勢いを増すホンダ原付二種ラインナップに、CT125ハンターカブが新たに加わったのは2020年。2022年に至ってもその人気ぶりから品薄が続いており、購入のタイミングによっては納車までかなりの時間がかかることがあるという。そして、似て非なるクロスカブ110はモデルチェンジして、改めて有力な比較候補になった。コスパや使い勝手で勝るのはどちらなのか?
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:ホンダ
CT125ハンターカブ[44万円] vs クロスカブ110[36万3000円/くまモン=37万4000円]
人気沸騰のCT125ハンターカブは、すでに多くのユーザーの手に渡って街の中でもよく見かけるが、相変わらず人気が落ちる気配はなく、納車までの待ち時間もそれなりにあるようだ。また、新排出ガス規制に適合しない2022年モデルについてはすでに受注停止が発表されている。
そんな中、同じカブ系の派生オフロードタイプと言えるクロスカブ110が2022年4月にモデルチェンジして発売された。令和2年排出ガス規制に適合した新型エンジンを搭載し、ABSの採用にともなうフロントブレーキのディスク化、そして前後キャストホイール+チューブレスタイヤの装着が主な変更内容だ。
クロスカブ110は、スーパーカブ110をベースにオフロードテイストの外装を与え、フレームマウントのLEDヘッドライトを装着。初代クロスカブが採用していたレッグシールドは先代モデルで取り外され、スーパーカブ系とはデザイン的にもかなり独立した存在になっている。また、前後タイヤはスーパーカブ比でひと回り太く、サスペンションストロークも長めに取られている。
CT125ハンターカブとクロスカブ110を見比べると、カブ系オフロードタイプとひとくくりにはできない違いがある。すぐに目につくのは、アップ/ダウンマフラーやスポーク/キャストホイールといった違いだが、細かく見ていくとかなり異なるマシン造りになっていることがわかる。
もっとも大きな違いはフロントまわりだ。クロスカブはアンダーブラケットのみでフロントフォークを保持するユニットステアであるのに対し、ハンターカブはアッパーブラケットを持つ、いわゆるモーターサイクルタイプのフロントフォークを持っている。これによってハンターカブはフロントまわりの剛性が高く、サスペンションのキャパシティや最低地上高が許す範囲であれば、けっこうハードな走りでもネを上げることはない。
また、ハンターカブはエンジンに沿うように取りまわされたガードパイプやエンジンアンダーガードも装備しており、素のままの状態でもオフロード環境に対応できる。一方、クロスカブはこれらを装備しておらず、オフロードを走る場合にはグラウンドヒットなども想定して追加購入したくなるところだ。
ハンターカブは大型リヤキャリアを装備するのに対し、クロスカブはひと回りコンパクト。よりヘビーデューティなハンターカブに対し、必要な装備を整えつつもライトに仕上げたクロスカブ110という対比になるだろうか。
以前のモデルでは価格差9万9000円だったが、クロスカブ110のモデルチェンジによって価格差は7万7000円に。その差は縮まったわけだが、ハンターカブの前後ディスクブレーキ+ABSに対して、以前はドラムブレーキ(ABSなし)だったクロスカブ110も、フロントディスクブレーキ+ABS(リヤはドラム)を装備するようになり、装備の差も少なくなったと言えるだろう。クロスカブ110の牧歌的なスタイリングも魅力だし、ハンターカブにはない「くまモンバージョン」の存在も気になるところだ。
飛ばし気味が楽しいハンターカブと、ゆったりが気持ちいいクロスカブ110
エンジンに関しては、CT125ハンターカブは2020年の発売時のままだが、クロスカブ110はスーパーカブ110とともに新型に切り替わっている。スーパーカブC125などと共通のストローク63.1mmを持つロングストローク設定(ボアは47.0mm)の空冷単気筒で、排気量は109cc。ハンターカブの124ccエンジン(52.4×57.9mm)とは、スペックから想像する以上にフィーリングが異なっている。
ハンターカブのエンジンは低速トルクがあって弾け感があり、車体剛性の高さと相まって、見た目から想像するよりもハイスピードレンジが気持ちいい。最高出力はクロスカブ110よりも0.8ps高いだけだが、タタタタッという鼓動感で小気味いい走りが得意だ。
一方、クロスカブ110は振動が少なく、フルルル~という感じで回転が上昇していく。従来型に比べるとやや燃調の薄さゆえかドライな回転感覚になったが、長めのサスストロークによって車体全体のリズム感がゆったりしているため、スーパーカブ110よりも牧歌的で、昔ながらのいわゆる“カブみ”は現行のカブ系でもっとも強く残っていると言っていい。ハンターカブよりもトコトコ走りが気持ちよく、「これはこれで……」と思わせる魅力がある。
高めの速度で路面のギャップを拾った際には、高い車体剛性でクリアしていく感じのハンターカブに対し、ソフトにいなすのがクロスカブ110。この剛と柔の対比は、さまざまなシチュエーションでそれぞれのキャラクターを際立たせるだろう。もう少し細かくいえば、スポークホイール自体に吸収性があり、しっかりしたサスペンションと車体の全体が調和して駆け抜けるハンターカブに対し、軽くシャープなキャストホイール+チューブレスタイヤの挙動を、長めのストロークで吸収するサスペンションの組み合わせでおおらかな感じを出しているクロスカブ110、といったところだろうか。
ちなみに、いずれも自動遠心クラッチの繋がりの際(キワ)がよくチューニングされていて、発進やギヤチェンジで“ちょうどいい”フィーリングになっている。
さて、この2車をコスパで比較した場合はどうか。しっかりした車体に各種装備も充実したハンターカブは44万円も妥当なセンだろう。むしろ、これだけ周囲の物価が上がってくると、安く感じてくるかもしれない。一方のクロスカブ110も妥当なところだろう。現代的な装備と新エンジン、ハンターカブにはないチューブレスタイヤを装備するのもロングツーリング派にはありがたい。いずれも甲乙つけがたいので、どちらかを選ぶ際には自分の用途に合っているか、けっこう本気で比較してみてもいいかも?
HONDA CT125 HUNTER CUB[2022]
2022年8月4日追記:ホンダは2022年8月1日に日本国内向け二輪車に対して2022年11月生産分より「令和2年排出ガス規制」が適用(※)されることに伴い、現行モデルの注文が生産計画に達した場合、受注を一時停止すると発表した。
【受注一時停止機種(2022年8月1日時点】レブル1100、レブル500、レブル250、CRF250ラリー、CRF250L、フォルツァ、ADV150、グロム、モンキー125、CT125ハンターカブ
※令和2年排出ガス規制 適用開始時期:新型車 2020年12月、継続生産車 2022年11月(第一種原動機付自転車にあっては、2025年11月)
HONDA CROSS CUB 110[2022]
CT125ハンターカブ&クロスカブ110 ディテール比較
価格差をカスタム費用にするのもアリ!
走行性能ではハンターカブに対して不利なクロスカブ110だが、7万7000円の価格差を生かしてカスタムやツーリング費用に当て込むのも手かもしれない。以下はホンダのカタログに掲載されているカスタマイズパーツ装着車だ。
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※記事更新日:2022年2月15日 ホンダ CT125ハンターカブ:車両概要ホンダ CT125ハンターカブ:'22モデル/主要諸元ホンダ CT125ハンターカブ:ライディングポジションホンダ CT12[…]
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