
欧州ホンダは、日本と欧州で活動しているRC30(VFR750R)オーナーズクラブとのミーティングを経て、「RC30 Forever」プログラムを開始した。2020年に日本で開始されたものを同じで、約150点の純正部品が新しい金型を用いて製造される。
オークションで1000万円だって!?
1987年に発売されたVFR750R(RC30)は、世界耐久選手権シリーズで1985~1986年度の2連続チャンピオンを獲得したレースマシン「ホンダ RVF750」の高度な技術をもとに開発された、スーパーバイクレプリカマシンだ。チタン合金などの高価で軽量な素材を多用したつくりは、現代でいえば2015年に発売されたモトGPマシンレプリカ「RC213V-S」に匹敵するほどのインパクトで、スポーツバイクファンに迎えられた。
新設計の水冷4ストロークV型4気筒エンジンには、チタン合金製のコンロッドやクロームモリブデン浸炭鋼製のカムシャフトなどを採用。フレームは極太の異形5角断面材を使用した、ホンダ独自のアルミ製ツインチューブを採用しており、これにアルミ製燃料タンクやFRP製カウルなどを装備する贅沢な仕様だった。これが当時は148万円(消費税法施行前)で発売されたのだが、2018年にはイギリスのオークションで約1000万円の値が付くなど、国内外を問わず“伝説のバイク”として評価は高まるばかりだ。
そんなRC30を完全な調子のまま乗ってもらいたいと、ホンダが始めたのが『リフレッシュプラン』。ホンダ熊本製作所に専用のリフレッシュセンターを新設し、ホンダの自らの手でベストコンディションまで整備、さらに新規金型を含む150点の純正部品を再生産するという、RC30オーナーには最高のプレゼントと言っていいプログラムだ。
これは主に日本国内を対象としたものだったが、当然のごとく海外からも引き合いはあったはず。そんな声に応えてか、欧州でも「RC30 Forever」プログラムが開始されることになったわけだ。
欧州の各ディーラーで新たな純正部品約150点が注文でき、オーナー諸氏は状態のいいRC30をいつまでも楽しめるようになる。これらの部品は、当時の手描き図面によるものよりも高い精度で製作されているものもあり、中には削り出しパーツも。過去の人気車ではCB750FやNSR250Rのパーツが再生産された例もあり、ホンダのこうした活動には今後も注目が集まりそうだ。
VFR750R(RC30)[1987 model]
1987年に日本で発売された後、1988年に欧州でも発売。世界で約5000台が販売されたと言われている。バイクは浜松工場で熟練の職人の手によって製作され、カーボンファイバー、ケブラー、マグネシウムといった素材を最大限に活用。エンジンはチタンコンロッドとスリッパークラッチを備え、レーシングレベルのギヤ比が設定されていた。
ホイールとブレーキはクイックリリースマウントを備え、前後サスペンションはフルアジャスタブル。プロアーム(片持ちスイングアーム)も特徴的だった。
RC30は1988年、1989年にフレッド・マーケル選手の手によってスーパーバイク世界選手権を連覇。メーカータイトルは1988~1990年の3連覇を達成した。鈴鹿8耐を走ったワークスマシン「RVF750」も、1988年以降はRC30がベースとなっている。
【VFR750R(RC30)[1987 model]】主要諸元■全長2045 全幅700 全高1100 軸距1410 シート高785(各mm) 車重201kg(装備)■水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブ 748cc 77ps/9500rpm 7.1kg-m/7000rpm 変速機6段 燃料タンク容量18L■タイヤサイズF=120/70-17(バイアス) R=170/60R18(ラジアル) ●発売当時価格:148万円 ●発売日:1987年8月31日 ※諸元や価格は日本仕様
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