’21年8月から9月にかけて、東京オートバイ協同組合(AJ東京)が、令和4年度予算へのバイク駐車場整備等に関する要望のため、都内の各政党を訪問した。その要望書の中から、駐車場問題においてたびたび提案されている”軽自動車税”との関わりについて紹介する。
●文:ヤングマシン編集部(田中淳磨)
都内バイク販売店による業界団体であるAJ東京は、要望書の中に「軽自動車税について」という項目を置いている。その中で、販売店が保有している商品車(売り物のバイク)に対して軽自動車税の免税を要望しているほか、軽自動車税の収入の一部を二輪駐車場の建設/増設費用に充ててほしいと明記している。
軽自動車税は地方税であり、各市町村の税収となっている。そして、駐車場の設置に関して権限を持っているのもまた市町村だ。バイクを保有していれば、廃車(抹消登録)にしないかぎり、毎年春に1台1台に対して軽自動車税を納める義務があるが、その税金を駐車場の拡充に充ててはどうかと提案しているのだ。
実際の話、バイクを購入して保有しても、街中で停められない、または放置駐車違反で捕まってしまうとなれば、バイクなんて乗らずに、駐車環境の整った電動アシスト自転車に乗り換えてしまう人も出てくるだろう。そうなれば、結果的に市町村としては減収となるわけで、つまりこれは負のスパイラルと言える状態である。
軽自動車税は市町村の一般財源となり、その用途は定められていない。教育や医療、はては職員の給与まで多目的に運用されている。バイクユーザーからすればモヤモヤとするところだが、逆に、使い道を自由に選択できる財源なだけに、多くのバイクユーザーが困り、不満に感じている駐車環境の整備に少しでも投じてもらえれば、わが街を誇らしく応援したいとも思えるだろう。そのためにはバイク保有者の声を役所に伝えていく手段を考える必要もあるだろう。
ところで、軽自動車税で駐車場を拡充してほしいという要望は、国会における各政党との勉強会や懇談会という場においても繰り返し要望されてきたことだ。特に、AJ(全国オートバイ協同組合連合会)は’16年4月1日から施行された軽自動車税の増税について、二輪車増税分である年間約130億円もの税収の一部をバイク駐車場の整備/拡充に充てるよう要望を続けている。
バイクの販売台数同様に、バイクの保有台数も年々減少している。’19年3月末には約1053万台だったが、ここ数年は年間20万台のペースで減っているため、いよいよ保有1000万台を割り込むのではと危惧されている。こうした状況において、軽自動車税の重要性を説き、その税金の使い道を指し示すことは、自治体の運営にとっても二輪市場の将来にとっても、いま必要な考え方だろう。
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