今も絶大な人気を誇る‘80年代の名車たち。個性の塊であるその走りを末永く楽しんでいくには何に注意し、どんな整備を行えばよいのだろうか? その1台を知り尽くす専門家より奥義を授かる本連載、今回はホンダ第2世代の並列4気筒モデルとして大ヒットした「CB-F」シリーズのウィークポイントを解説する。
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CB-Fシリーズ3つの弱点の主な原因は経年劣化と調整不良
CB-Fシリーズの弱点と言えば、充電不良/カムチェーンの伸びや破損/スタータークラッチの滑りなどが有名である。しかしながらジェイドの宮繁代表は、その3点を弱点と表現することに対して、少なからず違和感を持っているそうだ。
「まず充電不良は、経年劣化を考えれば当然ですし、発電機が備わる右側に転倒したことで、内部のコイルとローターの位置関係に異変が生じている個体が少なくありません。カムチェーンの問題は、調整不良が原因ですね。CB-Fのテンショナーは、定期的な調整が必要ですが、その事実を知らない人が多い。スタータークラッチの滑りも、主な原因は経年劣化です。ただし、現代の視点で見ると構造的には少々問題があって、1100に限っては現役時代から滑りやすかったようです」
その他に、ジェイズに入庫するCB-Fでよくあるトラブルは、キャブの不調と電装系の接点不良が挙げられるが、車体自体に弱点と言うべき要素は存在しないとのこと。
「逆に言うなら、ちょっとした部品の交換や調整で、調子が良くなる個体は非常に多いです。もちろん新車同様の性能を味わいたい場合は、徹底的な整備が必要で、その場合のコストは70万円前後ですね。なお車体に関しては、フレが出る、剛性が低いと言う人がいますが、きちんと整備された車両ならそんな印象は持たないはずです。ただし、CB-Fのシャシーはバランス的にシビアなところがあるので、1ランク上の走りを求める人には当店のオリジナルステムを推奨しています」
キャブレター:凝りに凝った構造は当時のホンダならでは
スタータークラッチ:問題点を克服して滑りを解消
ダンパーラバー:コトコト音の原因はダンパーラバーの硬化
スパークユニット:発熱を抑えて安定した点火を実現
スパークプラグ:現行車とは異なる旧車の焼け具合
ジェネレーター:リビルド品で本来の充電力を回復
ヒューズ:ブレード式なら心配は不要になる
メインハーネス:純正を凌駕する品質と拡張性
アース:電装系の盲点かも?
フロントブレーキ:まずは整備&パッド交換
ステアリングステム:上質で信頼できるハンドリングを実現
リヤショック:予算に応じて3種の社外品を推奨
ドライブチェーン&スプロケット:630/530を525に変更
チェーン&テンショナー:エンジンOH時に必ず交換するべきパーツ
パーツ流通:潤沢でないものの、心配は不要
カワサキZやスズキ・カタナなどと比べると、何となく補修部品があまり潤沢ではない…気がするCB-F。とはいえ、これまでに数多くのCB-Fに接して来た宮繁氏は、修理不可能という状況に陥ったことは一度もないそうだ。「もちろん、Zやカタナほど潤沢でありませんが、純正部品は意外に出るし、リプロパーツは国内外で生産されているし、ウチの場合は、ないものは現代の技術を投入して新規で制作するので、悲観するような状況ではないですよ」
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