
ドゥカティ初のオフローダーであるデザートXが上陸。その名の通り、砂漠を走るプロモーション映像で本格派をアピールするが、果たして既存のドゥカティファンはこの挑戦をどう受け入れるのだろうか? 実際に体感してきた。
●文:ヤングマシン編集部(小川勤) ●写真:ドゥカティジャパン
【テスター:小川勤】WEBヤングマシン内のWEBサイト「ミリオーレ」のディレクター。数々のバイク誌の編集長を経験。市販ドゥカティの多くに試乗してきた。
ドゥカティでオフを楽しむ、そんな日が来るなんて!
果たして、僕はデザートXに乗れるのだろうか? これまでドゥカティの試乗会に不安な気持ちで向かうことはなかったが、デザートXはドゥカティ初の本格オフローダー。僕にオフの経験はほとんどない。それでも、ファンとして乗ってみたいと思い、期待よりも不安を抱きながら試乗会場の軽井沢を目指した。
でもデザートXが気になっている方は、僕と似たキャリアの方が意外と多いのでは? とも思う。オフを走ってみたいけれど、そもそも走れるのか? がわからない方だ。
今回はDRE(ドゥカティライディングエクスペリエンス)形式の試乗会で、講師は本国のオフロード版DREを取りまとめるベッペ・グアリーニさんと三橋淳さん。オフロード初心者の僕にはとても心強い。「足は着くのか?」いちばんの心配はそこだったが、跨ると巨体だがなんとか乗ることができそう。
今回のマシンは本国仕様で、日本仕様はサスペンションが20mm短くなり、オプションでさらに20mm低くできるシートも用意。シート高のハードルはもう少し下げられそうだ。
初めて目の前にするデザートXは、デザインに個性はあるが、これまでのドゥカティに通じる美しさはなく、武骨さが際立つ。フレームはスチール製で、細部のつくり込みは強固。ジャンプなどハードな走りを想定していることが伝わってくる。
【DUCATI DESERT X】■軸距1608 シート高875(各mm) 車重223kg(装備) ■水冷4ストV型2気筒 937cc 内径94×行程67.5mm 圧縮比13.3 最高出力110ps/9250rpm 最大トルク9.4kg-m/6500rpm 変速機6段 燃料タンク容量21L ■キャスター27.6°/トレール122mm ブレーキ形式F=φ320mmWディスク+4ポッドキャリパー R=φ265mmディスク+2ポッドキャリパー タイヤサイズF=90/90-21 R=150/70R18 ●価格:199万9000円
ドゥカティ初の本格オフローダーだけにデザインも攻めた印象。カラーリングが真っ白というのもドゥカティとしては斬新。エレファントをオマージュしつつ、どこまでも逞しさをアピールしてくる。
【今回乗ったのは本国仕様。日本仕様はサスペンションで2cmダウン】今回試乗したデザートXは本国仕様。日本仕様はショートサスペンションを装着し20mmシート高が下がる。足着きは、身長165cmの僕には結構キツイ。停止する時は常に片足をしっかり着く準備が必要になる。[身長165cm/体重68kg]
ドゥカティ デザートX 試乗インプレッション
オフロードテストの場に用意された浅間レースウェイは、火山灰に前日の雨も残りスリップしやすい環境。エンデューロモードにしてABSをカット。講師2人のレクチャーでスタンディングや後輪ロックを体感。少しずつダートに慣れていく。
ダートを走っていると大きく重く、前後輪が遠い。正直、操れている感覚はない。そんな中、極低速でエンストして立ちゴケ。1人では起こせなかった…。不安な方は1人でダートに突入しない方が良いかもしれない。
ただ、楽しいのは事実。慣れ親しんだ937ccのLツインエンジンはダートでも抜群にトラクションが良く、気持ちがいい。スタンディングすると前後サスペンションの動きとブレーキのタッチの良好さも実感した。
国産アドベンチャーはこのあたりの操作感が甘い車種もあるが、デザートXはライダーの操作に対する反応がとても良い。最初は不安でしかなかったが、慣れていくとデザートXで色々なフィールドを走ってみたい気持ちにさせてくれる。
