ホンダ レブル1100MTモデル試乗インプレッション【”クルーザー”の概念を再構築】

ホンダ レブル1100MTモデル試乗インプレッション

’17年にデビューしたレブル250/500の上位モデルとして、’21年に新登場したレブル1100/DCT。今回はMTモデルを試乗した。基本的な装備はDCTと共通ながら11万円も安く、車重は10kg軽量に仕上げられている。大人気のレブル250/500との類似性もチェックした。


●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ホンダモーターサイクルジャパン

’21 ホンダ レブル1100

【’21 HONDA REBEL1100】主要諸元■全長2240 全幅850 全高1115 軸距1520シート高700(各mm) 車重223kg ■水冷4スト並列2気筒SOHC4バルブ1082cc 87ps[64kW]/7000rpm 10.0kg-m[98Nm]/4750rpm 変速機6段 燃料タンク容量13L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤサイズF=130/70B18 R=180/65B17 ●色:黒 赤 ●価格:110万円

【漂うフラッグシップ感。DCTモデルより10kg軽い】DCT車よりも10kg軽い。1次減速比と6段ミッションの変速比はDCT車と異なるが、オーバーオールレシオは限りなく近い。レブル250/500とホイールデザインやタイヤの偏平率が異なることから、よりスポーティーなイメージとなる。フロントのブレーキキャリパーはトキコのモノブロックだ。

【ライディングポジション】シート高はレブル250/500よりも10mm高いだけで足着き性は抜群だ。左右ステップ間が広いため股関節が開き気味に。[身長175cm/体重62kg]

[◯] クルーザーの世界観をホンダ流に昇華させる

レブル500の2倍以上の排気量を持ちながら、車重は33kgしか増えていないレブル1100。幅のあるクランクケースの真横にステップがあるため下半身は自然と大股開きとなってしまうが、それも含めてライディングポジションはレブル250/500と近似しており、もちろん足着きも優秀だ。

まずはエンジン。CRF1100Lアフリカツインがベースの1082cc水冷並列2気筒は、フライホイールの質量を32%増やすなどしてクルーザーに相応しいパルス感を追求。最高出力は102psから87psへと大きく減じられたが、このスペックから想像できないほどパワフルだ。スポーツ/スタンダード/レイン(ユーザーもあり)モードのうち、スポーツモードの加速力とレスポンスはネイキッド顔負けで、2000rpm付近からでも突進と表現できるほどのダッシュ力を見せる。これと対照的なのがレインモードで、270度位相クランクが生む心地良い鼓動感を味わいながらの巡航に最適だ。

それにしても、アフリカツインのエンジンがここまで艶っぽくなるのかと正直驚かされた。それに気付けたのは、今回試乗したのがMTモデルだったからだろう。DCTは燃費や加速など機械的に有利なギヤを選びがちだが、ライダーはそれよりも気持ち良いと感じる回転域で走りたいもの。そこに齟齬が生じないのがMTの魅力といっていいだろう。

ハンドリングも優秀だ。ニュートラルに向きを変える特性はレブル250/500と同質であり、1100はそこに前後サスペンションの動きの良さとマスの集中感が加わってくる。特に乗り心地は秀逸で、リヤショックは短いストロークの中でうまく衝撃を緩和してくれる。それに、前後ともプリロード調整ができるのはうれしい。

クルーザーとしては大きめの35度というバンク角が確保されているのだが、それですら足りないと感じるほどスポーティーな走りに応えてくれる。フロントブレーキは強力かつコントローラブルで、これも積極的にペースを上げたくなる要因に。クルーザーの皮をかぶったスポーツネイキッドといっても過言ではない。

【おいしい領域を低回転域側へスライド】CRF1100Lアフリカツインの1082cc水冷並列2気筒を基にフライホイールの質量を32%増やし、専用設計のカムや吸排気系を採用。270度位相クランクと相まって低回転域からのパンチの良さと鼓動感を演出する。

【路面追従性を追求した前後サスペンション】φ43mm正立式フォークは酸化チタンコートのインナーチューブやカートリッジ式ダンパーなどを採用する。リヤショックは分離加圧式で、前後ともプリロードの調整が可能。スイングアームはφ50.8mmの極太パイプだ。

φ175mmのヘッドライトは厚肉インナーレンズ直射式LED×4個と左右のLED導光部で構成されている。

クラッチレバーがある分だけDCTに対して全幅が20mm広い。クロノグラフを想起させるφ120mm丸型LCDメーターは、ネガティブ液晶を採用することでスポーティーなイメージに。

右側にクルーズコントロール関連、左側にはモード&セレクトスイッチをレイアウト。グリップヒーターを標準装備する。

レブル250/500よりもボリューム感のある燃料タンクはフランジレス製法を採用する。

シートはシングルサドルタイプで、キーロックにて取り外し可能。その下には容量3Lの収納スペースにETC2.0車載器とUSBタイプCソケットを装備する。タンデムシートは容易に取り外し可能だ。

リヤの灯火類はクリアレンズで統一。前後のフェンダーは1mm厚の鋼板を絞り成型して作られる。

[△] 排気量が大きいだけに下半身に熱さを感じる

気温が高いときの信号待ちや長いトンネルを走っている際、排気量なりの熱量が下半身を襲うが、気になったのはその程度。クラッチレバーの操作力は軽く、シフトも気持ち良くスコスコと決まる。さらにクルーズコントロールも非常に便利だ。

[こんな人におすすめ] クルーザーの概念を再構築。コレは売れる!

初代レブルが360度、現行レブル500が180度なので、レブル1100の270度位相クランクはシリーズ初。空冷やVツインという定石を破りながらホンダ流にクルーザーを再定義したのがレブルであり、1100はその頂点にふさわしいモデルと言っていい。


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