
ハスクバーナから新型アドベンチャーモデル「ノーデン901エクスペディション」が登場。装備や走りのポテンシャルは従来型とどう違うのか、南アフリカで開催された国際メディア試乗会からレポートしたい。
●文:ヤングマシン編集部(ケニー佐川) ●写真:ハスクバーナモーターサイクルズ
【テスター:ケニー佐川】国内外の試乗会に参加しまくる2輪ジャーナリスト。今回はダカールラリー5勝、シリル・デプレ(右)の先導付きというサプライズも!
ハスクバーナ ノーデン901エクスペディション 概要
【Husqvarna Norden 901 Expedition】■全長ー 全幅ー 全高ー 軸距1529±15 シート高875/895(各mm) 車重214.5kg(ガソリンなし) ■水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ 889cc 105hp/8000rpm 10.2kg-m/6500rpm 変速機形式6段リターン 燃料タンク容量19L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=90/90R21 R=150/70R18 ●色:青 ●価格:199万9000円 ●発売日:6月
【ライディングポジション】上体が立った楽なライディングポジション。2段階調整シート(875mm/895mm)はノーデンより20mmほど高いが、スリムなシートまわりと沈み込む前後サスペンションにより足着きは見た目より良好だ。[身長179cm/体重73kg]
“アタリ”は柔らかめだが、オンもオフも走りは確実
オフロード界にその名を馳せる北欧スウェーデン発祥の2輪ブランド、ハスクバーナ初のアドベンチャーモデルとして2021年にデビューしたノーデン901。独特のネオレトロな雰囲気が新たなファン層を広げる中、早くも第2弾として「エクスペディション」が投入された。「遠征」を意味する名のとおり、より長く険しい道を快適に走破するために装備を強化した派生モデルである。STDのノーデンとの違いは大きく3つ。”旅力”を強化する大型スクリーンとサイドバッグを新たに装備し、加えて”オフロード走破力”を高めるため前後サスもハイグレード化。さらに電制やコネクティング機能も充実させている。
長い足にいかついアンダーガード、丸目にぽってりとしたシルエットは’80年代にダカールラリーで活躍した巨大ラリーマシンを思わせる。KTM890アドベンチャー由来の水冷並列2気筒エンジンはノーデンと共通スペックの最高出力105psを発揮。75度位相クランクの小気味よい鼓動感とともに弾けるトルクが特徴だが、一方で高回転までスムーズに回る出力特性はシルキーと言えるほど滑らか。アドベンチャーバイクとしては軽量コンパクトな車体のおかげで取り回しもさほど苦にならず、6速ミッションはクイックシフター付きで市街地からワインディングまで扱いやすく重宝。加えてライダーの全身を覆う大型スクリーンとボディカウルが走行風を受け流してくれるので高速クルーズも快適だ。
ハンドリングも軽快かつ安定感があり、前後21/18インチのスポークホイールならではの大らかさ。ノーマルに比べて20mm以上延長されたWP製サスペンションのしなやかな乗り味はオンもオフも快適で、加えてスコーピオンラリーSTRの豊富な接地感のおかげでスポーツモデル並みにコーナリングが楽しめてしまう。
とはいえ、本領を発揮するのはやはりダートだ。モードを「オフロード」に設定すればパワーは穏やかになり、ABSやトラクションコントロールも最適化されて軽くテールを滑らせる走りもお手のもの。さらにハードなガレ場などは「エクスプローラー」モードで刻々と変わる路面状況に合わせてトラクションコントロールレベルを瞬時に切り替えながら走破できる。まるで自分が上手くなったような気分だ。これらの電子制御プログラムは豊富なラリー参戦で得られたノウハウが注入されているという。当りは柔らかいが走りは確実。まさに遠征を楽しむための冒険マシンだ。
