岡崎静夏のホンダ ディオ110試乗インプレ【パワーも乗り心地の良さも街乗りにはベストバランス】

ホンダ ディオ110×岡崎静夏試乗インプレッション

●まとめ:高橋 剛 ●写真:楠堂亜希 ●取材協力:ホンダモーターサイクルジャパン

【テスター:岡崎静夏】チャーミングな笑顔でも、中身はスパルタンな”バイクフリーク”。’09~’10年のMFJレディースロードレースで2年連続王者に。全日本はGP-MONOを経て’12年からJ-GP3に参戦中。TwitterFacebookInstagramYouTube

たとえるなら3人兄弟の真ん中。自転車で言えばMTB!?

ディオ110に乗ってみて、「速っ!」というのが第一印象です。

エンジンは110ccで8.7psだから、手に余るような感じや怖さはもちろんありません。加速しても体が置いておかれることもない。

でも、流れの速い国道を60km/hで巡航しても余裕! 考えてみれば50cc原付一種の2倍以上の排気量があるわけですし、コンパクトなスクーターとしては十分なパワーです。

そして驚かされたのは振動の少なさ。エンジンをかけた瞬間、「あれ? コレでかかってるの?」と思うほどで、走り出して気が付いたらいい感じでスピードが乗っています。意識してメーターをチェックする必要があるほどでした(笑)。

原付二種なので高速道路には乗れないのは仕方ないところですが、一般道を走っている分にはエンジンに対して何の不満も感じませんでした。これって結構すごいことですよね!

車体もしっかりしています。安定感が高いうえに、乗り心地がすごくいいんです。路面のギャップをまったく拾わないわけじゃないけど、手にドーンと来るイヤな突き上げ感がうまく抑えられていますね。振動をうまくいなしてくれるのは、14インチホイールの恩恵かな? サスペンションと相まって、かなり衝撃を吸収してくれています。

……と、のっけからマジメにベタ褒めしてしまいましたが(笑)、それぐらい衝撃的だったんですよね〜。「ちっちゃいスクーターでしょ?」とナメてたつもりはないんですが、どこかにちょっとそんな気持ちがあったのかもしれません。だからこそ、乗り始めてすぐに「想像以上の出来栄えだぞ!」と、ホントにビックリしたんです。

ホンダは原付二種のラインナップが充実していて、PCXやリード125があります。この2台はさすがのお兄ちゃん、という感じで、ディオ110は弟分にあたりますね。

でも、10万円以上の価格差や、より取り回しやすい軽量コンパクトさを考えれば、弟としては相当優秀! 自分の弟の慎もレースメカニックとして頑張ってレース活動を支えてくれていますが、それに負けず劣らずのデキのよさなんです。まぁ慎と比べられても困っちゃうと思いますが(笑)

【1歩先に行きたくなる乗り心地】基本は”通勤快速”ですが、乗り心地が良好でパワーも十分とくれば、ちょっと遠乗りしたくなるのがディオ110のよさ。平日は通勤/通学、休日はショートツーリングもグッド!

レーシングライダーの自分としては、ちょっとマニアックなハンドリングや車体姿勢も気になるところですが、ディオ110はここも満足度が高い!

ハンドリングは、10インチの原付一種に比べると落ち着きがありますね。先に言ったように乗り心地、安定性ともに高いので、その分ちょっとまったりしているように感じます。

とは言っても、お兄ちゃん分のPCXやリード125に比べたら機敏で俊敏! 街中をスイスイと行く走りっぷりは原付一種のスクーターのよう。

たとえるなら、ディオ110は3人兄弟の真ん中、という感じかな。お兄ちゃんと弟…原付二種と原付一種のいいとこ取りをしている印象で、街乗りするにはかなりちょうどいいバランスになっています。

車体姿勢の変化にもしっとり感があります。軽量コンパクトな車体であまりカッチリし過ぎていると、走行中に小石を踏んでも弾かれるようなシビアなキャラクターになりますが、ディオ110のサスは適度な動きがあるので、あまり気を使わずに走れます。

そしてブレーキをかけた時、前後サスの両方がスムーズに作動してくれるから、スッと姿勢が落ち着くんです。フロントサスが動きすぎると前のめりになってしまいますが、そういった不安定さはありません。かなりちゃんとセッティングされている印象です。

再びたとえるなら、ママチャリでもなくロードバイクでもない、サス付きのMTBって感じかな…? 分かってもらえますか?(笑)

このご時勢、首都圏での混み合う電車通勤を避けたい方も多いと思います。ディオ110なら、何駅か分の通勤や通学にぴったり。毎日乗るからこそ”ちょっといいモノ”を選びたくなりますが、そんなニーズにベストチョイスだと思いますよ。

ママチャリじゃちょっと残念だし、ロードバイクじゃちょっとやり過ぎ。ほら、”サス付きのMTB”ってたとえ、いいセン行ってるでしょ?(笑)

ディオ110:SHIZUKAの評価

  1. スタイリング:街中のどんなシーンにも無理なく溶け込むスクーターらしいデザイン。実用性に、ちょっとオシャレ感をプラス!
  2. スポーツ性:積極的にスポーツしようとは思わないけど、乗り込むほどにポテンシャルを感じるという、不思議な奥深さです。
  3. ツーリング:ポジションも乗り心地も快適すぎて、「バイクでお出かけした感」は薄いかも……なんて言うのはぜいたくかな!?
  4. 街乗り:ズバリ、最高です! 車体はコンパクトで姿勢はラクだし、パワーがあるから発進停止の連続も気になりません。
  5. コストパフォーマンス:この内容で25万円を切るのは安い! 街中走行にストレスを感じにくい原付二種は、よりお買い得感がありますね。

【SHIZU’sお気に入りポイント】走りの質感を高める14インチホイールが最高! 試乗したマットブルー色はデニムみたいでファッショナブルでした。


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