オンロードに行くとその挙動はより顕著に。なんてスポーティなオフローダーだろう、と感心する。ダートで感じた重さや大きさは皆無。ロードでは21インチを感じさせない軽快さを持ち、コーナリングを積極的に楽しめた。
スリムなエンジンやコストのかかった足まわりを堪能する。この動きを知るとダートで感じた大きさや重さは、僕のスキル不足である可能性が高く、ここは徐々に攻略したいと思わせてくれる。
ドゥカティでオフロードを嗜む。そんな日がくるなんて想像もしていなかったが、その瞬間に立ち会えたことがとても嬉しくなる1日だった。
ビッグアドベンチャーのムルティストラーダとは異なるアプローチで本格ミドルアドベンチャーを提案してきたドゥカティ。その走りはどこまでもスポーティだった。
【試乗会の中でドゥカティのオフロード講座を体感!】本国の試乗会も取りまとめるベッペさんは60回以上の国際ラリー経験を、三橋さんは2輪/4輪でダカール参戦経験を持つ。彼らのアドバイスでデザートXが身近になる。
ドゥカティ デザートX 車体紹介
ドゥカティ デザートX エンジン
Lツインエンジンは、モンスターなどと同じ937cc。ギヤ比をショート化しオフでの機動性を向上。フレームは激走にも応えるスチール製だ。
ドゥカティ デザートX 足まわり
フロントには、ドゥカティの市販車で初の21インチホイールを採用。いよいよドゥカティがこの世界に参入。その完成度は高く、楽しさに溢れている。
18インチホイールにピレリ製のスコーピオンラリーSTRを履く。ロードの乗り心地やグリップ感が分かりやすいが、オフも意外とイケる。
前後サスペンションはKYB製で、ともにフルアジャスタブル。ブレーキはブレンボ製。足まわりの高性能パーツが、良いバイクを実感させてくれる。
ドゥカティ デザートX 主要装備
21Lの容量を持つガソリンタンクは車体の下側に伸びたデザインで低重心に貢献。座っていてもスタンディングしていてもホールド性が良い。
前後左右に動けるシート。こちらは標準仕様だが、オプションのローシートを装着することでシート高を20mm下げることも可能だ。
※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
いざという時に役に立つ小ネタ「結束バンドの外し方」 こんにちは! DIY道楽テツです。今回はすっごい「小ネタ」ですが、知っていれば間違いなくアナタの人生で救いをもたらす(大げさ?)な豆知識でございます[…]
V3の全開サウンドを鈴鹿で聞きたいっ! ここ数年で最も興奮した。少なくともヤングマシン編集部はそうだった。ホンダが昨秋のミラノショーで発表した「電動過給機付きV型3気筒エンジン」である。 V3だけでも[…]
1978 ホンダCBX 誕生の背景 多気筒化によるエンジンの高出力化は、1960年代の世界GPでホンダが実証していた。多気筒化によりエンジンストロークをショートストトークにでき、さらに1気筒当たりの動[…]
ファイナルエディションは初代風カラーでSP=白×赤、STD=黒を展開 「新しい時代にふさわしいホンダのロードスポーツ」を具現化し、本当に自分たちが乗りたいバイクをつくる――。そんな思いから発足した「プ[…]
ガソリン価格が過去最高値に迫るのに補助金は…… ガソリン代の高騰が止まりません。 全国平均ガソリン価格が1Lあたり170円以上になった場合に、1Lあたり5円を上限にして燃料元売り業者に補助金が支給され[…]
最新の記事
- 変化を一気見! カワサキ「Z900RS」歴代カラー大図鑑【2018~2025年モデル】
- 2025MotoGPヘルメット勢力図は5社がトップを分け合う戦国時代へ突入! 日本の3メーカーに躍進の予感!?
- 【SCOOP!】スズキ「GSX-8」系にネオクラが存在か!? 丸目のGS&クーリーレプリカ復活希望!!
- 「初の100ps超え!! 」全面改革で進化した第二世代のZ:カワサキZ1000J【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 3色ラインナップ化! ホンダ「CT125ハンターカブ」歴代カラー大図鑑【2022年モデル】
- 1
- 2