EMSトレーニング機器、ウェアラブルデバイスも……だと?!

ワークマンが「パワースーツ」と「冷暖房・着るエアコン」を発表!! 来年2月まで267アイテムの価格据え置きも決定

去る2023年2月23日、東京国際フォーラムにてワークマンが2023年春夏新製品発表会を開催した。アパレル小売業の単独展示会としては国内最大規模の大型会場で、大手マスコミやアンバサダーのほか、ファッション系の有力インフルエンサーも数多く招待された今回の発表会。その理由はアパレル市場への本格参入宣言にあった。主力PBアイテムの価格据え置き延長や最新テクノロジー分野への参入など、ワークマンの「今」をお伝えしよう。


●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:大屋雄一 ●外部リンク:ワークマン

再びの価格据え置き宣言、イージス防水防寒スーツも対象だ!

アパレル市場への本格参入をアピールするため、カラフルさを全面的に押し出したプレゼンショーに。

ライダーに朗報! 上下セットで4900円のイージス防水防寒スーツも価格据え置きの対象に。●写真:長谷川 徹

2022年2月、そして同年9月の新製品発表会において、売り上げの6割を占めている主力PBアイテムの価格据え置きを連続で宣言したワークマン。コストアップとなる要因は昨年からほとんど好転しない中、果たして値上げのタイミングはいつなのかが注目されていたが、土屋哲雄専務取締役は今回のプレゼンショーにおいて、2023秋冬PB製品についても価格据え置きを継続すると発表した。

具体的な期間は2024年2月までで、価格据え置きの対象となるのはPB製品売上上位300アイテムのうち、廃盤31アイテムを除いた267製品。値上げされるのはワークシューズ2種類のみだ。通勤通学ライダーの強い味方であり、イージスの名を世に知らしめた「イージス防水防寒スーツ(4900円)」も価格据え置きアイテムの一つであり、我々バイク乗りは今年の秋冬も安泰と言えるだろう。

人気のCORDURA EUROライダースメッシュジャケットと同パンツ(各3900円)は、価格据え置きのまま今シーズンも継続して販売される。サイズはM/L/LL/3Lで、F.レザーブラックとデニムネイビーはS/4Lを用意。さらにF.レザーブラックとF.レザーホワイトのSSサイズをオンラインストアにて限定販売する。

CORDURA EUROデュアル3Dメッシュジャケット(3900円)は、袖の着脱システムやスマホケースを省略する一方で、肩と肘には新たに厚みのあるメッシュプロテクターを標準装備した。背中と胸部には昨シーズンと同様にプロテクター用のポケットが設けられており、さらにライダー向けになったと言えるだろう。

エアーメッシュプロテクショングローブ(2500円)は、2023年モデルで甲部プロテクターの位置を修正し、さらにフィット感が高められた。カラーは昨シーズンの迷彩とグレーから、コーディネートしやすいホワイトとブラックの2色展開へ。

2023SSの新作シューズたち。注目してほしいのは上段左側のブラウンのシューズだ。これはレザードライビングシューズ(3500円)で、ワークマンのPBブランドでは初となる牛床革をアッパーに使用。このシューズが耐久性などの面で成功すれば、同じ革を使用したくるぶし丈のライディングシューズへの展開も期待できる。

快適ワーク研究所を新たに設立、今後の動向に注目だ!

労働寿命の延長を目指して設立された快適ワーク研究所。

昨今の円安トレンドを受けた外国人労働者の大量帰国、そして働き手の相次ぐ引退などにより、社会的にも労働寿命の延伸が求められている。ワークマンは過酷な環境下でも快適に仕事ができる製品を生み出すため、大手企業や有力大学とのコラボを積極的に推進できる「快適ワーク研究所」を設立した。

その第一弾として2月から本格的に販売されるのがアシストパワースーツだ。これは物を持ち上げる際の動作など、背筋の使用率を38%以上も軽減できるアイテムで、価格は競合他社製品の半額以下である9800円に設定。ちなみにパワースーツは、オーストラリアでは着用が義務付けられているほど効果的なアイテムだという。

そして、第二弾として5月に販売されるのが冷暖房服だ。ペルチェ素子による同種のアイテムとしては、ソニーが「着るエアコン」ことレオンポケットを販売しており、ご存じの方や実際に使っている人もいることだろう。ワークマンがパナソニックHDの100%出資会社とコラボして販売する製品の価格は2万円で、まずは1万台限定でテスト販売を行う。

このほか、参考出品として水冷服やEMSトレーニング機器、熱中症を知らせるウェアラブルデバイスなどが展示されていた。快適ワーク研究所では、1年を通じてのワーク環境改善だけでなく、メディカルやヘルスケアのジャンルでも開発を進めるという。

パナソニックホールディングスの100%出資会社であるシフトール(2018年設立)と提携し、開発が進められているペルチェ素子による直冷方式の冷暖房服。ペルチェ素子は電極の入れ替えにより冷却と温熱の両機能を持つのが特徴で、信頼性や安全性の観点から国内メーカーの半導体を採用しているという。アイスモードでは最大約-10℃、ヒーターモードでは最大約43℃を公称し、5月から1万台限定でテスト販売を開始する。価格は2万円だ。

