空冷エンジンのみをラインナップするロイヤルエンフィールドが、EICMA2022で新たに発表したのがクルーザーのスーパーメテオ650だ。クラシカルな雰囲気の中に新しさがあるのはこれまでのモデル同様。インドで開催された試乗会に参加してきた。
●文:ヤングマシン編集部(小川勤) ●写真:長谷川徹 ●外部リンク:ロイヤルエンフィールド
【テスター:小川勤】2022年、ヒマラヤ(バイク)でヒマラヤ(秘境)を走り、以来ロイヤルエンフィールドづいているフリーライター。WEBヤングマシン傘下のWEBミリオーレのディレクターでもある。
ロイヤルエンフィールド スーパーメテオ650 概要
癒やされる鼓動感と高いスポーツ性を併せ持つ
インドのラジャスタン州は砂漠の街だ。砂漠を切り開いた道を走っていると、空冷648ccエンジンが生み出す豊かな鼓動が全身に染み込む。この道がずっと続けばいいのに…ただ真っ直ぐ走ることが楽しくて、僕は今回の旅で何度もそう思った。
EICMA2022で登場したスーパーメテオ650は、ロイヤルエンフィールドが久しぶりに発表したミドルクラスのクルーザー。日本でも人気のメテオ350の兄貴分である。ライバルであるホンダのレブル500よりも大柄で重厚感があり、クラシカルな香りも強い。
エンジンは空冷パラレルツインで、シリンダーのフィンや丸みを帯びたクランクケースはクラシカルな雰囲気だが、中身は最新。270度クランクを採用した不等間隔爆発で、648ccとは思えない力強いトルクと、全域で気持ちよさを約束してくれる。さらに従来のコンチネンタルGT650などよりもローギヤード化し、エアボックスも拡大してフィーリングをクルーザーに合わせてきた。
このエンジンを搭載するのはイギリスの名門であり、今はロイヤルエンフィールドの傘下であるハリスパフォーマンス製のフレーム。高い剛性と、しなやかな乗り味の両立はまさに名門の味付けというにふさわしく、これは近年のロイヤルエンフィールドらしさの象徴でもある。
ポジションは少し大柄だが、走り出すと、足を前に投げ出すスタイルがリラックスさせてくれる。前後サスペンションはショーワ製で、インドの路面はギャップも多く砂も浮いているが、高い路面追従性を披露。国産車と比較すると設定荷重は高めだが、段差でも底付きはしない。
ブレーキは主にリヤでコントロールするクルーザーならではのスタイル。ボッシュ製のABSの作動性も良く、日本ではあまり使うことはないだろうけれど、犬の飛び出し時や砂地でのブレーキングも安心だった。
今回は2日間で370kmほど走ったのだが、走るほどにスーパーメテオ650の魅力に気付かされる。まずはそのハンドリングだ。クルーザーというと、スタイル優先で曲がらないバイクも多いが、スーパーメテオ650はワインディングで高いスポーツ性を見せる。前輪が遅れて追従してくる感じやカーブで膨らんでしまう不安がなく、とてもスポーティ。いわゆる一般的なネイキッドなどと同じ感覚で乗れるのだ。
また高速道路での振る舞いも見事だった。60km/hを超えていればトップギヤで走れ、どこまでも直進安定性が高い。80〜120km/hでの巡航を難なくこなし、120km/hから全開にしてみたが、648ccとは思えない逞しい加速を披露。さらに回転が上がっていっても不快な振動が出ないのが良い。
初めて乗るのになぜか懐かしく、安心感があるスーパーメテオ650は、最新技術でトラディショナルなバイクらしさを追求するロイヤルエンフィールドらしい仕上がりだった。
「スーパーメテオ650は、ただ直線を楽しむクルーザーではありません。峠ではハンドリングを楽しめ、ロードスター的にも楽しめるダイナミッククルーザーなんです」試乗を終えると、以前に聞いた開発陣の言葉が妙にしっくりときた。
ツアラーはシーシーバーとスクリーンを装備
高速走行時の快適性を向上させたスーパーメテオ650ツアラーもラインナップ。速度が上がっても風圧を感じさせないため、自然とリラックスすることが可能。ハンドルを押さえなくて良いため、疲労感が全然違うのだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ロイヤルエンフィールド)
要大型二輪免許の超個性派! 日本導入は2025年 ロイヤルエンフィールドのゲリラ450は、同社のアドベンチャーモデルであるヒマラヤと同じ452ccの水冷DOHC単気筒エンジンを搭載するロードスター。日[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc 400ccクラスは、普通二輪免許を取ってから間もないビギナーも選ぶことができる排気量帯で、16歳から乗ることができる。 そんな400cc[…]
