イギリスの「スコマディ」というブランドのスクーターを、’22年5月からウイングフットが取り扱いを開始した。’05年にスクーター業界のスペシャリスト2人が立ち上げたスコマディは、往年のイタリアンスクーターに似たモダンクラシックなスタイリングが特徴だ。
●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:柴田直行 ●外部リンク:ウイングフット
スコマディ テクニカ125:キャブのような加速感。操安性はクイックだ
ランブレッタの修復やカスタマイズを専門とするイギリスのスクーターイノベーション社が、同じくスクーターのレーサー化を得意とするPMチューニング社と共同で創設したのが、イギリスのスコマディというブランドだ。今回試乗したテクニカ125というモデルは、アンダーボーンフレームにスチールやABS製の外装を被せ、そこに125ccの強制空冷エンジンを搭載している。
スコマディ テクニカ125:スタイリング
スコマディ テクニカ125:ライディングポジション
スコマディ テクニカ125:試乗インプレッション
まずは動力性能から。往年のイタリアンスクーターを彷彿させるモダンクラシックな外観だが、変速機形式は一般的なCVTなので、エンジンの操作はスロットルのみだ。遠心クラッチはやや高めの回転数でつながり、そこからの加速感はまるでCVキャブのようにマイルドだ。乾燥で125kgとこのクラスとしては車体が重いこともあって、キビキビとした反応こそ見せないが、エンジンに急かされないフィーリングは懐かしさすらある。
一方で、ボディの一部にスチールを採用しているため、エンジンの反響音がダイレクトに耳に届くが、実際に体に伝わる振動は少なめであり、そのギャップに現代的なテクノロジーを感じた。
続いてハンドリング。ホイールは前後12インチで、着座位置が腰高なことが影響しているのか、車重は重めながら走り出してしまうと倒し込みは軽快だ。フロントの舵角を主体に曲がるタイプなので、寝かせれば曲がれるという日本のスクーターに慣れた人は戸惑うだろうが、これはすぐにアジャストできるはず。
前後のサスは、小さな凹凸に対してはスムーズに追従するが、大きなギャップを拾うとガツンッと突き上げられることも。これはバネレートだけでなくシャーシ剛性の高さも要因と思われるが、とはいえ決して御せないレベルではないのでご安心あれ。
ブレーキは前後ともディスクであり、ABSではなく前後連動式のCBSを組み合わせる。フロントサスがアンチダイブリンクなので、レバーを強く握っても前のめりになりにくい。ブレーキで車体姿勢をコントロールしたい人にはネガ要素だろうが、この車両のコンセプトからすればアンチダイブはむしろ正解だ。
スコマディ テクニカ125 車両ディテール解説
スコマディ テクニカ125:エンジン/マフラー
スコマディ テクニカ125:足まわり
スコマディ テクニカ125:主要装備
[△] 足着き性と乗り心地は日本勢との開きがある
座面が高いうえにフロアボードがワイドなので、足着き性はどうしても厳しい。それと、先に触れたサスの硬さに加えて、シートのウレタンが薄いので、短時間でもお尻が痛くなりやすい。ライポジの自由度の高さを生かして痛みを克服しよう。
[こんな人におすすめ] 古典的な要素を絶妙に残しつつモダンさを構築
ネオクラシック全盛の昨今、外観だけ往年の名車を模して走りは現代的なモデルが大半を占める中、スコマディは見た目のイメージに近い走りを構築している。人によっては歯応えを感じるだろうが、ぜひ涼しい顔で乗りこなしてほしい。
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