー誘致ツーリング”。 主催は若年層を中心に構成。バイクやクルマ、特定原付[…]
バイク駐車場の拡充に取り組む千葉市 千葉市内には6区で50の鉄道駅がある。中でも千葉駅は千葉県の中心駅として、JR東日本の在来線6線と京成電鉄、さらに千葉都市モノレールが乗り入れている。 都心や成田空[…]
EVは脱炭素社会実現と移動課題の改善に寄与するか 「バイクラブフォーラムin南国みやざき」で実施されたパネルディスカッション、「電動二輪車利活用による社会課題(脆弱な二次交通)解決」において、次のトー[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
ホンダCB1000Fコンセプト、カワサキZ900RSへの「負けん気」を胸に登場か? 鈴鹿8耐でデモ走行を披露したホンダの「CB1000Fコンセプト」は、生産終了したCB1300シリーズの後継として期待[…]
長距離ツーリング休憩時の立ち寄り場所の参考に 本記事の作成にあたり、AIの補助を借りつつ、「東名高速道路 グルメ おすすめ」「サービスエリア ランキング」「各SA PA名 グルメ」といったキーワードで[…]
空と大地が出会う場所に生まれた最新グルメスポット 明治期の開墾以来、総面積約5000ヘクタールの「牧之原大茶園」を中心に豊かな茶文化が息づいていた日本一の茶畑を誇る“お茶のまち”静岡県牧之原市。 空へ[…]
若月佑美が初のバイクを納車、購入モデルは? 2025年の2月に免許を取得したという若月佑美さん。 当時の話は以下インタビューで詳しく語ってもらったが、以降はどのバイクを買うか悩みに悩んだという。 そん[…]
最長45kmの渋滞も起こり得る2025年のお盆 2025年の渋滞予測期間は、2025年8月7日(木)から8月17日(日)までの11日間となっている。この期間中、10km以上の交通集中による渋滞は、上下[…]
人気記事ランキング(全体)
発売当初のデザインをそのままに、素材などは現在のものを使用 1975年に大阪で創業したモンベル。最初の商品は、なんとスーパーマーケットのショッピングバックだった。翌年にスリーピングバッグを開発し、モン[…]
軽量で取り扱いやすく、初心者にもピッタリ 「UNIT スイングアームリフトスタンド」は、片手でも扱いやすい約767gという軽さが魅力です。使用後は折りたたんでコンパクトに収納できるため、ガレージのスペ[…]
まるで自衛隊用?! アースカラーのボディにブラックアウトしたエンジン&フレームまわり 北米などで先行発表されていたカワサキのブランニューモデル「KLX230 DF」が国内導入されると正式発表された。車[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
コンパクトな車体に味わいのエンジンを搭載 カワサキのレトロモデル「W230」と「メグロS1」が2026年モデルに更新される。W230はカラー&グラフィックに変更を受け、さらに前後フェンダーをメッキ仕様[…]
最新の投稿記事(全体)
竹繊維を配合した柔らかく軽量なプロテクターシリーズ 「お気に入りのジャケットを、もっと涼しく、もっと快適にしたい」、そんなライダーの願いを叶えるアップグレードパーツ「バンブーエアスループロテクター」シ[…]
対策意識の希薄化に警鐘を鳴らしたい 24年前、当時、編集長をしていたBiG MACHINE誌で「盗難対策」の大特集をしました。 この特集号をきっかけに盗難対策が大きな課題に そして、この大盗難特集号は[…]
「自分には自分にやり方がある」だけじゃない 前回に続き、MotoGP前半戦の振り返りです。今年、MotoGPにステップアップした小椋藍くんは、「あれ? 前からいたんだっけ?」と感じるぐらい、MotoG[…]
夏ライダーの悩みを解決する水冷システム 酷暑の中、ヘルメットやライディングウェアを身につけて走るライダーにとって、夏のツーリングはまさに過酷のひとこと。発汗や走行風による自然な冷却だけでは追いつかない[…]
コスパも高い! 新型「CUV e:」が“シティコミューターの新常識”になる可能性 最初にぶっちゃけて言わせてもらうと、筆者(北岡)は“EV”全般に対して懐疑的なところがある者です。カーボンニュートラル[…]
- 1
- 2