クルーズコントロールも装備

世界初の速度リミッター?! 新型ハヤブサの電子制御はイッキに最新バージョンへ

スズキが発表した新型「HAYABUSA」は、エンジン/フレームまわりをともに従来型ベースとし、優れた資質を継承しているが、一方でボディワークとエレクトロニクスには最新のノウハウを投入している。ここでは電子制御について解説していきたい。

車両別アーカイブ:スズキ ハヤブサ

電脳が走りを豊かにする「スズキインテリジェントライドシステム(S.I.R.S.)」

新型となったハヤブサは、狙った走りのパフォーマンスと“ハヤブサらしい”キャラクターを実現するため、最新のエレクトロニクスが投入されている。

S.I.R.S.(Suzuki Intelligent Ride System)と名付けられた新バージョンの電子制御システムは、さまざまなライダーの経験や状況に合わせたライディング体験をもたらすもの。その中核となるのが、SDMS(スズキドライブモードセレクター)の進化版であるSDMS-αだ。

従来型のハヤブサが搭載してきたSDMSは、パワーモード切替システムの先駆者といってよく、ダブルバタフライによる簡易的な電子制御スロットルを活かして、3段階の出力特性を選ぶことができた。新型ハヤブサのSDMS-αは機能を大幅に拡張しており、パワーモードセレクター、モーショントラック・トラクションコントロール、アンチリフトコントロール、エンジンブレーキコントロール、2方向クイックシフトを統合制御できるようになった。

工場出荷時にはA:アクティブ/B:ベーシック/C:コンフォートの3パターンがプリセットされており、これにユーザーが任意に設定できるU1/U2/U3の3パターンをプラス。ライダーは左側ハンドルスイッチによってモード設定を変更でき、現在の状態は4連アナログメーターの中央に配置されたTFT液晶パネルで確認することができる。

以下にそれぞれの電子制御項目を解説していこう。いずれもSDMS-αで統合されてはいるが、ユーザーモードでは個別にセッティングが可能だ。

パワーモードセレクター(PW)

まずはエンジンに出力特性に関わるものから。パワーモードセレクターは、3つの異なる出力特性モードから選択できるもので、モード1は最も鋭いスロットルレスポンスを供給。モード2は、よりリニアで扱いやすい、ややソフトなレスポンスを提供する。そしてモード3は、最もソフトなスロットルレスポンスとするだけでなく、最高出力自体も抑制している。

アクセル開度センサーとスロットル開度センサー、クランクポジションセンサーから得た情報を基に、電子制御されたスロットルバルブをECM(エンジンコントロールモジュール)が開閉する。 [写真タップで拡大]

モーショントラック・トラクションコントロールシステム(TC)

快適でストレスのない安全な走りから、アグレッシブでスポーティな走りを楽しむことまで対応。前後輪の速度とエンジン回転数、スロットル位置、ギヤ段数を監視するだけでなく、慣性計測装置(IMU)からのデータによってバイク自体のバンク角も常時測定し、システムがトラクションを失うと判断するとECMが介入し、電子制御スロットルバルブ、イグニッションコイル、スパークプラグ、および燃料噴射を制御してパワーを制限し、スリップを防ぐ。

車体の動きまでを監視して制御するトラクションコントロールシステムは、スズキがMotoGPレース用に開発したものから直接的にフィードバックされたものだという。モードは10段階あり、数字が大きくなるほどに介入が早まるほか、オフにすることもできる。

アンチリフトコントロールシステム(LF)

加速時にフロントタイヤが路面から浮き上がるのを防ぐ。いわゆるウイリーコントロールに属するものだ。10段階に設定可能なほかオフにもできる。数字が大きくなるほど介入度合いが高まり、モード10の場合はパッセンジャーを乗せてフルスロットルにしてもウイリーすることは不可能なほどだという。

ローンチコントロールシステム

ゼロ発進で最大効率の加速を得るのに役立つ。サーキットやドラッグレース会場で使用したい。ライダーが自分の経験や自信に合わせて選択できる3つのモードがあり、モード1はエンジン回転数を4000rpmに、モード2は6000rpmに、モード3は8000rpmに合わせて動作する。

エンジンブレーキコントロールシステム(EB)

3つのモードとオフ設定が可能なこのシステムは、ライダーの好みに合わせてエンジンブレーキの強さをコントロールできるもの。スロットルオフ時やシフトダウンした際の減速時にリヤタイヤのスキッドを抑制することができる。

