ブレンボ製Stylremaキャリパーをゲット!

奇跡のフレームは今回も生き残った! 新型ハヤブサの車体を解説します

欧州で発表された新型ハヤブサは、エンジンとフレームの基本を従来型から踏襲しつつ新世代のデザインと電子制御、そして環境性能が与えられている。とはいうものの、車体もきっちりと足まわりが強化されており、むしろ優れた素性を活かしたモデルチェンジと言えそうだ。

車両別アーカイブ:スズキ ハヤブサ

安定性と軽快なハンドリングの実現、エアロダイナミクスとブレーキングの向上を目指した

従来型のハヤブサの車体は初代からメインフレームをほぼそのまま継承しており、ブラケット類の変更や新形状スイングアームなどで1299cc→1340cc化および175ps→197psという最高出力増大に対応していた。変更をためらうほどの素性のよさが当時も語られていたことを記憶している読者もいることだろう。

そんな素性のよさは、またしても車体の継承という形で生かされることになった。13年ぶりのモデルチェンジとしては異例の、フレーム&スイングアームに変更なしという英断である。

鋳造アルミニウム製ツインスパーのメインフレームとスイングアームは踏襲され、よりまっすぐなパイプセクションを持つ新しいシートレールに換装することで700グラムの軽量化を達成した。

フレームをスイングアームを変更しないのには理由がある。

とはいうののの、足まわりは相応に強化されている。KYB製の前後サスペンションは、低速域でのオーバーステアを排除し、全ての速度域でニュートラルなハンドリングを実現。φ43mmのDLCコーティングされたインナーチューブを持つ倒立フォーク、内部構造に手を入れられたKYBリヤショックは、ともにフルアジャスタブルだ。

また、ブレーキキャリパーはブレンボ製Stylremaモノブロックをダブルで装着。組み合わされるディスクはφ320mmへと大径化された。そしてニュートラルなハンドリングを実現するため、タイヤはブリヂストンの最新モデル「バトラックス ハイパースポーツS22」を履く。

シートレールが軽量化された以外はフレーム&スイングアームまわりに変更なし。大胆な判断だった。

スーパースポーツの考え方をフラッグシップモデルに持ち込み、まさしく大きくなったGSX-R750(当時)といった車体造りだった初代1999年モデル(1998年発表)から、一貫して同じフィロソフィーを持ち続ける。一方で重心から離れたシートレールやマフラーはそれぞれ700g/2054gの軽量化を達成した。

フロントブレーキには、ブレンボ製Stylremaモノブロックキャリパーを採用するとともに、ディスクをφ310mm→320mmと大径化した。

タイヤはブリヂストン製の最新モデル・バトラックス ハイパースポーツS22を装着。ホイールは7本スポークの新作だ。

メーターは5連で中央のみデジタルの表示のフルカラーTFT。ハンドルバーは引き続きフローティングマウントだが、よりゴージャスなルックスに変更された。

スタートアップ画面には「隼」の文字。左手元のスイッチで各種電子制御などの操作を行う。

最高速度300km/hを実現するエアロダイナミクス

空力性能は、300km/hに到達できるバイクにとって非常に重要だ。スズキは最新のCAE分析ツールと風洞試験を最大限に活用し、市販車で最高クラスの空力係数を実現した。新型ハヤブサは、大きくなったウインドスクリーンなどを採用するにもかかわらず前モデルと同等のCdAとしているのだ。

エアロダイナミクスは単に空気抵抗を低減するにとどまらず、快適性や乗り心地の向上にも貢献。さらにデザイン要件まで兼ね備えている。たとえばサイドカウリングのエアダクト前に配置されたV字型のクロームメッキモールディングは、エンジンからマフラーに流れるパワーフローを表現する、スタイリング上のアクセントとなっており、エンジンが発生する膨大なパワーを視覚的に訴求しながら、空力的には機能パーツだ。アッパーカウル側面のナックル部分は、ライダーの手と肘を保護している。

また、クラッチレバーとブレーキレバーに追加された穴は、超高速域で風圧がレバーを押す力を軽減する。ちなみに、スクリーンはノーマルよりも38mm高いものがアクセサリーとして用意されるという。

従来モデルに引き続き、風洞実験室でエアロダイナミクスを進化させていった。

コンパクト化され、シャープな外観となった新型ミラー。

左右レバーには風抜きの穴が空けられているこのクラスのモデルならではだ。


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