
折からのアウトドアブームに加えて、新型コロナ禍において密を避けるレジャーとしても、近頃のキャンプ人気がすさまじい。その中でも、自分一人分の荷物をバイクに積んで、気の向くままに時を過ごせるソロキャンプスタイルは、他の手段では得られない格別な”自由”を堪能できるのだという。では何をどうすればその自由を手に入れられるのか? まずは、本企画のガイド役=ヤングマシンエクストリーム企画担当にしてキャンプツーリングの達人・ヤタガイ氏が思い入れたっぷりに語る、”バイクでソロキャンプ”の魅力からお届けしよう。
●文:谷田貝洋暁 ●写真:武田大祐
バイク乗りにキャンプツーリングはもはや必要不可欠⁉
’21年のキャンプの盛り上がりは相当だ。折からのキャンプブームに加えて、近年のコロナ騒ぎによる遠出自粛がさらにこの人気に拍車をかけている。屋内での飲み会やカラオケでは密になる。一方屋外、文字通りのアウトドア遊びなら、ソーシャルディスタンスを保ててよさそうじゃない⁉ とにかく出かけたい‼ そんな気運だろう。
実際、フィールドに出てみても、人出の多さにそんな雰囲気があるのを感じていたが、今回、とあるアウトドアメーカーの話を聞いてびっくり。テントの売り上げが例年とは比較にならないという。「’20年でさえ1ヶ月でツーリング用テントが10張売れて『すごいね!』なんて言ってたのが、’21年は1週間にテントが10張出ることも普通」なのだとか。単純計算で’20年の4倍。例年からすると考えられないくらいテントが売れているのだ。
ことバイクにおいては、アニメ化された『ゆるキャン△』の影響も多分にあるだろう。「キャンツーしたくて免許を取った」なんて声もよく聞こえてくるが、事実としてバイクという乗り物とキャンプの相性はとてつもなくいい。
他のキャンプを見てみよう。登山や自転車の旅もそれはそれで面白いが、キャンプ泊となると途端にハードルが上がってしまう。これらの旅はテントからナニからすべての荷物を自力で運ぶ必要があるからだ。それだけにキャンプが”手段”になってしまい、楽しむ余裕がほとんどなくなって来るしまう。荷物を極力削ぎ落とすのはもちろんだが、旅の途中で何か面白そうなものを見つけても、「荷物が重いから遠回りするのは嫌だな…」とキャンプ道具が好奇心の妨げになることだってある。
そこへいくとバイクは動力付き。荷台にキャンプ道具を積んでしまえば、ライダーはアクセルを捻るだけ。あとはバイクが重い荷物を運んでくれるのだから、寄り道も気軽にできるし、歩きや自転車と違って少々の遠回りだって気になることはない。
それに不思議なのは、同じエンジン付きでも、クルマで行くキャンプとバイクのキャンプは、なんだか面白さの質が違うように感じることだ。うまく言葉にするのは難しいのだが、車とキャンプの組み合わせを足し算とすれば、バイクとキャンプの組み合わせは掛け算になるというか、旅感が増すというか、なんというか…。面白さが大きく増幅されているような気さえするのだ。
実際、バイクにキャンプが加われば旅の自由度がかなり増すことも事実だ。宿の予約やチェックイン/チェックアウトといった制限が設けられることで、ツーリングはそのスケジュールにおいてかなりの制約を受けることになる。一方キャンプ旅なら、ブームとはいえ当日まで予約が必要ないキャンプ場もまだまだ見つかる。走りたいだけ走って、近場のキャンプ場に転がり込むなんて気ままな旅がしやすい。バイクの持つ自由さをキャンプがさらに自由にしてくれるってワケなのだ。
それに道に迷ったところで、キャンプ道具は積んであるし、最悪は河原で…。実際にやることはなくても、そんな保険があるだけで鷹揚に構えていられる。大真面目な話、「バイクは地上でももっとも自由な乗り物である」というのが僕の持論だけど、そんなバイクの楽しさを、何倍にも増幅してくれるのがキャンプだと思うのだ。
せっかくバイクに乗ったのならば、是非ともキャンプ旅に出てみよう。ライダーはまだまだもっと自由になれるはずだ!
青葉の香りのする風に吹かれながら流れる雲を眺めていると、大抵のことはどうでも良く思えてくるもんだ。誰にも気兼ねする必要がないソロキャンプなら、こんな穏やかな休日がきっと手に入る。 [写真タップで拡大]
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