末永く楽しんでもらうために

2021年、8年ぶりの40万台超を記録! バイクが売れているいまこそ、するべきことがあるのでは?……〈多事走論〉from Nom

2021年のバイク販売台数は、コロナ禍の影響もあってか2014年以来の40万台超えを達成しました。ただ、これは外的要因によるものも大きく、二輪業界がライダーを増やすための施策をどれだけ効果的にやってきたかというと疑問符も。バイクに興味を持ってくれたライダーたちに末永く楽しんでもらうため、我々も何かできないでしょうか。

1982年の最高記録から、年間販売台数が劇的に減っているのは原付一種

コロナ禍にあって、密を避ける交通手段としてバイクが注目されたとか、リモートワークなど働き方改革などを含む新たなライフスタイルが提唱されて余暇を楽しむ人が増えたから、ここ数年来のアウトドアブームにのってキャンプツーリングが人気を集めたからなど、昨今の「バイクバブル」(あえてそう言います)を各メディアがさまざまな表現で語っています。

実際、昨年の自工会発表の国内4メーカー出荷実績は37万8720台(前年比+5万374台・15.3%増 *二輪車新聞調べ)で、国内4メーカーの原付出荷実績と全国軽自動車協会連合会公表の軽二輪+小型二輪(輸入車含む)の販売実績を合算すると、41万5892台と2014年以来の40万台超えを達成しました。

1982年に記録した、国内出荷台数328万5000台からすると約9分の1までマーケットが縮小していると思われるかもしれませんが、その1982年の数字の8割以上(約275万台)は原付=50㏄のもの。

その年から、バイクの国内出荷台数は右肩下がりに減少しているのですが、その大きな要因は原付の急激かつ大幅な減少。昨年の数字を見ると、原付一種の出荷台数は12万7759台(前年比4.4%アップで4年ぶりに増加 *二輪車新聞調べ)と全盛期の約20分の1に過ぎず、総台数に占める割合も約30%まで落ち込んでいるのです。

PCX125が原付二種クラスのトップセールスを記録し、CT125ハンターカブも1万台以上売れるなど、昨年、大幅に伸長した数字には、ホンダの125㏄クラスの大健闘(前年比22.4%増の7万8704台 *二輪車新聞調べ)が大きく寄与している。 [写真タップで拡大]

逆に原付二種(排気量51~125cc)以上の軽二輪(排気量126~250cc)と小型二輪(排気量251cc以上)は、1982年から現在まで減りはしているものの、原付のような劇的な減少にはなっていないのです。

昨年の数字で見ると、原付二種、軽二輪、小型二輪がいずれも大きく伸長しています。

原付二種は、前述した密を避けるための交通手段として125㏄クラスのバイクを購入して通勤・通学に利用する方が増えたためと考えられますが、軽二輪と小型二輪は、趣味としてバイクを楽しむ方のニーズだったと言えるでしょう。

つまり、主に趣味としてバイクに乗ろうと思う人の数は、この40年間、漸減しつつもそれなりの大きさのマーケットを作ってきたと言えると思います。

昨年の出荷/販売台数を見てボクが感じたのは、日本のマーケットもまだまだポテンシャルがあるじゃないかということです。

少子高齢化社会で、バイクへの新規参入者は当然減ってくるとは思いますが、さまざまな理由(危ないとか、学校で禁止されていたとか)で社会人になるまでバイクに一切触れていなかった方が、何かの拍子にバイクの存在に目が向き、ライダーになるということも最近は多々あるように感じています。

少子高齢化で減ったバイク人口を、そういう遅れて(?)ライダーデビューした方々が補完して、昨年の数字を作ったのではないでしょうか。

世界の二輪市場を見てみると、欧州では125ccクラス以上の二輪車販売台数は2013年の 45万台を底に、2014年=48万台、2015年=52万台、2016年=54万台、2017年=54万台、2018年=55万台、2019年=60万台、2020年=62万台、2021年=68万台と上昇傾向にあり、昨年はコロナによる通勤・通学手段の見直しやソーシャルディスタンス傾向もあり急拡大中で、気軽に乗れ、楽しめて多用途に使える125~500cc帯が好調とのこと。購入層も10、20、30代が50%を超え、若返りが進んでいるそうです。

日本でも、若干のユーザー層の若返りが見られるということで(4月下旬に、「2021年度 二輪車市場動向調査」が自工会から発表される予定で、そこで詳細が分かるはずです)、データだけ見ると今年以降のマーケットの伸長も期待できるのではないでしょうか。

まだまだマーケット伸長の余地はある。しかし、業界挙げてのライダーサポートも必要だ

とはいえ、どうにも心配なことがあります。

異論、反論があるのを承知であえて書きますが、このコロナ禍の間、二輪業界はライダーを増やすための施策を懸命にやってきたのでしょうか。

コロナでプロモーションやイベントなど、さまざまなことに制限が加えられたのは確かですが、そんな状況でもバイクは売れ続け、パーツも売れて、業界自体も非常に好調を維持していたが故に、するべき努力をしないで済んでしまって、それが常態なってしまってはいないでしょうか。

ボクはそんな現状がとても不安です。

というのも、自分もライダーで、普段の生活の中でバイクを乗り続ける難しさや苦労を体験しているから。

せっかくツーリングの予定を立てても、その日が雨だと断念することもあり、結局、数カ月もバイクに乗れなかったり、家族の都合でなかなかバイクとともに過ごす時間が取れなかったり……。

たぶん、それが普通のことで、次第にバイクから遠ざかったりする方もいると思います。

写真は、今年、創立50周年を迎えたデイトナが、2009年から連続開催(一昨年からコロナ禍のため休止中)していた「デイトナ・森町・静岡茶ミーティング」の1シーン。イベントでボクとじゃんけんすることを目的に訪れてくれる人もいた。つまり、楽しむ目的なんて人それぞれでなんでもよくて、ツーリングの目的地を作ることが大事なのだ。(写真協力:デイトナ) [写真タップで拡大]

