●レポート:阪本一史 ●写真:カワサキ/八重洲出版/小見哲彦 ●編集:上野茂岐(モーサイ編集部)
カワサキスピリット=長寿エンジン?
W1やマッハIII、Z1やニンジャ(GPZ900R)など、名車と言われる大型モデルが数多いカワサキだが、カワサキというメーカーの特徴に「長寿エンジンの多さ」がある。
たとえば1976年登場のZ650を原点として「ザッパー系」と呼ばれる空冷4気筒750cc(実際は738cc)は、2007年に生産終了となったゼファー750まで存続したし、それより一回り小さい空冷4気筒はZ400FX(1979年)を元祖に、大ヒットモデルのゼファー400まで搭載され、そこからさらに4バルブ化という大幅な改良を施されゼファーχに搭載され、こちらは2009年まで存続した。
最近の例なら、W650(1999年登場)で新開発された空冷バーチカルツインが、排気量アップを含めた進化熟成を経て現在のW800まで続いている(ヨーロッパの最新環境規制「ユーロ5」に空冷のまま適合している)。
一度開発したエンジンを、手を加えつつ長く存続させる──それは裏を返せば、新規エンジンにかかる開発・生産コストを抑制するという「舞台裏」的な側面ではあるが、実はユーザー側にとっても少なからずメリットがある。
まずコストの抑制=販売価格が抑えられるというのがあるが、それ以外もベースエンジンから連綿と続くだけに、エンジン内の消耗パーツは長期間供給されるから1台を長く愛用しやすいのだ。
だからだろうか、カワサキ車を愛するライダーは、修理を重ねつつ長く乗る傾向が強いような印象が筆者にはある。
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