快進撃を続けるホンダPCXに対し、ヤマハNMAXが反撃の狼煙を上げた! トラクションコントロール/キーレス/アイドリングストップを追加し、さらに国内125ccクラス初となるスマホ接続システムも投入。新設計フレーム&ホイールなど基本骨格も大幅に進化。果たして王者PCXの背中は見えたのか、厳しくジャッジする。まずはディテール徹底比較から。
スタイリング
エンジン&シャーシ
【NMAX:リヤサスペンションはプリ調整可能に】前後13インチのアルミキャストホイールはより軽量な新作に。前後サスペンションはセッティングを最適化し、リヤはバネレートを変更するとともに2段階のプリロード調整を追加している。
【PCX:ABSはフロントのみだ】’10年登場の初代から前後14インチを貫いてきたが、’21年モデルでリヤを13インチに。さらにリヤのトラベル量を10mm増やして95mmとしたり、リヤブレーキをドラムからディスクとするなど大幅に進化。前後連動を廃止する代わりに、フロントにのみABSを採用。
主要装備
【NMAX】LEDヘッドライトは左右ロービーム+中央ハイビームの3灯から、2眼6灯へとゴージャスに進化した。ロービームで上段4灯が、ハイビームですべてが点灯する。テール&ストップランプは先代と同様にLEDで、前後のウインカーとナンバー灯はフィラメント球を継続する。ハザードランプも備えている。
【PCX】’14年のフルモデルチェンジの際に灯火類をオールLEDとし、話題をさらったPCX。その後に2度のフルチェンジを経験するも、このオールLEDは最新モデルまで継承されている。ヘッドライト内部には5本の光のラインがあり、テールランプにはマルチオプティクス技術を応用。奥行き感を表現している。
【NMAX】ハンドルバーがフルカバードされたコックピット。液晶メーターはスクエアとなり表示面積を拡大。Vベルト交換時期の表示は従来モデルから継続。
【PCX】’21年モデルでハンドルホルダーをラバーマウント化。さらに反転液晶メーターはバッテリー低下警告灯やトラクションコントロールのインジケーターを追加した。
【ヤマハもついにキーレス新採用】PCX[上右]が’18年モデルから採用したキーレスシステムを、NMAX[上右]もついに新採用。両モデルとも自車位置を見つけるためのアンサーバックシステムを備えるが、ヤマハはウインカーの点滅と合わせてブザーも2回鳴るのが相違点だ(オンオフ切り替え可)。
【NMAX】右側はリッド付き、左は600mlのペットボトルが入る小物入れを装備。左側にある充電ソケットはシガータイプで、スペックは12V(1A)。
【PCX】リッド付きの小物入れを左側にのみ装備。500mlのペットボトルが収納でき、最大積載量は1kg。充電ソケットはUSBタイプC(5V/3.0A)。
【NMAX:1L微減ながらフルフェイスも入る】シート下トランクは容量が約24→23Lと微減するも、逆さまにした状態でヘルメットが収納可能。最大積載量は5kgで、内部に照明はないがヒンジの左右にヘルメットホルダーあり。
【PCX:30Lの大容量トランクを装備】30Lと大容量のためフルフェイスが余裕で収納できるほか、最大積載量も10kgと大きなアドバンテージを持つ。こちらも照明はないが、ヘルメットホルダーは2つ設けられている。
【NMAX:ステップはやや高めだが居住性は及第点だ】タンデムステップはバータイプの可倒式。PCXと比べるとやや高めにあり、その分だけ膝の曲がりがやや窮屈に。とはいえライダーとのスペースも十分に保たれているうえ、加減速に耐えやすい場所にグラブバーがあるので、トータルの居住性は及第点。座面についても薄く見えるのだが、意外と座り心地は良好だ。
【PCX:パッセンジャーの快適性までも徹底的に追求】PCXはプレートタイプの可倒式タンデムステップを採用。身長175cmのパッセンジャーでも膝が窮屈に感じない位置にあり、しかもライダーとの距離がNMAX以上に離れているので、居住空間の広さはPCXの方がはるかに上。なお、グラブバーの形状については甲乙付けがたく、どちらも体を支えるのに都合がよい。
NMAXはスマホ接続可能!
新型NMAXは車両とスマホをブルートゥース接続するCCU(コミュニケーションコントロールユニット)を初搭載。電話の着信/着信履歴/各SNSからの通知/スマホのバッテリー残量(目安)を車両のメーターパネルに表示する。また、メーター内の時計の自動調整機能も備えているので便利だ。なお、ペアリングしたスマホはccUに登録され、次回以降は車両の電源をオンにし、専用のYコネクトアプリを起動すれば自動的に接続される。
これが専用アプリ「ヤマハモーターサイクルコネクト(Yコネクト)」の表示画面だ。左はエンジンオイルの交換時期やバッテリーコンディションの表示。中央は最終駐車位置の表示(位置情報はスマホのGPSに依存)。右は車両のメーターに表示する通知の設定画面だ。このほかにもエンジン回転数/スロットル開度/加速度などを表示したり、日別や月別の燃費計算、さらには問題や故障などの各種情報を指定のアドレスに送る機能もある。
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