調和と鋭さ、あり余るパワーとスムーズなエアフローの体現…。先代のDNAを受け継ぎながら、それは新時代の到来を予感させる。試行錯誤の末、「シン・ハヤブサ」の傑作デザインが誕生した。その勇姿を先代と比較しながら紹介するとともに、スタイリング詳細についても掘り下げる。
すべてを試し、あえて変えない英断から次の伝説が生まれた 熱量。むせ返るほどの凄まじい意地と執念と自信が、13年ぶりに全面刷新したこの1台に渦巻いている。開発者が次々と登場する動画を見ればわかる。彼らは[…]
知性だけでなく狂気すら内包。空力性能も最強だ
‘21年1月28日のティーザー動画を経て、2月5日に正式公開された新型ハヤブサのフォルムに、多くのファンが歓喜した。誰が見てもひと目でストレートに「隼」と認識でき、なおかつ新しさを感じさせる絶妙なスタイルだったからだ。
デザインのコンセプトは「The Refined Beast」。従来の生物的な曲面フォルムを活かしながら、全面刷新で直線を取り入れ、鋭さが増している。これによって匂い立つのは「知性を備えた狂気」(デザイナー談)。怪物のようなパワーのタガを外さず、なおかつすべて手の内にコントロールする。調和と過激さが同居し、所有感を満たすゴージャスさまで備えた、希有な造形だ。
特に、エンジンから光り輝くメッキモールを経て、直線的に伸びるマフラーへと流れるサイドビューのラインは白眉。効果的な挿し色も相まって、エンジンの内なる力を可視化し、空気の流れをもデザインに取り込んでいる。
その上で、快適な防風性とトップスピードを実現するエアロダイナミズムもしっかり両立するのだから見事。風洞実験の解析チームとデザイナーがせめぎ合いながら造り上げた成果だ。空力性能に関しては、現行スズキ車で「最高峰のひとつ」。シャープなミラーも新作で、保安部品を装着したまま最高速を出せるのが強みという。
レジェンドと化した従来型の系譜を受け継ぎながら、カラを打ち破り、誰が見ても新しい。まさしく隼の”シン”章に相応しいスタイルだ。「膨大なトライ&エラーを繰り返し、現在のカタチに辿り着いた」と開発陣は語るが、その執念に心から拍手を贈りたい。
新旧ハヤブサ・スタイリング比較:落ち着きと過激、軽やかさを絶妙に融合したシン型
アイデンティティの縦2眼と丸みを帯びた生物的フォルムを踏襲しつつ、より鋭く、モールなどの凝った造形を与えられたシン型。全体的に凝縮感が増し、直線的なモチーフも取り入れたが、一目で「隼」と認識できる。万人を納得させる出来映えだろう。
ボリュームのある先代のリヤビューに対し、新型はスマート&コンパクト。特に後端に向けて伸びたテールやスリムに絞り込まれたマフラーの影響は大きく、軽快さとスポーティ感が一層増している。各部に奢ったロゴも誇らしい。
前方に塊感を集中させたマスフォワードデザインを促進。水平基調のラインをより多く採用するなど、均整の取れた上質さも新たな特徴だ。また、サイドカウルに配したメッキモールと3本ルーバーが、新鮮なイメージをもたらす。風の流れをイメージさせ、足元の防風性も高める意匠だ。
【造形とカラーリングで、力&空気の流れを可視化した】走行風はラムエアインテークをはじめ、サイドダクト/テールへと水平方向に導かれる。この空気の流れをカラーリングなどで表現した。また、パワーの源であるエンジンからV型モールを経て、マフラーへ伝わる”力の流れ”も造型とカラーリングで表現。モールは暗闇でも輝き、ゴージャス感を高める。 [写真タップで拡大]
注目なのはふくよかなサイドライン。修正を重ね、空力とデザインを摺り合わせた。スクリーンとフロントフェンダーも空力に優れる新作だ。また、リヤビューは大幅に変更。スッキリし俊敏なイメージに刷新された。マフラーのスリム化と相まって、横幅が抑えられた印象だ。
新型スタイリング・ディテール解説
【アクセントが効いた3カラーをスタンバイ】従来以上にカラーリングにも心血を注いだ新型。’98初代を彷彿とさせるブラウンを各部にあしらったブラック×茶のほか、歴代で人気の高い白をメインカラーとしたパールホワイト×紺、未来的なマットシルバー×赤の3色を用意。いずれも挿し色が巧みだ。●色:グラススパークルブラック/キャンディバーントゴールド[B5L] パールブリリアントホワイト/メタリックマットステラブルー[B5N] メタリックマットソードシルバー/キャンディレッド[B5M] [写真タップで拡大]
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