理解できない税制がまかり通っている!

JAFが現在のガソリン高騰に対して声明を発表! この機会に、ガソリン価格について真剣に考えてみよう……〈多事走論〉from Nom

ガソリン価格の高騰は止められないのか……。産油国の事情や先物取引に翻弄されるだけでなく、地球温暖化防止策として世界が脱炭素・脱石油へと大きく舵を切ったことも原因になっていますが、これに輪をかけてガソリンの高値を誘導しているのは不可解な税制です。これに対し、JAFが声明を発表しました。

バイクでも満タンで4000円……なんていうケースも

ガソリン価格の急騰が止まらない。

2021年になってから上がり始めたガソリン価格(レギュラー1L・全国平均価格)は、2月に140円台になってから、3月末に150円台、10月に160円台、12月には170円台に突入。

2022年になっても、依然として160円台後半から170円台と高止まりの状態が続いていて、経済産業省資源エネルギー庁の最新の調査では、171円/1Lとなっています(2月14日現在)。

さらに、輸入車や高性能スポーツバイクに指定されているハイオクにいたっては、2020年5月に135.7円(1L・全国平均価格)を記録して以降、ずっと上昇を続けて、2022年1月24日にはついに180円台を突破し、2月14日時点で182円/l。

大型バイクに乗っている方は、レギュラーでもハイオクでも満タン給油すると4000円を超えてしまうような状況で、ガソリンを入れるたびに「高い!」と思ってしまっているはず。

この事態を受けて、日本自動車連盟(以下JAF)は2月7日に声明を発表しました。

「今こそ、ガソリン価格を抑えるために『当分の間税率の廃止』および『Tax on Taxの解消』を、という見出しから始まるその声明の内容は

1.ガソリン税等に上乗せされ続けている「当分の間税率」を廃止すべき。
2.ガソリン税に消費税が課税されている「Tax on Tax」という不可解な仕組みを解消すべき。

というものです。

今回のガソリン価格の急騰にあたって、政府は価格抑制のために石油元売り会社に補助金を支給することにしました。これは、レギュラーガソリンの価格が1Lあたり170円を超えた場合、ガソリン価格のそれ以上の上昇を防ぐために170円との差額分を政府が補助するという時限処置で、その額は2月15日現在、1Lあたり5円。

筆者が普段使っている近所のガソリンスタンドの2月16日時点のレギュラーガソリン価格は164円/L。他のスタンドと比べても価格の安いスタンドだと思っているが、それでもこの価格だ。 [写真タップで拡大]

とはいえ、その補助金分、ガソリン価格が安くなっているかというと、はっきり言ってその効果はほとんど見られず、相変わらずの高止まりの状況が続いています。

では、なぜ補助金分の価格抑制がかなわないのか。

石油元売り会社は、政府からの補助金を全額、卸売価格に還元していると言いますが、我々ユーザーがガソリンを購入するガソリン小売店、つまりガソリンスタンドでの小売価格は、石油元売り会社が決めるものではありません。

ガソリンの小売価格の決定権は個々のガソリンスタンドにあって、それぞれの販売店の経営戦略や、地域性、周辺のガソリンスタンドとの競争など、さまざまな要素が加味されて価格が決められているので、卸売価格が下がったからと言って、その減少分がすぐさま価格に反映されるかどうかは販売店の判断次第になっています。

さらに、ガソリンスタンドが在庫しているガソリンが、補助金が助成される前に仕入れたものであれば、その補助金分を差し引いた小売価格にするとガソリンスタンドにとっては損失が生じてしまいます。

このように、石油元売り会社からガソリン小売店にガソリンが輸送され、それがユーザーに販売される過程でタイムラグが生まれてしまうことも、補助金の効果が如実に表れていない一因のようです。

つまり、今回の補助金はガソリンの小売価格上昇を抑制する効果は少ないと言わざるを得ないのです。

JAFの声明にあるように、確実にガソリン価格上昇を抑制するにはより効果的な手段を取るべきだと、常識的に考えると誰もが思うはずです。

恒久的処置として、今こそガソリン税を是正すべき

ガソリン価格は、ガソリン本体の価格に53.8円のガソリン税が加えられていることはご存知だと思いますが、ここで問題なのは本来の税率である28.7円/Lに、25.1円/Lの「当分の間税率」が加算されていることです。

ガソリンは本来の税率と比較して1.9倍に。軽油に至っては、元々の税率が低いとはいえ2.1倍になってしまっている。 [写真タップで拡大]

名称からしてあまりにふざけているこの当分の間税率は、1974年から道路整備計画の財源不足に対応するために暫定措置として決められたものです。

2010年に改正されて、期限を定めずに当分の間、特例税率として53.8円/Lの税率を維持することと、レギュラーガソリンの3カ月の平均小売価格が160円を超えた場合(現在はこの条件に当てはまります)は、特例税率の適用を停止する仕組み=「トリガー条項」も設けられたのですが、2011年に起きた東日本大震災の復興財源に充てることを理由として、現在はこのトリガー条項は凍結されています。

