’19モデルからカワサキの国内ラインナップに加わった水冷直4&前後17インチの「ヴェルシス1000SE」が、’21モデルで電子制御サスペンションのソフトウェアをアップデート。極上の乗り心地を実現するショーワのスカイフックテクノロジーが採用された。合わせてカラーチェンジとカワサキケアの付帯も実施された。
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:カワサキ
’21 カワサキ ヴェルシス1000SE
[◯] 少なめのピッチングにスカイフックを感じる
Z H2 SEに続き、ヴェルシス1000SEにも電子制御サスペンションにショーワのスカイフックEERAテクノロジーが採用された。とはいえ、ハード面での変更は特になく、ソフトウエアがアップデートされたのみだ。
この新型、スポーツ/ロード/レインと走行モードごとにトラクションコントロールや電子制御サスペンションの設定も連動して切り替わるインテグレイテッドライディングモードを引き続き採用する。車体が空から吊り下げられているような”スカイフック”状態をもっとも体感しやすいのはレインモードで、ホイールトラベル量の長さ(前150mm/後ろ152mm)を感じさせないほど車体のピッチングが抑えられている。とはいえ、前作も強めの加減速で過度なピッチングは抑えられており、それでいて乗り心地は優秀だったので、これは新旧をじっくり乗り比べて初めて分かる程度の差かもしれない。
Z1000ベースの1043cc水冷並列4気筒エンジンは、基本的に変更はなし。最高出力がZの141psから120psに引き下げられているとはいえ、スロットルを大きく開けたときの直4らしい圧倒的な吹け上がり感は健在。そして何より感心するのは、体に伝わる微振動の少なさとスロットル開け始めのレスポンスの優しさだ。上質とか上品などと表現できるもので、昔から2気筒が主流のアドベンチャーというジャンルにおいて異彩を放っている。
ハンドリングは、低重心なことが効いているのか微速域からフラつきにくく、ペースを上げると軽快さが輝き出す。ホイールが前後17インチということもあり、ハンドリングの質はネイキッドに近く、そこにスカイフックによるピッチングの少なさが加わるので、つづら折りの峠道ではスーパースポーツを脅かすかも。
スクリーンだけでなくカウリング自体が大きいこともあり、防風効果は圧倒的に高い。加えて幅広&極厚シートによる優秀な座り心地も、これを超える国産車が思い浮かばないほどだ。スカイフックなど新機軸が注目されがちだが、ヴェルシス1000SEの良さはこうした基本設計が確かだからこそであり、最良のツアラーだと言える。
セミアクティブサスペンションKECSのソフトウエアをアップデート
[△] クイックシフターの踏み応えがゴムのよう
強いて気になった点を上げるとするなら、非接触式クイックシフターによる踏み応えだ。ゴムブッシュを介しているような、あるいはソールの柔らかいスニーカーで踏んでいるような感触が興を削ぐ。変速ショックが少ないだけに残念に感じた。
[こんな人におすすめ] 先進装備を満載。世界で戦えるクロスオーバー
アドベンチャーのスタイルを借りたロングツアラーであり、電子制御サスペンションを筆頭とする各種先進装備が安全安心な旅をサポートする。直接のライバルはヤマハのトレーサー9GTあたりか。上質なフィーリングを求めるならヴェルシス1000SEを推す。
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