’14年のインターモトで初登場、翌’15年に発売されたスズキのストリートファイターが「GSX-S1000」だ。’17年のマイナーチェンジを経て、この’21モデルで初のフルチェンジを実施した。電子制御スロットルやクイックシフターの新採用など、電脳化を促進したことで価格は24%上昇。その真価をチェック!
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真: 真弓悟史 ●外部リンク:スズキ
’21 スズキ GSX-S1000
[◯] あのドン突きが解消。クイックシフターも優秀だ
GSX-S1000は、タイトな峠道でリッターバイクとは思えないほど軽快に振り回せること、そして第2世代GSX-R1000由来のパワフルなエンジンが特徴だ。’15年発売当時の価格は111万5640円(消費税は8%)と非常に戦略的で、日本のみならず世界中で支持されたのだ。
これをベースに生まれたカタナを含め、個人的にどうしても肌に合わなかったのがスロットル開け始めの”ドン突き”だ。それを指摘する声が世界中から集まったのだろう。新たに電子制御スロットルを採用した新型は、その症状がほぼ完璧に解消されている。走行モードはA/B/Cの3段階で、最高出力150psはいずれも共通であり、レスポンスのみが変化する。Aモードはかなり刺激的で、Bはオールマイティ、Cは街乗り向けといった印象で、明確に差別化されている。また、従来から採用されているトラクションコントロールは、3段階+オフから5段階+オフと介入レベルが2段階増えた。ウェット路面で何度か介入を確認したが、失速感がほとんどないなど極めて自然だった。
新型の電脳化で最も好印象だったのがクイックシフターだ。低回転域でもシフトアップ/ダウン時のショックはあまり発生せず、走り出してしまえばクラッチ操作はほぼ不要といっていい。なお、アシストクラッチが採用されているので、レバー自体の操作力が軽いのもうれしい。
ハンドリングは従来型から大きく変わっていないが、エンジンのドン突きが解消されたこと、また標準装着タイヤの銘柄が変更されたこともあって、さらに積極的に操れるようになった印象だ。アルミツインチューブフレームは剛性が高そうに見えるのだが、実は適度なしなやかさがあり、旋回時にギャップを拾っても神経質な挙動は見せない。サスペンションはフロントがフルアジャスタブル、リヤがプリロードと伸び側減衰力が調整可能なので、好みに合わせてアジャストできるというのもうれしい。ブレーキはフロントのマスターがラジアルからホリゾンタルになってしまったが、微速域からコントローラブルなのは変わらない。
[△] パーシャル時の挙動が少しだけ気になるかも
高速巡航でスロットル開度を一定に保っている際、ほんのわずかにエンジン回転数が波打つような症状が出る。とはいえ、従来型は少しの開け閉めで過敏に反応して落ち着きがなかったので、それと比べればかなり巡航しやすくなったと言える。
[こんな人におすすめ] これをベースに誕生するGTはかなり楽しみだ
例のドン突きが解消され、個人的評価が急上昇。価格も上昇したが、電脳化の内容を加味すると納得の範疇だろう。間もなく国内登場するであろうGSX-S1000GTがこれをベースに作られるわけで、かなり包容力のあるマシンになりそうだ。
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'21 GSX-S1000 概要 初代は'15年に発表され、国内仕様も設定。旧GSX-R1000ゆずりのエンジンを軽量なアルミツインスパーフレームの車体に搭載したストリートファイターで、鋭い走りが人気[…]
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