ボクはそういう方がいることを知って、そんな方が走りたくようなことを作ろうと、当時かかわっていたメディアで数千人を集めるイベントを各地で開催しました。

そのときに聞いた言葉でとても印象に残っているのが、ご高齢の方から聞いた「来年も絶対にやってください。それまでバイクに乗り続けますから」でした。

我々のイベントがあることで、この方のライダー寿命が少なくも1年は延びるのだなと思いました。

また、筆者自身、ニューモデルが出ると、メーカーさんからプレスバイクを借りて試乗と称してショートツーリングによく出かけていましたが、そんなときに高速道路を走りながら思ったのが、「このあたりで今日、なにかイベントをやっていないかな」ということでした。

ただ走っていてもそれはそれで楽しいのですが、目的地があればさらに楽しい。なので、毎週末、各エリア(たとえば各県単位でいいので)でライダーが楽しめるイベント(大きさは問いません)が開催されていれば、走る楽しみが増えて、バイクライフも長く続くのではと思った次第です。

いま、静岡県に住む筆者の友人が、手弁当でライダーが集まれるスポットを作ろうという活動をしています。

ウエルカム・バイカーズ・ロードステーション(道の駅)=WBRというスポットを静岡県の各地に設置して、ライダーがそこを目指して走れるようになることを目指しています。

現在は、既存の道の駅やライダーズカフェなどがスポットになっていますが、理想はライダーが思い切り楽しめるライダー向けの「道の駅」。下の構想マップのように、ライダーが1日楽しめるような施設を作ることを目指しています。

こういう志を持った方が日本全国にいて、業界のメーカーや団体がサポートしてライダーが目指すべき場所が各地にできたら、ただ走るのを楽しむだけではなく、目的をもって走れるようになるのではないでしょうか。

二輪業界の方々と昨今のバイク事情を話していると、せっかく新たに免許を取った若い人が、楽しみ方が分からないとか、一緒に楽しむ仲間ができないなどといった理由ですぐにバイクを降りてしまうことが多々あると聞きます。

もちろん、SNSが発達した現在なので、リアルだけではなくバーチャルでもバイク仲間が作れてしまいますけれど、バイクの楽しみは暑かったり、寒かったり、ときには雨に降られたりといった経験を気心の知れた仲間と共有して、いつまでもその話で盛り上がることだったりすることだと思います。

バーチャルでは、暑さや寒さ、風の強さやその場所の匂い、記憶に深く刻まれるような一瞬の光景などはさすがに体験できませんからね。

筆者の友人で、静岡県磐田市在住の松木さんが提唱しているWBRの完成予想イラストがこれ。屋根付き駐輪場がある道の駅にはイベントステージや、アウトレットショップ等があり、隣接してキャンプ場や新車の試乗ができるミニコースまで設けられている。こんな道の駅がそこここにあれば、きっとライダーの数も増えていくはずだ。この記事の文末に、松木さんの構想のプレゼン動画があるので、ぜひそちらもご覧いただきたい。 [写真タップで拡大]

前代未聞なほど大規模なライダー・サポートプログラムを用意しては

だからこそ、筆者はいま、二輪業界を挙げて、新しくバイクの世界に入ってきたライダーをサポートするプログラムを用意すべきだと思っています。

もちろん、各メーカー、団体がそれぞれさまざまにお考えだと思いますが、筆者が考えるのは、メーカーやメディア、団体の垣根を越えて、もっと大規模に、すべてのライダー(新規、既存問わず)に向けたプログラムです。

ない知恵を絞っていろいろ考えましたが、走る目的を作るということでは、とても単純ですが目的地を設定して、その地を訪れたことを各自が記録する「スタンプラリー」が最適なのではと思いました。密になるのも避けられるし。

ただ、その実施規模を前代未聞、日本中のライダーが誰でも参加できる内容にしたらどうでしょうか。

乗っているバイクのメーカー、排気量にかかわらず、さらに年齢や居住地など、さまざまな条件がイコールコンディションになるように設計。なので、車両メーカー(輸入車メーカーも含む)はもちろん、パーツ・ウエアメーカー、さまざまなメディア、業界各団体、そして自治体も可能な限り参加をお願いしたいと思います。

設計は、ジャストアイデアですが、全国を北海道、東北、関東、東海、中部、近畿、西日本、四国、九州、沖縄及び島しょ部とブロック分けして、各ブロック毎に最低チェックポイント数を決め、例えば都道府県単位でコンプリ―ト賞を設けたり、全チェックポイントをクリアしたパーフェクト賞など難易度が高い賞から、排気量が小さいバイクでも回れる範囲で可能な賞を設けるなど、誰もが楽しめる設計にできるといいと思います。

とにかく目的は、誰もが飽きずに走り続けたいと思うこと。

そして、次を目指すための達成感が得られること。

専用のアプリで、このスタンプラリーに参加するライダーが訪れたスポットの情報を共有したり、スポット攻略の進捗を確認し合ったり、それが進んで一緒にスポットに走りに行ったりと、バイクの楽しみの輪が広がればいいなと思います。

ロシアによるウクライナ戦争によって、さらにガソリン価格が高騰したり、レアアースが調達しにくくなって半導体や触媒不足など、バイクの使用や生産に大きな影響を及ぼしそうな局面ですが、だからこそ一度熱くなった新規ライダーの気持ちを冷やさない施策がいま求められているのだと強く思います。

【動画】WBR(Welcome Bikers Roadstation)とは?


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