
‘21年9月にアップル社が「カメラ機能の故障はバイクによる振幅の大きな振動が原因のひとつ」と発表したのがきっかけで、にわかに活気付いてきたスマホマウントの防振アイテム。そんな中、バイク用品メーカーのデイトナは、振動緩和の要として新素材の”エンジェルック”を採用。今回は既存のスマートフォンホルダー3と組み合わせて試してみた。
●まとめ:ヤングマシン(大屋雄一) ●写真:長谷川徹 ●取材協力:富津漁業協同組合 ●外部リンク:デイトナ
[◯] 振動による揺れが減少。これは転ばぬ先の杖だ
スマホのカメラ機能の保護を目的としたアイテム「バイブレーションコントロールデバイス」がデイトナからリリース。同社から販売中の「スマートフォンホルダーワイド/3」のそれぞれ中間に組み込む製品であり、すでにそれらを使っている人であれば、容易にスマホマウントを防振化できるという仕組みだ。なお、組み付けに必要なのは5mmの六角レンチのみで、作業自体も非常に簡単だ。
車両のハンドルに取り付け、エンジンを始動した状態でスマホに触れてみると、確かに伝わる微振動がマイルドになったような印象だ。回転数を上げてもそれがあまり変わらないので、防振素材として使われているエンジェルックの効果だろう。
実際に走ってみると、クランプからスマホまでの距離が約40mm伸びたことで、ギャップ通過時にこのホルダー自体の振幅が大きくなっているのを確認。特にハンドルが左右に振られたときはその傾向が強く、何度か停車してスマホの固定具合を確かめたほどだが、とはいえ短時間の試乗では、カメラ機能への影響は確認できなかった。発生する振動は条件によってさまざまに変化するため断言はできないが、転ばぬ先の杖として試してみる価値は十分にあるだろう。
【デイトナ バイブレーションコントロールデバイス スマートフォンホルダーワイド用/3用】すでに販売されている2種類のスマホホルダー(スマートフォンホルダー ワイド/3)に組み込めるよう、防振デバイスも2種類用意される。高さが40mmほど上がるので要確認を。●価格:3520/3850円
【適度な柔軟性が特徴の新素材採用】防振の要となっているのは、適度な柔軟性と高いエネルギー吸収性、そして耐久性を併せ持つ新素材=アブソラボのエンジェルックだ。医療機器の輸送などにも使われるマテリアルで、動かしてみての印象はゴムに近い。
【高周波帯から低周波帯まで幅広くカバーし、故障を軽減】試作品の自社基準テストの結果。カメラ機能に悪影響を及ぼすと言われる高周波帯では最大で85%、また路面からの衝撃など低周波帯では最大40%も振動を軽減できたという。
【最大10°の可動域で振動を吸収】ダイヤルスラントゲージで実測したところ、このデバイスによる可動範囲は最大でおよそ10°。ほとんど動きが分からないものから30°も傾いてしまうものまで、防振マウントはさまざまだが、そうした例からすると、この製品はほぼ中間的であり、効果は高そうだ。
自社の振動試験機を使ってのテスト風景。車両の排気量や気筒数、またハンドルのどの位置に取り付けるかによっても、スマホに伝わる振動は異なるので、さまざなな条件下でテストを行い、データを蓄積したという。なお、右側がスマートフォンホルダーワイドだ。
[△] 約40mm高くなるため、位置決めが大変だろう
手持ちのスマホホルダーに組み込んだ人ほど、位置の変化に戸惑うはず。もっと薄ければいいのだが。
[こんな人におすすめ] 過去に故障を経験した人ほど試したいはず
ネット上には「小排気量車でも壊れる」「気筒数に関係なく壊れる」など、スマホのカメラ機能の故障に関してさまざまな情報が飛び交っている。ゆえにすべての条件において安全安心とは言い切れないが、解決策のひとつにはなるだろう。
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