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トライアンフのラインナップ中、唯一100万円を切るバリュープライスが設定されている「トライデント660」。それでいて搭載するエンジンはトライアンフのお家芸である3気筒エンジンなのだが、乗ってみるとこれが想像以上にバランスのいいマシンに仕上がっているのだ。
●文:ヤングマシン編集部(谷田貝洋暁) ●写真:長谷川徹
車体もエンジンもベストバランス
手前勝手な話で申し訳ないが、日本の走行環境にベストマッチな排気量は600ccクラスだと思っている。なぜなら、ワインディングでアクセルを開ける刺激がしっかり味わえて楽しく、しかも高速でストレスなく、それでいて日常でも扱いやすいサイズ感。いろいろ考えていくと、このあたりの排気量が抜群に使い勝手がいいのだ。
今回紹介する「トライデント660」も、もちろんこのクラスのマシン。実際に走らせてみると、車体が非常にコンパクトで扱いやすいことにまず驚かされた。高速コーナーから低速コーナーまで、自分の思い描いたラインを寸分違わずトレースできる。”思い通りに走らせる”というスポーツライディングの一番重要なエッセンスを、これでもかと味わわせてくれるのだ。
【’21 TRIUMPH TRIDENT 660】■全長— 全幅795 全高1089 軸距1400 シート高805(各mm) 車重190kg(装備) ■水冷4スト並列3気筒 660cc 81ps/10250rpm 6.5kg-m/6250rpm 変速機6段 燃料タンク容量14L ■ブレーキF=φ310mmダブルディスク R=φ255mmディスク タイヤサイズF=120/70R17 R=180/55R17 ●色:白 黒 ツヤ消し黒×銀 銀×赤 ●価格:99万3000円
“ライトウェイトネイキッド”とも言うべきスリムなスタイリング。これで搭載しているのが並列3気筒というのだからスゴい。
【ライディングポジション】ネイキッドらしいアップライトなポジションは、長時間のライディングも非常に楽なうえに、少し前傾しているためスポーティなライディングもしやすい。両足を着こうとするとほぼ踵までベッタリで足着き性も良い。[身長172cm/体重75kg]
搭載するのは、トライアンフの代名詞的存在である並列3気筒エンジン。このエンジンの特徴は、120度ずつズレたクランクピンレイアウトのおかげで、バランサーウェイトを使わずとも一次振動がゼロになるという効率的なエンジンであることだ。このためアクセルの開け始めから高回転域までフラットに鋭く吹け上がるコントロール性の良さが際立つ。トライデントではこの特性、つまりはトライアンフらしさをたっぷりと堪能することができる。
トライデント660に搭載される並列3気筒エンジン。トライアンフのモデルの中では最小排気量となるが、車体の軽さとエンジン出力のバランスがとてもいい。スポーティかつ扱いやすく、“アクセルを開けてバイクを走らせる”というバイクの本質を存分に味わえる。
跨ってみると非常にコンパクトに感じるのがこのトライデントの特徴。実際に走りも軽快でヒラヒラと舞うようなコーナリングが楽しめる。
豊富な純正アクセサリーで自分仕様の愛車を手に入れろ!
さらに驚くべきは、豊富なアクセサリーパーツ群。ここでは「コレは欲しい!」というものを選んでみた。クイックシフターがあればスポーツ走行がなおさら…なんて思っていたのだが、しっかりオプションで用意されている。このトライデント660、全方位抜かりなしだ。
トライデント660には、プロテクションアイテムから積載用品まで、カラーバリエーションを含む30種類以上もの純正アクセサリーが揃っており、愛車を自分好みに仕上げられる。※以下、表示価格は取付工賃を含まず。
【エンジンカバープロテクションキット】直接エンジンに取り付け固定するタイプのガードで、クラッチカバー用/オルタネータカバー用/クランクケースカバー用の3つがセット。●価格:3万1086円
【ヒートグリップ】3段階での温度調整が可能なグリップヒーター。細身に作られているほか、配線も中通しで見た目もすっきり。●価格:4万6002円
【スクロールLEDインジケーター – ペア】7連LEDによる流れるスクロールパターンのウインカー。ボディは鍛造アルミ製で非常にコンパクト。フロント用は2万3870円。●価格:2万5135円
トライアンフの代名詞“3気筒”はトライデントから始まった
3気筒エンジンといえばトライアンフというくらい、直3エンジンのイメージが強いトライアンフ2輪車の歴史は120年近い。その長い歴史の中で3気筒エンジンが最初に搭載したのは、’68年のトライデント。トライアンフの3気筒伝説はトライデントからスタートしたのだ。
【’68 TRIDENT】始まりの3気筒=トライデントが発表されたのは’68年。またグループ会社だったBSAからも「ロケット3」の名前で同モデルを発売。スリッパリーサムとして名を馳せるレーサーもこのトライデントがベースだ。写真は’74年式。
【SLIPPERY SAM】マン島TTレースに出場するためにトライアンフは3台の750ccトライデントのレーサーを製作。その1台がこのスリッパリーサムだ。このマシンはプロダクション750クラスで’71~75年まで5連勝を飾ることになる。
【’92 TRIDENT900】’90年のケルンショーで、トライデント750/900をはじめ、「トロフィ」「デイトナ」など、歴史的な名前を使ったモデルを同時発表して”トライアンフ復活”を宣言。現代のトライアンフの歴史が始まった。
【ROCKET 3】世界最大排気量のバイクはトライアンフのロケット3で、その排気量はなんと2458cc! 22.5kg-mという暴力的なトルクを発生するこのエンジンも実は3気筒で、1気筒あたり800cc超え!
【Moto2 Engine】世界最高峰のロードレース・モトGPのモト2クラスは共通エンジンを使用するが、トライアンフは’19年からエンジンサプライヤーとして3気筒の765ccエンジンを提供。
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トライデント660 概要 '68に同社が初めて発売した3気筒マシンの名を継承する新作。心臓部は、ストリートトリプルSの660cc 3気筒をベースに67か所もの改良を施し、ストロークをやや拡大。これを鉄[…]
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