国民的バイクのスーパーカブ。その中でも、原付二種シリーズ中もっともレトロ&スタンダードなスーパーカブ110が大幅リニューアルを遂げた。それをベースにオフロード志向のデザインや装備を与えたクロスカブ110も同時にモデルチェンジ。キャスト+ディスクブレーキ化など主な変更点は共通だが、STDのカブ110と印象は激変した。コミューターの枠を越えた走りを見せてくれた!
●文:ヤングマシン編集部(沼尾宏明) ●写真:長谷川徹 ●外部リンク:ホンダ
原付二種以上と錯覚する乗り味。“カブみ”も濃いめだ!
新型クロスカブが化けた? 以前試乗した従来型の印象とも違うし、新型スーパーカブ110とも異なる。110ccのコミューターではなく、原付二種=125cc以上のモーターサイクルに乗っているような新感覚だ。
クロスカブ110は、スーパーカブ110の兄弟車で、パイプハンドルやロングストロークサス、分厚いシートほか数々の専用装備を誇り、オフテイストを演出している。従来型を試乗した際は、サスペンションやシートの関係でSTDのスーパーカブ110より大柄のため、テスターの体格にもマッチし、長時間走行がラクなのが印象的だった。ただ基本的にはスーパーカブの延長線上にある、やわらかい乗り味のコミューターと記憶していた。
ところが、新型は乗り味が非常にカッチリした立派なバイクに仕上がっている。これはキャストホイール化に加え、新型スーパーカブ110とも異なるサス設定の恩恵が大きいようだ。制動時の姿勢変化を抑制し、乗り心地の向上を狙ったのはスーパーカブと同様ながら、よりストロークが長く、1サイズ太いブロックパターンタイヤとの相性が抜群。タイヤが路面を捉え、安心感と余裕のある乗り心地が素晴らしい。
さらにフロントはスーパーカブと異なる2ポットキャリパーを採用。よりカッチリしたタッチで一段とスポーティだ。剛性の高い足まわりと大柄な車格が相まって、車体だけなら250cc級のネイキッドを走らせているような不思議な感覚。それでいて110ccの軽快なハンドリングも兼ね備える。
加えて最高出力や最大トルクはスーパーカブと変わらないのに、若干パワフルな印象だ。2次減速比をスーパーカブよりもわずかにローギヤード化したためか、スロットルを開けた際のパワーの立ち上がりがより力感に溢れている。さらに、カバーレスのためか“カブみ”がやや濃い目なのも嬉しい。
フラットダートも試したところ、スポークと比べて乗り心地が硬いかと思いきや何ら問題は感じなかった。今回のモデルチェンジ、実はクロスカブ110が本命かもしれない!?
スーパーカブとの違いは?
‘22 ホンダ クロスカブ110
スタイリング:より軽やかでワイルドなイメージ
レッグシールドがないため、スーパーカブより一層軽快な印象。ロングストロークの前後サスを採用し、車格はスーパーカブよりひと回り大きい。マッドガード付きの前後フェンダーや可倒式ステップなどの専用装備も盛り込まれる。フロントにはスーパーカブより10mm太い80mm幅のセミブロックパターンタイヤを履く。従来型と同じIRC製GP-5をチューブレス化し、ホイールは精悍なブラック仕上げ。全体的にワイルドだ。
カラーバリエーション
ライディングポジション:スーパーカブよりワンサイズアップ
エンジン:2次減速比の変更で独自の味付けを施す
足まわり:ダートでの操縦性を狙って差別化
主要装備
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