ビモータは、2年前に登場を予告していた「KB4」およびネイキッド版の隠し玉「KB4 RC」を正式発表。ニンジャH2の過給エンジンをハブステアの車体に搭載するテージH2とは異なり、“普通の”倒立フォークや自然吸気4気筒エンジンを搭載しているが、ラジエター配置など細部を見れば、やっぱりクセが凄い!
カワサキのエンジンを“ビンテージスピリット”のデザインに包み込む
ビモータはEICMA 2021で、2年前に登場を予告していたレトロルックのカフェスポーツ「KB4」と、そのネイキッド版である「KB4 RC」を世界初公開した。RCのほうは事前に車名のみ情報が与えられていたが、隠し玉として登場したのはまさかのネイキッドバージョンである。
KB4/RCは、カワサキのニンジャ1000SXの自然吸気並列4気筒エンジンをビモータオリジナルのトレリスフレームに搭載したもので、KB4のほうは写真素材を見る限りマフラーもテールピースやカバーこそ変更されているものの、サイレンサーなどはそのままのようだ。最高出力/最大トルクは欧州仕様のニンジャ1000SXに準じている。ただし、KB4 RCのほうはアロー製のマフラーを装着してあり、スペックも今回は未公表だ。
面白いのは車体のほうだろう。先行公開された資料には装備重量194kg/乾燥重量189kgと掲載されていたが、正式発表にともなって公開されたスペックには乾燥重量187kgのみが記載されている。とはいえ、装備重量でも200kg前後になるのは間違いなく、ニンジャ1000SXの装備重量235kgから大幅な軽量化を達成していることがわかる。
これはカーボンなどを多用した外装などによるところも大きいが、まずは骨格から触れていこう。ビモータが以前から得意としてきた高張力鋼によるトレリスフレームをフロントに配置し、これにアルミ削り出しのピボットプレートを組み合わせている。ピボットまわりからシートフレームにかけてはかなり華奢(=軽量)に見えるが、これはホンダでいうところのユニットプロリンク式のようなリヤサスペンション構造を採用したことで、フレーム後半の剛性がさほど必要ないことが理由だろう。
ピボット部の外側にマウントされたスイングアームはアルミ削り出しのパーツを溶接した3ピース構造になっており、裏側の肉抜きはかなり大胆に行われている。ステップホルダーはスイングアームをさらに外側から挟み込むようにマウントされ、偏心カムによるアジャスト機構を備える。いずれもアルミ削り出しの贅沢なものだ。
前後サスペンションはオーリンズ製で、フロントはテージH2に比べれば“普通”のφ43mm倒立フォークFG R&T 43 NIX30を採用。ストロームは130mmだ。そしてリヤはTTX36で、ホイールトラベルは122mmとされている。ブレーキコンポーネントはもちろんブレンボ製だ。
基本的にカーボンファイバーで形づくられる外装は、シート下に配置されたラジエターに導風する大型ダクトがかなり個性的だ。現ビモータでエンジニアを務めるピエルルイジ・マルコーニさんは、かつて旧ビモータ体制のときにテージ1Dを開発したことで知られているが、その後はベネリでKB4と同様のシート下ラジエターを採用していたトルネード900TREの開発にも携わっていたという。これを彷彿とさせる車体構造を、積極的にデザインにも反映しているのが面白い。
カウル付きKB4、ネイキッドのKB4 RCともに丸目1灯のLEDヘッドライトユニットはカワサキZ900RSと同じもののようだ。サイドカウルや導風ダクトまわりのデザインはそれぞれで変えてあり、ナンバープレートはKB4がシート後方に、RCのほうはスイングアームにマウントされる。シートカウルのそれぞれ異なっているように見え、特にシートストッパーは明らかに形状が異なる。
カウルに保安部品などをマウントしているKB4に対し、RCはライト&メーター、そしてバーエンドミラーを装備していることから、ハンドリングはけっこう違いそうだ。KB4の発売は2021年4月とされている。今から実車に触れるのが待ち遠しい……。
ひとまず入手した素材は全て掲載したので、記事下の写真をじっくり眺めていってもらいたい。
BIMOTA KB4[2022 model]
主要諸元■全長2210 全幅765 全高1165 最低地上高140 軸距1390 シート高810±8(各mm) 車重187kg(乾)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 1043cc 142ps/10000rpm 11.3kg-m/8000rpm 変速機6段 燃料タンク容量19L■キャスター24°/100.8mm ブレーキF=φ320mmダブルディスク+4ポットキャリパー R=φ220ディスク+2ポットキャリパー タイヤサイズF=120/70ZR17 R=190/50ZR17 ●価格:未発表 ●発売時期:2021年4月(日本については未発表)
BIMOTA KB4 RC
スペック未発表
【動画×2】Bimota KB4 / Bimota KB4 RC
※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
TESI H2のハブセンターステアリングって、いったいナニがどう凄いのか? 世界中のバイクエンスージャストを魅了するイタリアのビモータ。その数ある名車の中でも、TESIシリーズはハブセンターステアリン[…]
2系統の燃料ライン。他燃料との混焼も想定? 10月1日に川崎重工から分社化し「カワサキモータース」を名乗ることとなったカワサキの2輪車部門。そのメディア向け説明会の会場に展示されていたのがこのエンジン[…]
フロント片持ちスイングアームにトレリスフレームの超個性派 イタリア、ボローニャのモーターサイクルメーカーであるイタルジェットは、EICMA 2021のプレスカンファレンスで『ドラッグスター』の生産が始[…]
もはや快適なスーパーバイク! クルーズコントロールやクイックシフターも装備 カワサキは欧州で、1043ccの4気筒エンジンを搭載するスポーツツーリングモデル「ニンジャ1000SX」にニューカラーを設定[…]
そりゃあプロのCGアーティストのようには作れないけどさ これから掲載する写真やCGはまったく根も葉もないものであり、噂にすら上っていない。カスタムの素材としての新型XSR900の魅力に迫りたいという思[…]
最新の記事
- 【2024年11月版】150~250cc軽二輪スクーター 国内メーカーおすすめ7選! 125ccの双子モデルからフルサイズまで
- SHOEIがシステムヘルメットのド定番モデル「ネオテック3」に新グラフィック「ANTHEM」を発表!
- SHOEIが「Z-8 YAGYO」を発表! 百鬼夜行をイメージしたバイクパーツ妖怪が目印だ!!
- 【SCOOP!】ついに「GB500」登場へ?! ホンダが海外で商標を出願!
- 【動画】白バイ直伝! 究極の安全ライテク[令和ver.] #8:8の字走行を極めよう!
- 1
- 2