このトリガー条項の発動について、2月1日の閣議後会見において萩生田経済産業相は、凍結解除は政府として考えていないと発言。現時点では、あくまで補助金支給というほとんど効果のない応急処置のみで切り抜けようとしているようです。

ではなぜ、政府は頑なにトリガー条項の発動を拒否しているかというと、税収の減少を何としても防ぎたいからのようです。

2月8日付の東京新聞が、このトリガー条項に関して紙面を大きく割いて記事を掲載していましたが、その記事によると条項を発動すると年間1兆6000億円の減収になるため、財務省が猛烈に拒否しているとのこと。

長期間、あるいは恒常的に継続する税収の仕組みをいじることは避けて、補助金という形で援助している姿勢を見せるという、いかにも役人らしい方法を取っているわけです。そして、そもそもこの補助金だって、我々から集めた税金を使っているわけですから、いい人のふりをしてバラマキをして恩を売っているだけとも言えるでしょう。

姑息な補助金支給をとっとと停止して、いまこそトリガー条項を発動して欲しい、多くの人がそう思っているはずです。

税金に税金をかける悪手もすぐさま廃止を!

上乗せ税率分と二重課税を廃止し、本来のガソリン本体価格に10%消費税を掛けた後に28.7円のガソリン税を足すと、170.9円が140.46円と30円以上安くなる。5円の補助金を出すよりも確実な価格抑制効果があるはずだ。 [写真タップで拡大]

JAFの声明のもうひとつの主張が、ガソリン税がたっぷりと課されているガソリン価格に、さらに消費税を課すという「Tax on Tax(=二重課税)」を解消すべきだということです。

ただでさえ、バイク/クルマのユーザーは自動車税や自動車重量税といった数々の税金を支払っています。そのうえ、税金の塊であるガソリン代にも消費税が上乗せされるのですから、たまったものではありません。

さらに、今回のようにガソリン価格が高騰すると、その消費税額も当然、アップしてしまいます。

取りやすいところから取る、そういう姿勢があけすけに見えるところもユーザーとしては許せない点です。

JAFが2019年~2021年に行った「自動車税制に関するアンケート調査」でも、回答者の98%が自動車に係る税額を負担に感じるとしていて、93%の回答者が負担軽減を求めています。

欧米諸国に比べても過重なバイク/クルマユーザーの税金負担を少しでも軽減するために、「Tax on Tax」の解消を含めた抜本的な見直しが求められます。

ガソリン価格が下がる可能性は低い?

今回のガソリン価格高騰は、原油価格の高騰に端を発しています。

その理由は、地球温暖化防止対策として世界が脱炭素・脱石油に大きく舵を切ったことが一因のようです。

産油国、産油業者としては、石油消費量の先行きが不透明ないま、石油採掘に対する投資を抑制していて、それが供給量不足を招いているのだといいます。

ということは、脱炭素・脱石油でカーボンニュートラルが叫ばれているいま、ガソリン価格の上昇は将来にわたって構造的に不可避なものになっていく可能性があります。

地球環境の保護という人類共通のテーマの下、さまざまな立場の人たちが自分の利益を追求していく過程では、思いもよらないことがいくつも起こるでしょう。そして、そのひとつが原油価格の高騰で、産油国・産油企業は自らの身を守るために投資抑制や減産に大きく舵を切ったのだとしたら、ガソリン価格はこれからずっと上がり続け、もう下がることは永遠にないのかもしれません。

そういう時代背景も含めて、いまこそガソリン価格に関するさまざまな不利益項目を排除しなければいけないのです。

JAFが主張するように、速やかに当分の間税率を廃止して、不合理な「Tax on Tax」も解消。そして、トリガー条項も凍結を解除すべきだと思います。

そうしなければ、我々ユーザーは永遠に納得のいかない高い税金が課されたガソリン代を支払い続けなればいけなくなるのです。

今回の声明を出したJAFは、今後の具体的な動きに関しては、現在、来年度の活動に向けて検討しているところで、関係団体と足並みをそろえて活動していきたいとのこと。

また、毎年実施している自動税制に関するアンケート調査やウェブサイト、SNSなどを通じて多くの自動車ユーザーの意見をもらって、その声をもとに政府や国会議員・知事などへの要望活動を引き続き実施していくそうですので、みなさんもぜひガソリン税是正について声を上げてください。

※この原稿を書き終わった後の18日、岸田総理が衆院予算委員会で「トリガー条項」の凍結解除を問われ、これまでのトリガー条項発動の可能性を否定する発言とは一転して「あらゆる選択肢を排除せず、集中的に検討する」と述べ、トリガー条項凍結解除もあり得るような含みを持たせたました。今後の政府の動きに注目したいと思います。


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