アクティブスピードリミッター

一部の4輪が近年採用してきているシステムで、バイクの市販車としては初めて新型ハヤブサが採用した。ライダーは任意の速度にスピードリミッターを設定することができ、ズボラに走っても意図したスピードを超えることがない=制限速度を超過しないというもので、ライダーは設定速度までは自由に加速でき、スロットルを戻すことで通常通りに減速できる。スロットルを素早くひねると一時的にオーバーライドできるので、他の車両を追い越したい時にも不自由しない。もちろん走行中でも、いったんスロットルを全閉にしてボタンを押せば設定を無効にすることができる。

クルーズコントロールシステム

高速道路を一定速度で走行するのに便利な機能で、昨今はスーパースポーツモデルでの採用例も。ライダーがスロットルを操作せずに設定速度を維持することができ、長時間走行での疲労を軽減する。設定はLCDディスプレイに表示され、速度は選択スイッチで簡単に調整できる。設定範囲は2速以上で2000~7000rpmのとき、31km/h~200km/hに設定できる(欧州仕様)。キャンセルも再開も簡便なシステムだ。

バイダイレクション・クイックシフトシステム(QS)

オートブリッパー付きの上下双方向に対応したクイックシフター。2つのモードがあり、モード1はレーシングスタイルのレスポンスを実現、モード2はより軽いタッチを提供する。電子制御スロットルだからこそ実現できるシステムだ。

スズキイージースタートシステム

セルボタンを一回押すだけで、エンジンが掛かるまでセルモーターが回ってくれるシステム。ギヤがニュートラルのときにクラッチレバーを引く必要がなくなったのもトピックだ。

ローRPMアシスト

ゼロ発進時や極低速走行時のエンジン回転数を自動的に少しだけ高め、エンジンストールのリスクを軽減する。ストップアンドゴーの多い街中で便利なシステムだ。

コンバインドブレーキシステム

フロントブレーキレバーを引くとリヤブレーキも自動的に利く。

エマージェンシーストップシグナル

約55km/h以上で走行中に急ブレーキを検知するとハザードランプが自動で高速点滅し、後続車に急ブレーキを知らせる。

モーショントラック・ブレーキシステム

直線走行時だけでなく、バイクが傾いていることを検知してそのバンク角に応じたABS制御をするブレーキシステム。IMUからの車体姿勢データを監視しながら、最適なタイミングで介入する。スリップする以前でも、唐突な入力の影響を減らすためにブレーキ圧をコントロールする。また、強い制動力で車体が立ってくるのを抑制し、ブレーキを掛けながらでもライダーが意図した走行ラインをキープできる。コーナリング中のパニックブレーキなどでライダーの命を助けてくれる可能性があるシステムだ。

スロープディペンダントコントロールシステム

下り坂でのブレーキング時に後輪が浮き上がるのを防ぐ。ABSユニットはIMUからのデータを監視しながら、路面の傾斜角に合わせて適切なブレーキ圧を提供し、より安定したブレーキングが可能になる。モーショントラック・ブレーキシステムとシームレスに連動すると考えていいだろう。

ヒルホールドコントロールシステム

作動オンにすると、バイクが上り坂で停止している際に、30秒間リヤブレーキを自動的に掛け続け、坂道発進を容易にしてくれる。フロントブレーキを素早く2回握るか、ライダーが加速を始めることで解除される。作動している時はインジケーターに「H」マークが点灯し、システムが作動していない時は点滅する。

電子制御を全面サポートする慣性計測装置「IMU」と、エンジンコントロールモジュール「ECM」

IMUはボッシュ製の6軸で、新たに採用したモーショントラック・トラクションコントロール、アンチリフト、アクティブスピードリミッター、クルーズコントロール、モーショントラック・ブレーキ、スロープディペンデントコントロール、ヒルホールドコントロールがIMUの提供するデータを使用している。エンジンコントロールモジュールは新しいデュアルコア32ビットを採用した。

ボッシュ製6軸IMU。 [写真タップで拡大]

デュアルコア32ビットECM。 [写真タップで拡大]

6軸IMUの計測イメージ。 [写真タップで拡大]

XYZ軸での直線的な加速度と、XYZを軸に回転する回転加速度を計測する。 [写真タップで拡大]


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