1911年に創業し、現在は中国の銭江グループ(Q.J.)の傘下にあるイタリアンブランドがベネリだ。このインペリアーレ400は、374ccの空冷単気筒を鋼管ダブルクレードルフレームに搭載したモデルで、1950年代の雰囲気をうまく演出しつつ走りは現代的だ。
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:山内潤也 ●外部リンク:プロト
ベネリ インペリアーレ400 概要
[◯] 微振動皆無の穏やかさ、旧車然とした操安性だ
ホンダのGB350/Sやロイヤルエンフィールドのクラシック350らが直接のライバルとなる、ベネリのインペリアーレ400。スタイリングの直接的なモチーフはないものの、’50年代の雰囲気をうまく再現しており、もしドラムブレーキなら完全に旧車と勘違いするだろう。
エンジンは、ロングストロークの374cc空冷SOHC2バルブ単気筒で、最高出力はおよそ21psを公称する。GB350が20psなのでほぼ同等だ。スタートしてまず驚いたのは、紳士的とも評されるGBよりもさらに振動が少ないこと。排気音はシングルらしい歯切れの良いものだが、それとは裏腹に加速感は滑空しているかのように滑らかだ。蹴り出し感が希薄とも言えるが、穏やかなスロットルレスポンスも含め、全体の印象はBMWのキャブ時代のフラットツインを彷彿させるものだ。
パワーが盛り上がるのは4000rpm付近までで、1速で元気良く発進しようとすると、レッドゾーンの始まる6000rpmをすぐに超えて、一気に7000rpmあたりまで吹け上がってしまう。そこまで回しても不快に感じないほど振動が少なく、一方で低回転域ではGBに比肩するほど粘り強い。現代のニーズに完璧に応えた空冷シングルであり、旧車っぽさを感じるのは長めのシフトストロークぐらいだろう。ハンドリングは、フロント19インチホイールによる典型的に穏やかなもので、見た目以上にしっかりとしているフレームと、良く動いてくれる前後ショックにより、ハイペースな高速巡航も得意としている。リヤのホイールトラベル量は55.5mmと非常に短いが、スプリング付きのシートによってギャップ通過時も底付き感はほとんどなし。車重が200kgを超えるのでキビキビと走らせるのは難しいが、マシン任せでスムーズと流しているときの気持ち良さはインペリアーレ400の美点だ。
ブレーキは、必要にして十分な制動力を発揮してくれ、コントロール性も特に不満なし。ブレーキレバーは4段階のアジャスター付きで、その点はGBより親切だと感じた。
[△] 発売直後の値上げでREよりも高価格に
’22年3月末の発表時には、GB350Sと同等の59万9500円だったが、発売直後の7月1日以降は66万8800円に。これにより、ロイヤルエンフィールドのクラシック350シリーズの中で最も高額なクロームを上回るプライスとなった。
[こんな人におすすめ] 久しぶりに乗り続けたいと思ったシングル
GB350の雑味のないエンジンフィールにも驚いたが、インペリアーレ400は「本当に単気筒!?」と疑うレベル。SR400より30kgも重いので取り回しはそれなりに苦労するが、クラシック系を狙う人にはぜひ試乗をお勧めする。
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