鈴木哲夫 MFJ会長が語る、持続可能なバイクライフへの取り組み

できるだけ早い時期にCNを実現するバイオ燃料を国内レースに導入します

(P2から続く)

バイクを楽しむコンテンツとして、確かにレースは見て面白いモノだと思うが、開催場所が地方の山奥など、行きにくい場所が多いことがネックになっているように思う。

「8月に、大阪の泉南りんくう公園で『シティトライアルジャパン』を開催しました。一般の人たちも多く訪れる場所で、そういうところで開催することも積極的に考えていきたいです。

また、FIMが、電動二輪車を使用した「Eエクスプローラー」という競技を企画しています。これをぜひ日本でも、一般の方の目に入る場所で行えないかと検討中です。四輪のフォーミュラEも、’24年の4月に東京のビッグサイト周辺で開催すると発表されましたが、そういう街中でレースを行って、一般の方々に興味を持ってもらう動きが必要だと思います」

大阪の泉南りんくう公園で、今年の8月に全日本選手権第5戦として開催された「City Trial Japan」。アウトドア・アクティビティなどを楽しむ一般客で賑わう公園のビーチがトライアル競技の舞台に大変身! 多くの方々の注目を集めた。

「FIMトライアル世界選手権第5戦フランス大会」に参戦した、ヤマハが開発中の電動トライアルバイク「TYE2.0」(ライダーは黒山選手)。CNとエコで楽しいバイクの創出を目指したプロジェクトだ。

二輪もEV化が進むと、新たな見るスポーツとしての可能性が出てくるのではないだろうか。

「Eエクスプローラーに加えて、来年からトライアルにEV車両の参加を認めることにしました。排気音や排気ガスが出ない車両での競技は、開催場所の自由度を大幅に広げて、新規ユーザーはもちろんのこと、バイクにまったく興味がない人の目に触れる機会ができることで、モータースポーツの楽しさをさらに訴求できるのではと考えています」

EVに限ったことではなく、レースの世界でもカーボンニュートラル(以下CN)への対応が迫られている。モトGPも’24年から非化石燃料を40%以上使用し、’27年には100%非化石燃料を使用することを目標としている。

「そうです、実は非常に切迫した事態になっていて、レースといえどもCNに前向きな姿勢を取らないと、社会的に認められないようになってきています。ですから、国内の二輪のレースでも、CNの燃料の導入・使用を検討しています。予定では、CO2を発生しないCN燃料の導入を考えていて、現在、国内4メーカーさんが導入に向けての検討を行っているところです。さまざまな条件が整い次第、できるだけ早いタイミングで導入したいと思っています」

※編注:鈴木会長の言葉通り、11月5日に全日本ロードレースMFJグランプリが開催されていた鈴鹿サーキットで、来シーズンからJSBクラスに100%非化石燃料のバイオ燃料を採用することが発表された。

国内のレースにもCN燃料の導入が検討・予定されていて、すでに国内4メーカーがその燃料で検討を行っているという。MotoGPも’27年に100%非化石燃料の使用を目指しているように、レースの世界もCNがどんどん進みそうだ。

なかなか進まない二輪のCNだが、市販車より一足早くレースの世界でそれが実現する日がやって来そうだ。そしてまた、大規模なツーリングイベントの後援や主催だけではなく、モータースポーツというコンテンツを武器にして、幅広い層の方々がバイクやモータースポーツを楽しめるようにしようとしているMFJの尽力に期待したい。

鈴木会長の提言

  • レースを知ってより深くバイクの楽しさを知ってもらう
  • 手軽に入手できるEチケットの導入国内レースに
  • CN燃料を導入

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