●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:真弓悟史 ●取材協力:モトショップ クロニクル
タイのフェニックスエンジニアリングが手掛けるユニークな原付バイクが上陸した。日本人チューナーが監修し、1台ずつ手作業で組み立てられるガンナー50。ファーストロットゆえに煮詰めの甘さは感じたが、思わず「おもしれ~っ」となってしまう車両だ。レジャーバイクが欲しかった人は注目だ。
[◯] 頼れてしまうサイズ感。動力性能は及第点だ
かつて繁栄を極めたレジャーバイク。その古き良き時代を彷彿させるユニークなスタイリングのニューモデルがタイからやってきた。水平にレイアウトされた極太メインチューブ内に燃料タンクがあり、その前端と後端にヘッドライトおよびテールランプをレイアウト。エンジンはスーパーカブをモチーフとする空冷4ストローク単気筒で、マニュアルクラッチ付きの4段ミッションを組み合わせる。ホイールは前後12インチで、ブレーキは前後ともにディスクだ。
まずはライディングポジションから。原付一種の小径ホイール車だが、軸距が1150mmもあるため、車格としては125ccのグロムに限りなく近い。ゆえに、50cc時代のモンキーのような窮屈感はなく、頼れるサイズ感と言っていいだろう。シート高は802mmと高めだが、座面が左右方向へスイングする構造となっているため、腰を大きくズラさなくても片足が着きやすいというのは隠れた長所だ。
続いてエンジン。始動はセル&キック併用式で、50ccとしてはやや力強い排気音だ。試乗車はスロットル微開での燃調がやや薄いような印象で、Uターンなど小回りの際には特に丁寧に開ける必要があったが、それ以外は不満らしい不満はなし。法定速度の30km/hまですぐに到達し、おそらくその2倍は余裕で出せそうな雰囲気だ。メーター読みで1万rpm(!)まできっちり回るので、とにかく開けたくなるエンジン特性になっている。
ハンドリングは、フレームのやや過剛性な印象とリヤサスペンションの動きにくさはあるものの、操縦自体は特に難しくはない。ユニットステアのテレスコピックフォークはよく動いてくれ、標準装着タイヤのグリップ力も不足はない。左コーナーでサイドスタンドのマウント部が接地しやすいので、その点は注意して走行を。
やや歯ごたえのある乗り味ではあるものの、あれをこうすれば良くなりそうなどと、距離を延ばすほどにアイデアが湧いてくるバイクであることは間違いない。積載力はほぼ皆無なので実用性は低いが、このスタイリングに惚れたら買いだろう。
[△] ほぼ動かないリヤサスペンション。リヤブレーキは利きすぎ
リヤサスペンションはリンクレスのモノショックで、バネレートが高すぎてほとんど動かず。これは次回以降のロットで改善されるようだ。ブレーキについては、リヤが軽く踏んでも利きすぎてしまう傾向にある。慣れるまではていねいなコントロールを。
[こんな人におすすめ] イジる前提ならこれほど遊べるバイクはない!
ファーストロットゆえに煮詰めの甘さは感じたが、それでも走りながら「おもしれ~っ」となってしまうのはライダーの性。流用できそうなパーツを探してあれこれ手を加えたくなるほど、このスタイリングには大きな魅力がある。
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