●文:ヤングマシン編集部(伊丹孝裕)
スペック/装備/質感のすべてがちょうどいい
トライアンフの新型ロードスター「トライデント660」は、見た目は奇をてらわないネイキッドに仕立てられ、同社のアグレッシブなストリートトリプルシリーズとは一線を画す。3気筒エンジンの魅力をよりシンプルなモデルで味わいたいと考えていたライダーにとって、待望の1台になるはずだ。
【’21 TRIUMPH TRIDENT 660】■水冷4スト並列3気筒DOHC4バルブ 660cc 81ps/10250rpm 6.53kg-m/6250rpm ■装備重量189kg シート高805mm 変速機6段 燃料タンク容量14L ■タイヤF=120/70R17 R=180/55R17 ●価格:97万9000円●発売日:’21年2月6日
【カラーバリエーション】車体色はホワイトをイメージカラーとし、計4色を用意。ロゴが目立つデザインが与えられている。
車名の数字からも分かる通り、660ccの排気量を持つ。そのため、ストリートトリプルSからの派生と考えるのが普通だが、驚くべきことにボアもストロークも異なる新設計ユニットを搭載。ロングストローク化によるトルクフルな出力特性が特徴だ。
事実、ストリートトリプルSとほぼ同等の最大トルクを3000rpmも低い領域で発揮するなど、優れた扱いやすさを想像させる。反面、最高出力は81psとやや控えめながら、車重は189kgに過ぎず、必要にして十分なスペックと言える。
なぜなら、このパワーは同排気量帯のヤマハMT-07やスズキSV650、カワサキZ650を大きく凌ぎ、4気筒のホンダCB650Rには及ばないものの、車重は13kg軽い。その立ち位置から見えてくるのは、ミドルネイキッドのマーケットリーダーを虎視眈々と狙うトライアンフの意気込みだ。
そんなトライデント660は電子デバイスも充実し、トラクションコントロールのほか、2パターンのライディングモードを標準装備。TFTカラーディスプレイの採用やスマホとの連動機能など、ユーティリティにも優れる。
日本での発売は’21年2月6日、価格は97万9000円。トライアンフの勢いは本年以降も衰えそうにない。
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【トライデントとは?】「トライデント」の呼称は、トライアンフ初の3気筒モデル(’68トライデントT150)に与えられた他、倒産から復活を果たした時の主力モデル(トライデント750/900)にも採用。同社の歴史を語る上で外せない重要な車名である。 ※写真は’91トライデント900
【同じ660ながらほぼ別モノ】エンジンのベースはストリートトリプルSと共有するが、67ヶ所にわたって設計を刷新。メインフレーム/スイングアーム/ホイール/排気系…と、他にもありとあらゆるコンポーネントが専用パーツだ。ストリートトリプルシリーズのフロントフェイスは明確に好みが分かれる部分だが、トライデント660のそれは幅広いユーザーに支持されるに違いない。
エンジンのボア×ストロークはストリートトリプルSの76.0mm×48.5mmから74.0mm×51.1mmに変更されている。ストップ&ゴーが苦にならないフレキシブルな特性が大きな魅力だ。もちろんユーロ5をクリアしている。
【最大トルクの90%以上を広域で持続】3600rpm~9750rpmという広範囲に渡って最大トルクの90%を発揮する。
【足は間違いなしのショーワ&ニッシン】サスペンションは前後ショーワ。リヤはリンク式でプリロード調整が可能だ。ブレーキキャリパーは片押し式だが、ストリートトリプルSで体感するかぎり、制動力もコントロール性も不満はない。
丸目1灯(LED)のシンプル&ミニマルなデザイン。昨今のトレンドに倣い、スイングアームマウントのナンバープレートホルダーを採用する。
【ロドルフォ流全開】ニーグリップしやすい、イギリス車らしい造形の燃料タンク。デザイナーは新型カタナも手掛けたロドルフォ・フラスコーリだ。
【シート高は親日な805mm】805mmのシート高はストリートトリプルSよりも5mm低い。アップライトなハンドル位置も手伝って、リラックスした姿勢で乗ることができそうだ。
【コネクティビティシステムも万全】専用の「MYトライアンフ コネクティビティシステム」を装着することによって、ブルートゥースを介してスマホとインストルメントが連動。ナビゲーションや音楽の再生など、様々な機能をディスプレイに表示することが可能になる。ディスプレイの画面は写真下の通り。ナビゲーション/電話の通話/GoProの操作/タイヤの内圧など、様々な情報をスイッチ操作で液晶に表示できる。
【純正アクセサリーはすでに45アイテムを用意】シフター/プロテクター/スクリーン/空気圧モニターなど、機能はもちろんドレスアップにも役立つパーツが揃っている。
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