クルーザーベースなのに意外にスポーツ性高し! ロイヤルエンフィールドの日本国内ラインナップには、このショットガン650のほかに648ccの空冷パラレルツインエンジンを搭載するモデルが3機種ある。カフェ[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
取り柄はレトロなスタイルだけじゃない。最新のクラシックは基本性能の高さが魅力 トライアンフやノートン等と同様に、イギリスで創業したロイヤルエンフィールドは、1901年にバイクの生産を開始した世界最古の[…]
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト)
ベテランカメラマンに「これはアートだ」と言わしめる流麗なフォルム リヤタイヤが路面を蹴り飛ばすかのような、豪快で胸の空く加速フィールはスタートダッシュだけではなく、速度レンジが上がってからもまだまだ続[…]
2018 カワサキ ニンジャ400:250と共通設計としたことでツアラーから変貌(2018年8月30日公開記事より) 2018年型でフルモデルチェンジを敢行した際、従来の650共通ではなく250共通設[…]
リグニスによるカスタムコンプリートのニューモデル『フリスコスタイル』とは 「これこれっ、これなんだよなぁ」と、エボリューションVツインを知る人はもちろん、もしかしたらハーレーダビッドソンに乗ったことが[…]
ジクサー150でワインディング 高速道路を走れる軽二輪で、約38万円で買えて、燃費もいいというウワサのロードスポーツ──スズキ ジクサー150。 まだ子どもの教育費が残っている50代家族持ちには(まさ[…]
ワイルドさも残る洗練のクロスオーバー スズキの量産バイクで初めて電子制御サスペンションを採用したGSX-S1000GX(以下GX)は、前後17インチホイールを履いたクロスオーバー・アドベンチャー。欧州[…]
人気記事ランキング(全体)
アッパーカウルはフランスで882.5ユーロ 1980年代のGSX1100S KATANAをモチーフにしたスペシャルモデルを製作することは、S2コンセプトのスタッフが何年も温めていたアイデアだった。それ[…]
【’09VMAX開発秘話】2リッター「音魂(オトダマ)」は失敗だった 新VMAXの開発には実に十数年の歳月が費やされた。このプロジェクトを長い間推し進めてきた中心人物は開発の経緯をおよそ次のように語る[…]
ライトグレーのボディにライトブルーのホイールが新鮮! ヤマハが「MT-25」の2025年モデルをインドネシアで世界初公開した。欧州で発表済みの兄弟モデル・MT-03に準じたモデルチェンジ内容で、現地価[…]
従来は縦2連だったメーターが横2連配置に ヤマハは、2004年に欧州で誕生し、2017年より日本を含むアジア市場へ(250として)導入されたスポーツスクーター「XMAX」の2025年モデルを欧州および[…]
欧州&北米で昨秋登場した新型YZF-R3の250cc版 ヤマハはインドネシアで新型「YZF-R25」を発表した。2024年10月に欧州&北米で登場した新型YZF-R3と同様のモデルチェンジ内容とした2[…]
最新の投稿記事(全体)
デュアルLEDプロジェクターヘッドライトの鋭い眼光! ホンダは、昨秋のEICMAで発表した新型「CB750ホーネット」を、予告通り国内モデルとして正式発表した。 アシスト&スリッパークラッチを採用する[…]
「BMW R12nineT」ベースで、よりダイナミックに 新型BMW R12Sは、1970年代に数々の伝説を残した究極のレーシングマシン「R90S」を彷彿とさせるシルエットとカラーリングに加えて、BM[…]
改正道路法による道路空間の活用 神戸市は、瀬戸内海から六甲山地まで、約2~3kmほどの平地に繁華街や住宅地が密集しており、坂道も多い。そのため特に原付バイクの利用が根付いている。 そこで同市は放置駐車[…]
1959年から支持され続けている! 1)作業がとても手軽2)使用できる範囲が広い3)しっかりツヤが出る4)油汚れが場合によってはパーツクリーナーよりもよく落ちる 順に説明していこう。 1)作業が簡単 […]
ガソリン漏れトラブルは突然に これは先日実際に起こった出来事です。 ガソリンを携行缶からバイクのガソリンタンクに注入しようとしたら・・・ボタボタボタッ・・・。 「!!!!」 携行缶のノズルの根元からガ[…]