上で紹介した冷暖房服とは別に、1万着がテスト販売される水冷服。ホースによって上半身の広範囲に冷却水を循環させるもので、システムとしてはレーシングドライバーが夏期に着用するクールスーツに近い。これにより、今後は冷暖房服やファン付きウエアとの住み分けが進むと思われる。

微弱な電流を流して筋肉を収縮させるEMS(エレクトリカル・マッスル・スティミュレーション、電気的筋肉刺激装置)を用いたスーツとアプリのセット。短時間で効率良くトレーニング効果が得られるのが特徴で、このイースキンはオンラインによるパーソナルトレーニングの定額プランも用意する予定とのこと。負荷設定は100段階で、実際に筆者が前腕のみで試したところ、個人差は大きいとのことだが、弱いほうからわずか10段階目で筋肉がかなり収縮し、高い負荷が感じられた。

熱中症で倒れる作業者が後を絶たないことから、開発が進められているリストバンド型ウェアラブルデバイスのハモンバンド。産業医科大学と前田建設工業が共同研究しているもので、脈波情報から独自のアルゴリズムにより深部体温の変化を推定。熱中症のリスクが高まるとLEDが赤く点滅するとともに、バイブレーションで警告を知らせるという。幼稚園や小中学校の関係者からも注目されているとのこと。

新業態のワークマンカラーズ出店、プレミアムブランドも誕生!

午前と午後の2回行われたファッションショー。

全国に981店舗(2023年2月23日現在)を展開するワークマン。2018年にアウトドアおよびスポーツウエア、レインアイテムを中心に取り扱うワークマンプラスを、2020年にはレディースアイテムをメインとした#ワークマン女子という業態を立ち上げてきた。そして今回、新たに発表されたのは、ファッション性を全面に打ち出した「ワークマンカラーズ」という新業態だ。

これはワークマンが作業服メーカーを脱皮し、アパレル市場へ本格参入することを意味している。まずは#ワークマン女子天王寺MIO店(3月)、#ワークマン女子横浜ビブレ店(4月)をファッション実験店としてスタートさせ、9月には都心にワークマンカラーズの第1号店を出す予定だという。

2023年春夏シーズンの新作は、それに呼応したアイテムが数多くラインナップされている。これまでは高機能と低価格の両立をセールスポイントとしてきたが、今後は優れた機能性をそのままに、ファッション性を全面に押し出すことで、過酷な環境においてもオシャレを楽しめることをアピールするという。

一方、機能面についてもこれまでどおり抜かりはなく、さらなるハイスペックを求めるユーザーのために「ワークマンプレミアム」という上位ブランドを設立。2023年秋冬シーズンに向けて25アイテムが発売予定となっている。

大好評のイナレムにプレミアムの名を加えた製品が新登場。このレインジャケット(4900円)は、耐水圧1万mmは共通ながら3万5000g/㎡/24hと2万g/㎡/24hという透湿度の異なるイナレムを使い分けているのが特徴で、ほかにもダイヤルによるフードアジャスターや袖の着脱システム、ポケッタブル仕様など、数多くの機能を盛り込んでいる。

本格展開スタートから1年、キャンプギアもますます好調だ!

手前に見えるツールームテントはイナレムの生地を使用し、価格は3万8000円。

昨年2月にキャンプギアの本格展開をスタートしたワークマン。その第3弾として発表され新しいアイテムについては、こちらの速報で紹介しているのでご覧いただきたい。今回の発表会において、最も広い面積を占めていたのがキャンプギアである。付け加えると、防災アイテムとしてもニーズも高まっており、どういったアイテムがどんな状況に適しているのかを分かりやすく紹介するブースもあった。

カラフルなホーロー食器群はすでに流通がスタートしている。350mlのマグカップ、直径150mmのボウル、直径248mmのプレートの3種類は全て各980円で、ホワイト、グレー、グリーン、ブルー、ブラックを用意。折り畳み式のまな板の内部に包丁が安全に収納できるブッシュクッキングツールは、Sサイズが1900円、Mサイズが2500円だ。このほかにエコ素材で作られたマグカップや箸、ボウル、深皿、プレートなどもリリースされる。

キャンプギアスペースの片隅にひっそりと参考出品されていた2点。コットの上に敷かれているのは、手前が畳マット、奥が畳シートで、どちらも本物のイ草を使用している。畳マットの方はすでに商品化が決定しており、早ければ夏にも販売予定だという。予価は3500円とのことだが、もう少し安くなる可能性も。一方の畳シートについては、展示品はいわゆるゴザの裏面に断熱シートを貼っただけの状態であり、このまま販売するかは未定とのこと。とはいえ、こちらの方が薄い分だけ仕舞い寸がコンパクトであり、ライダーに人気が出そうなのは畳シートかも。

イナレムの横展開によって誕生した本格的な登山用バックパックが、イナレムシェルバッグだ。容量は50l(手前:6800円)と85l(奥:7800円)の2種類で、どちらもバッグ本体の表地と付属のレインカバーにイナレムを使用。さらにYKKのコーティングファスナーを用いるなど、イナレムの名を冠するだけあって防水性に一切の妥協なし。

なお、最新テクノロジーが好きなライダーにとって最も気になるであろう「冷暖房服」については、近日中に快適ワーク研究所主催によるメディア向けの試着会が開催される予定なので、その際に詳しくお伝えしたいと思っている。

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