【試乗会は南アフリカ。コースはオフ三昧】2日間で400kmほど走った6割がオフロード。広大なフラットダートからいきなり岩場やサンドが現れる林道、落ちたらヤバい断崖など遠征に相応しいタフなルートが用意された(汗)。
苛烈なコースを経て、ゴール地点では車体もドロドロに…。激しい試乗会であった。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト)
今回のツーリングで3337.2kmを走ったトレーサー9 GT+Y-AMT ①ACC&Y-AMTの組み合わせは高速移動が圧倒的にラクチン! 今回のインプレッションでは首都圏から北海道まで高速道路を使って[…]
“快適”と“スポーツ”を電サスで無理なく両立!! 超絶的な防風性にAT機構のDCT、グリップヒーターやコンフォートシートなどの快適装備。長距離を走るツアラーとして“疲れにくさ”にトコトンこだわったNT[…]
ピカイチの快適性を誇り、タンデムユースも無理ナシ ようやく全日本JーGP3の開幕戦が近づいてきて(記事制作時)、最近はバイクに乗るトレーニングもスタート。 筋力が増えたことで、これまで苦手だった車種で[…]
乗ったのはサーキット、でもストリートの皆さんにこそ魅力を届けたい! 今春の大阪モーターサイクルショーで世界初公開されたCB1000Fコンセプト、その披露にともない、私、丸山浩はCBアンバサダーに任命さ[…]
街乗りで乗り比べてみると、R15とR25はどこが違って感じるのか!? 両車とも軽二輪クラスで、“車検がなく、維持しやすくて高速OK!”というキャラクターは一緒なR15とR25。気になるのは155ccと[…]
人気記事ランキング(全体)
ファン+ペルチェでダブル冷却 山善のペルチェ ベストは、外径約100mmの大型ファン(厚み約38mm)で風を取り込み、さらに内蔵のペルチェデバイスで空気やウェア表面を冷やす仕組みを採用。保冷剤用メッシ[…]
コンパクトながら高出力のペルチェ冷暖ベスト おたふく手袋の「冷暖ペルチェベスト JW-699」は、USB PD対応の2万mAhバッテリーを標準付属。psEマーク取得のバッテリーで、最大連続使用は冷却の[…]
MotoGPライダーのポテンシャルが剝き出しになったトップ10トライアル 今年の鈴鹿8耐で注目を集めたのは、MotoGPおよびスーパーバイク世界選手権(SBK)ライダーの参戦だ。Honda HRCはM[…]
最外層にカーボンファイバーを使ったX-Fifteenの最高峰モデルが登場! 積層させた炭素繊維を樹脂で固めたカーボンファイバー(CFRP)は、軽くて強い素材だ。そのため航空機やレーシングマシンに使われ[…]
派生機種を生んだ素性の良さ GS750/Eの実質的な生産期間は約3年。とはいえ、派生機種として登場したGS750G/GL、排気量拡大版のGS850Gは’80年代半ばまで生産を継続。この点については兄貴[…]
最新の投稿記事(全体)
901への憧れから始まった”シンガー” シンガー・ヴィークル・デザインの創業者、ロブ・ディキンソンはアーティスト(歌手)として活躍していたこともあるのでSingerという会社名にしたという説と、ポルシ[…]
ZXシリーズに連なる新ライムグリーングラフィックとマットシルバーの2色を新設定 カワサキモータースジャパンは、ミドルクラスの2気筒スポーツバイク「ニンジャ650」の2026年モデルを発表した。搭載する[…]
ニューカラー採用、スペックや“カワサキケアモデル”に変更なし カワサキがアーバンクルーザー「バルカンS」の2026年モデルを発売する。2022年モデルの発売後、コロナ禍もあって国内導入が一時中断されて[…]
新ライムグリーンのほかグレー系2色も新ラインナップ カワサキは、4気筒600ccスーパースポーツ勢に対し37ccのアドバンテージを持つ「ニンジャZX-6R」の車体色を変更し、スマートフォンアプリの新機[…]
MotoGPライダーのポテンシャルが剝き出しになったトップ10トライアル 今年の鈴鹿8耐で注目を集めたのは、MotoGPおよびスーパーバイク世界選手権(SBK)ライダーの参戦だ。Honda HRCはM[…]